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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
12才です。
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106/191

続続32話 代理です。<掴みはOK?>


「スーーー、・・・フーーーー」


「そうそう、腹式呼吸が上手になったわね。それができると一息で呪文が言えるからね。そのまま続けてー」


現在、ミシルと魔法科劣等生数名の合同特別授業中です。

やっぱり段々と能力に差が出てくるらしい。

まあね、魔法ってぶっちゃけ慣れが必要よ。

貴族は練習できるだろうけど、平民はなかなか練習できないと思う。暴走に備えて場所と経験者が必要だからね。


で。

エンプツィー様にはとうとう逃げられました。

ええ、代理中です・・・

資料を置いての脱走なので、代理授業をなんとなくできています。

亀様に頼むのも馬鹿らしいので今日は放置です。


感覚で魔法を使ってばかりの私にはエンプツィー様を探し回って時間を無駄にする暇がない!

ミシルだけの授業内容と資料と照らし合わせて四苦八苦中です。


「はい、じゃあ、一旦休憩するよ~」


季節としては初夏になったし、何かの時のために魔法実習は外の鍛練場を使うので、体を動かすと暑い。まあ、空が見えていてもドーム型に結界があるので暴走魔法が飛び出すことも無い。ある程度ね。


「今日も冷製レモネードがあるから、水分補給はちゃんとしてね~」


若いからと侮るなかれ。熱中症は危険です。

でも、砂糖は控えめにしました。あまり甘くても飲みにくいんだよね。

十人とミシルを合わせて十一人。コップはドロードラング製です。


「腹式呼吸って体が温まるよね」


ミシルが車椅子(侯爵夫人と同じもの、ミシル用)に座ったまま、私の方を向く。慣れたもんだ。


「そうね、深呼吸もそうよ。血の巡りをよくするから、どっちかが咄嗟にできるようになると良いわね」


「え、どっちか?」


生徒が驚く。


「そ。一息(ひといき)で呪文を言えるのも大事だけど、基本的に魔法って想像力が大事だと思ってるわ。でもその想像力って、冷静じゃないと上手く働かないのよ。私の場合は特にね」


主に暴走するわけなんですが。

だからよく皆から深呼吸しろ!って言われるし、ヤバイと思った時はするようにしてる。


教科書には腹式呼吸が絶対!みたいに書いてあるから驚くんだろうな。


「普通授業に戻れるある程度(・・・・)がどの程度かは私にはわからないから、私が担当の内は想像力の練習を中心にしていきますよ~」


女子が一人、おずおずと手を上げる。


「あの、想像力って、よくわからないんですけど、どうしたらいいですか?」


ここにいるほとんどが農民だ。その中に商家の子が一人、男爵家の子が一人。

質問した女の子は農民出身。日の出から日の入りまで働くのが普通の農民の識字率は当然低い。吟遊詩人は色々と歌ってくれるが本を読めないという事は知識に偏りが出る。

そのコミュニティーから出ないのであれば余計な情報は必要ないかもしれないが、いつかは何回かは出る必要に迫られる。

知識はいくらあってもいい。

何かの時の対処ができるから。


だから、手っ取り早く情報を仕入れられる本を読むということは結構重要だと思っている。


「ん~、あ。最初の授業で私が鍛練場を畑にしちゃったのを覚えている?」


「あ!はい」


「その時、自分で何て思ったか覚えている?」


「はい! 私もこうできれば仕事が楽になるなって思いました」


「私も同じ事を思ったのよ」


驚かれた。あれ?


「あれ? 皆、ドロードラング領(うち)の事を知らない? 奴隷王なんて悪どい呼び名のわりにスゴい貧乏領地で、畑は荒れ放題だわ、食糧難だわ、死にかけの人しかいないわで、突然目覚めた魔法でどうにか凌いだの。本当に魔法さまさまだったわ~」


あれ、ミシルまで驚いている。言わなかったっけ?


「なのに、今は伯爵・・・」


男爵家の男の子が呟いた。そうなんだよね~びっくりだよね~。


「まあ私が伯爵になったのは運だったけど、領地の復興は半分できたわね。いや盛りすぎた、三分の一くらいかな?」


「あ、あの! 劇団はどうして始めたのですか!」


商家の男の子も手を上げる。


「自給自足だけじゃ経営厳しいのよ。農作物だけじゃ飢饉は凌げないわ。経済は物流があってこそだと思ってる。あれもこれもあって、一つが駄目でも他で補助ができればその一年はどうにかなる。そういう仕組みにしたかったの。だからって奴隷業は論外よ。

幸い歌の上手い女の子が多くて、身軽な男の子もたくさんいて、私は花を育てるのに調子こいた時期で、合わせて見世物にしたらお金を取れると思ったのが始まりね」


手に花を咲かす。これは幻。

その花を今度は皆に咲かす。驚く子たちを花で囲み、鍛練場いっぱいに色とりどりの花を敷き詰める。

感嘆。


指を鳴らせば一瞬で消える。

全員が私を見る。


「地水火風のどれかに特化しても良し。得意不得意があって良し。どんな魔法が自分に合うのかじっくりやっていこう。せっかく学園に入ったんだしね!」


皆元気に返事をしてくれた。


・・・掴みはOKだろうか?




その後もエンプツィー様にはちょいちょいと脱走されるようになったけど、その度にお土産を強要することにした。劣等特別クラス&私の十二人分。

研究費を削りたくなかったらしっかり授業せい!




***




「あ~、なるほど、良いですね」


ヤンさんが気付いた。


「あ、わかる?」


「何となくですけどね。雰囲気が優しい感じがしますよ」


「魔法の素養もないのに気づくのか。興味深い男じゃのう」


エンプツィー様と昼休みを利用してアイス屋に来てます。目の前にはラフな格好のヤンさん。眼鏡はしてない。


「気配には(さと)いもんで」


アイス屋の定休日は国民の休日の次の二日間(月曜火曜)にしました。二種類しかないのに想定してたよりもお客さんが多く、一日の営業時間を長くした。

まあ、アイスの美味しい季節だよね!


仕込みもあるし、材料の確保もあるし、何より店舗のコックたちには王都の食堂を食べ歩きしてもらいたいのだ。修行の一環として。


で。

何をしに来たかというと、実験です。


跡取り男以外にも暴れる奴らが現れるのは、うちらはまったく屁でもないが他のお客様に迷惑が掛かる。


なので店内については、黒魔法を使った空気清浄機みたいな、気持ちが穏やかになる雰囲気になる装置を作った。

精神に作用するので、亀様とエンプツィー様に監督をしてもらいつつ、そんな気がする、という弱い物に設定。


だってせっかくだから、美味しい物を食べて幸せになったそのままの気分で帰ってもらいたい。


ならず者も静かに連行したい。また何かの題材になったら恥ずかしいじゃない!


曲が流れるようにもしたかったけど、庭で生演奏の方がいいとなって今回は見送り。一般の方からも見えるようにして待ち時間の暇潰しにしてもらいたい。良かった、庭を広くしてて。



「これって頭に作用するんですよね? 天井設置よりも窓の高さまでにしてもらえませんか。俺ら従業員は長く店にいるから効きすぎて感覚が鈍るようになると困るんで」


「あそっか。んじゃお客さんの座った時の高さに合わせよう」


「失念していたわ。やはり現場で聞くのは良いのぅ」


《通信機に作用不可を付けるか?》


「いや。見た目が水晶ですからね。上手くいけば飾り物として売れるんじゃないですか?」


あ、そういう事。そっち方面は考えてなかったわ。


「あ~・・・これ、お嬢には作用しないんですか?」


ヤンさんが言いよどんだ。珍しい。


「するよ。何で?」


「今劇場でやってる演目で、上演時間が短いんですけど『平民の味方』ってのがあるらしいんですよ」


・・・・・・え。


「無法者を懲らしめる少女の話だそうで、爽快活劇って今注目だそうです」


・・・・・・・・・へぇ。


「観に行く時は水晶を持っていった方が良いんじゃないですか?」


「行くかあっ!!?」


立ち上がって叫んだ私は皆に笑われた。


だから! アレンジしてよっ!? 私だと分からないくらいにっ!!








お疲れさまでした。


===========

ウォル「・・・マークさん。俺たち、どうしたらいいんでしょうか?」

マーク「基本は放置だ。でも、さりげなく荷物を預かるのは練習しとくと良いぞ。」

四人「わかりました。」

===========


そういうわけで、アンディの荷物をマークが持っていた理由でした(笑)


空気清浄機風安定機?

以前ネタ提供されたものをアレンジさせてもらいました。

こんな風ですみません。

ありがとうございます!


次回またお会い出来ますように。


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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
― 新着の感想 ―
[一言] 平民の味方…水戸黄門ですかね
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