表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/93

第86話:電子の残骸、狂い鳴く雷霆と深淵の機竜

深夜。

迷宮都市の裏路地にある武器屋『黒鉄堂』。

シャッターが半分下りた店内に、白衣を着た青年――東雲慧しののめ けいは、意を決した足取りで踏み込んだ。

「……また来やがったのか、学者先生」

炉の火を落とし、酒を飲んでいた鉄山厳が、忌々しげに隻眼を光らせる。

カウンターの下に隠した大槌に、鉄山の太い指がいつでもかかれるよう力を込めた。

「撃たないでくださいよ、鉄山さん。今日はあなた方に『同盟』を持ち掛けに来たんです」

東雲は両手を高く上げ、降伏のポーズを示しながら歩み寄った。

その瞳には、恐怖を通り越した狂気的な探求心が宿っている。

「如月三月という少女の異常性、そして彼女が『深層』を蹂躙している本物の怪物であること……すべて理解しました。そして、彼女がそれを必死に隠し、あなたが『護民のイージス』を動かして彼女の家族を守っている理由も」

鉄山の殺気が、チリチリと店内の空気を焦がす。

だが、東雲は怯むことなく言葉を続けた。

「私は彼女の秘密を暴いて協会に売り飛ばすつもりはない。そんなことをすれば、高橋元幹部の一派のように、私が消されるだけですからね」

東雲は丸眼鏡のブリッジを押し上げ、ニヤリと笑った。

「私は、私の提唱する『都市捕食説』を証明したい。そのためには、彼女が深層から持ち帰る『生きたデータ』と遺物が必要なんです。だから……私を、あなた方の陣営に加えてください」

鉄山は鼻で笑う。

「お前みたいな頭でっかちのモヤシ学者が、嬢ちゃんの何の役に立つってんだ」

「彼女の弟である拓也くんは、非常に優秀で探求心の強い少年だ。これからも、彼女が何気なく持ち帰る深層の遺物に触れ、迷宮の真実に近づいていくでしょう。誰かが専門家の立場から『ただの下層のガラクタだ』とカモフラージュしてやらなければ、いつか必ず彼女の異常性が家族にバレる」

その指摘に、鉄山がピクリと眉を動かす。

三月の危ういほどの無頓着さは、鉄山にとっても悩みの種だった。

「私は迷宮学の専門家だ。彼女が持ち帰る遺物の魔力波長を偽装し、地上での『情報操作』を行う防波堤になれる。それに、深層が旧東京の街並みを飲み込んでいるのなら……かつての地下鉄や都市計画を熟知している私が、彼女の『深層探索のナビゲーター』として、最短ルートの構築にも役に立てるはずだ」

鉄山は長い沈黙の後、深く、長いため息をついた。

「……ったく。惹きつけちゃならねえ厄介な奴らまで惹きつけちまうとはな。……いいだろう、学者先生。お前のその頭脳、嬢ちゃんの『日常』を守るために使わせてやる」

鉄山がドンッとカウンターに置いた酒の入ったグラスを、東雲は震える手で受け取った。

「感謝しますよ。これで私も、歴史の目撃者だ」

数時間後。

地上の裏側で結ばれた強固な同盟など知る由もなく、如月三月は自作の漆黒のポータルを抜け、ついに第25層へと降り立っていた。

「……今度は、電気の街ね」

そこは、10年前の大陥没で飲み込まれた旧世界の最先端都市――かつての『秋葉原』の成れの果て。

『雷鳴と電子の廃都』。

見上げるほど巨大なビルの壁面には、錆びついた電子基盤や高圧電線が這苔のようにへばりつき、頭上の暗黒の空からは、触れれば肉体を一瞬で炭化させる極大の雷撃が絶え間なく降り注いでいる。

パチィィィンッ!!

激しい音を立てて落ちてきた数万ボルトの落雷を、三月は『磁力操作(微)』で退屈そうに横へと逸らす。

路地裏のサーバーラックの陰からは、家電製品が魔素で変異した『電脳の捕食者コード・クローラー』の群れが、異常な高周波を鳴らして飛び出してきた。

「お母さんのご飯までに、パパッとこの階層の主を解体して帰りましょうか」

三月は相棒『双極の魔刃・黒月』を静かに抜き放つ。

その時、廃都の中心にある巨大な駅ビル跡が内側から大爆発を起こした。

吹き飛んだ鉄骨の中、青紫色の雷霆を纏い、全長四十メートルを超える『深淵の雷霆機竜』が姿を現す。

「グルァァァァァオオオオッッ!!」

機竜の電子の眼球が三月をロックオンし、黄金色のプラズマ収束砲が充填される。

「……いいわ。全力で、相手をしてあげる」

三月の瞳から少女の温もりが消え、底知れぬ捕食者の狂気が宿る。

地上の大切な家族を守るため、彼女は深淵の暴君を喰らいに飛び出した。

第86話をお読みいただきありがとうございます!

今回は、三月の異常性に気づいた東雲が、自らの知略を「三月の日常を守るため」に提供するという熱い同盟が成立するエピソードでした。これで、三月の周囲を固める「最強の陣営」が整いましたね。

後半では、第25層『雷鳴と電子の廃都アキハバラ』での本格的な戦闘が開始! 雷を弾きながら疾走する三月と、階層の主である『雷霆機竜』との激突は迫力満点です。

この先の展開が気になる!面白い!と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や下部の評価ボタンでの応援をよろしくお願いいたします。皆様からの反応が、執筆の何よりの励みになります! 次回の更新も楽しみにお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ