↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第二章:少年の探索者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
145/274

第145話:輝石の水晶洞、不可視の狙撃手

第十一層の枯竜が遺した石階段を長く下り続け、ついに最下段へと到達した四人の視界を、眩いほどの乱反射が真っ白に染め上げた。

「……うおっ、眩しっ! なんだここは……目がチカチカしやがる」

風間蓮が思わず目を細め、腕で顔を覆う。

第十二層『輝石の水晶洞』。

天井、壁、そして足元に至るまで、空間のすべてが大小様々な青白い水晶で覆い尽くされた広大な洞窟だった。

水晶自体が微かな魔導光を放っており、それが無数に乱反射を繰り返すことで、洞窟全体が昼間のように明るく照らし出されている。

「美しい場所ですが……空間の距離感がまったく掴めませんね。万華鏡の中に迷い込んだようです」

瀬戸玲奈が『白銀杖・六花』を握り締めながら、不安げに周囲を見渡した。

「ああ。光の屈折で道が歪んで見える。罠や敵の発見が遅れる厄介なギミックだ。気を引き締めろ」

神宮寺蒼太が、大盾『絶氷大盾・銀嶺』を前に構えて慎重に歩みを進める。

拓也はパーティの中央で、常時起動している『深層言語・限定解析』の青い視界を研ぎ澄ませた。

視覚情報(光)に頼れば、水晶の乱反射に騙される。だからこそ、彼は光ではなく「魔力の流れ」そのものに意識を集中させた。

(水晶の魔力波形に紛れて……微かに動く別のコードがある。上だ!)

「神宮寺さん、斜め上四十五度から来ます! 防御を!」

拓也の鋭い声が響いた。

「応ッ!」

神宮寺が即座に大盾を頭上へ掲げた瞬間。

何もない虚空から、突如として高圧縮された『光の熱線』が放たれ、大盾の表面に激突した。

ガギィィィンッ!!

「ぐぬぅッ……! 見えない位置からの狙撃だと!?」

神宮寺の盾の魔力格子が熱線を吸収・相殺するが、強烈な衝撃に彼の手首がわずかに沈み込む。

「熱線……!? 指揮官殿、どこから撃ってきやがった!」

風間が『銀牙槍・改』を構えて周囲を睨みつけるが、無数の水晶が反射し合うばかりで、敵の姿はどこにも見当たらない。

「敵は水晶の天井に張り付いています! 光の屈折を利用した『光学迷彩』を持つ魔獣……『ミラージュ・スコーピオン(幻影の水晶蠍)』です!」

拓也の解析の瞳には、周囲の水晶と完全に同化し、尾の先端から熱線を放つ巨大なサソリの魔力コードがはっきりと映し出されていた。

「光学迷彩だと? ふざけんな、見えない敵をどうやって突けってんだ!」

「風間さん、敵を直接見る必要はありません! 奴らは自らの姿を隠すために、周囲の水晶の『屈折率』を魔力でコントロールしています!」

拓也は腰の『絶理の銀刃』を抜き放ち、天井の一角を指差した。

「俺の指示した座標の水晶を、槍の冷気で凍らせてください! 水晶の温度を急激に下げれば、光の屈折率が狂って迷彩が剥がれます!」

「なるほど、そういう理屈かよ! 面白ぇ、指示を出せ指揮官殿!」

風間が獰猛な笑みを浮かべ、槍に極低温の魔力を込める。

「右上、三時の方向、距離十メートル!」

「そこだァッ!」

風間が跳躍し、指示された空間へ向けて銀牙槍を突き放つ。

強烈な冷気の波動が天井の水晶群を瞬時に凍結させた。

ピキキキキィィィンッ!!

水晶の表面に霜が降り、温度変化によって光の屈折率が強制的に狂わされる。

すると、今まで完全に透明だった空間にノイズが走り、体長四メートルを超える透明な水晶蠍の姿が、ホログラムのバグのように浮かび上がった。

「見えたぞ、虫ケラが!」

神宮寺がすかさず踏み込み、大盾による強烈なシールドバッシュを蠍の胴体へと叩き込む。

『ギシャアアアッ!?』

隠れ蓑を剥がされ、強烈な衝撃を受けた蠍が天井から叩き落とされ、地面の水晶を砕きながら墜落する。

「トドメです!」

拓也は落下してきた蠍へ向けて滑るように飛び込んだ。

柄のスイッチを弾き、白銀の刃を赤熱の『ヒートナイフ』へと変化させる。

ジュゥゥゥゥッ!!

強固な水晶の装甲に覆われた蠍の急所へ、超高熱の刃が一切の抵抗なく吸い込まれる。装甲の内側に隠された魔力回路コアを正確に溶断され、幻影の水晶蠍は断末魔と共に光の粒子となって砕け散った。

「……一体クリア。ですが、周囲の魔力反応はまだ多数あります。群れで狩りをする気ですね」

拓也は短剣を構え直したまま、周囲の乱反射する空間を警戒する。

「見えない狙撃手の群れか。普通ならパニックになって全滅する初見殺しだな」

神宮寺が油断なく盾を構え直す。

「でも、如月くんの『眼』があれば、ただの的当てゲームです!」

瀬戸が杖を構え、パーティの魔力状態を高く維持する。

「その通りだ! サクサクとデバッグ作業を進めようぜ、指揮官殿!」

風間が槍を回し、次なる獲物を求めて闘志を燃やした。

◆ ◆ ◆

数十分後。

襲い来る十数体のミラージュ・スコーピオンの群れを、拓也の解析と風間の冷却、神宮寺の盾と拓也の熱刃という完璧なローテーションで全滅させた四人は、水晶洞の広間へと出ていた。

そこで彼らが目にしたのは、またしても「規格外の足跡」だった。

迷宮のギミックであるはずの巨大な水晶群が、広間の中央を一直線に貫くように、粉々に砕け散って道ができているのだ。

「……おいおい。光の反射で迷わせる迷宮のギミックを、水晶ごと全部物理的に叩き割って直進したってのか?」

風間が呆れたように、砕けた水晶の破片をブーツの底で蹴る。

「複雑な知恵の輪を、ハンマーで叩き壊して解いたようなものだな。三月殿の圧倒的な力が目に浮かぶようだ」

神宮寺も苦笑交じりに息を吐いた。

拓也は、姉が力任せに切り拓いたその乱暴で真っ直ぐな道を見つめ、少しだけ目を細めた。

(姉ちゃんは、どんな理不尽な迷宮の罠も、全部力尽くで壊して進んでいったんだ。……一人で、家族を守るために)

「……行きましょう。この水晶の砕けた跡を辿れば、迷うことなく次の階層へ行けるはずです」

天才の遺した暴力の痕跡を道標に、凡人の少年は最高の仲間たちと共に、光の迷宮を確かな足取りで進んでいくのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

皆様の応援のおかげで、現在ランキング入りを果たし、多くの方に読んでいただけております!

「水晶洞のギミック攻略が面白かった!」「姉弟の対比が良い!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の最大のモチベーションになります!

引き続きよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。