第二十話:勝利の代償――英雄になった領主
戦は終わった。
だが――
静けさは、長く続かなかった。
・英雄
市場。
酒場。
農村。
「三倍の敵を退けたらしい」
「レアル様が勝ったんだ!」
「ミディア将軍もすごいらしいぞ」
「もう戦争は怖くない」
噂は広がる。
そして変わる。
「この領地は安全だ」
人が、集まり始めた。
・変化
数週間後。
エルナが報告書を持ってくる。
「移住者が急増しています」
【人口変動】
旧人口:47,500
新人口:56,000
「……一気に増えたな」
レアルが呟く。
「はい。商人、職人、農民……」
「さらに元兵士や傭兵崩れまで流入しています」
税の低さと戦を見て、この領地を選んだ者たち。
勝利は、人を呼ぶ。
だが良いことばかりではない。
急成長は、必ず歪む
・統治の負荷。
【問題】
食料需要:急増(+20%)
住宅:不足
治安:悪化傾向
水・道路:逼迫
職の不足
統治度が揺れる。
・統治度低下
【統治度】
99 → 92
街では小競り合いが増え始めていた。
エルナが言う。
「急成長の副作用です」
・軍の変化
兵舎。
兵士たちの空気が変わっていた。
恐怖ではない。
尊敬。
信頼。
そして――
「次も勝てる」という「期待」。
ミディアが言う。
「危険です」
「何がだ?」
「勝ち続けることです」
・勝利の毒
「人は慣れます」
「勝利に」
「そして――」
「負けを許さなくなる」
レアルは黙る。
・外部の反応
周辺領。
「危険だな」
「小領地のはずが……三倍の軍を退けた」
「しかも損害は軽微」
「軍も経済も、異常な成長だ」
結論は一つ。
「放置できない」
・貴族たちの動き
複数の領主が動き始める。
同盟の打診
内部情報の収集
密使の派遣
そして。
「会議を開く」
・内政会議
レアルは決断する。
「拡張する」
エルナが目を見開く。
「領地を、ですか?」
「違う」
「統治能力をだ」
・政策
【新政策】
① 新都市建設計画
→ 人口分散・住宅確保
② 職業制度の強化
→ 雇用創出
③ 治安部隊の増設
→ 犯罪抑制
④ インフラ拡張
→ 水・道路の再整備
⑤ 教育機関の拡大
→ 長期的人材育成
エルナが息を呑む。
「……全部同時にやるんですか?」
レアルは即答した。
「今しかない」
・数週間後
結果は出た。
【改善】
治安:安定
食料:維持
雇用:増加
インフラ:再稼働
【統治度】
92 → 97
エルナが微笑む。
「さすがです」
レアルは首を振る。
「まだ足りない」
・ミディアの報告
「軍も再編しました」
【軍事変化】
精鋭部隊:増強
即応部隊:新設
指揮系統:完全統一
「次も負けません」
レアルは言う。
「次も、負けられない」
・影
その夜。
薄暗い部屋。
数人の貴族が集まる。
「レアル・アルフォンス」
「危険すぎる存在だ」
「潰すか?」
沈黙。
「いや」
一人が言う。
「取り込む」
・新たな局面
▶ 【貴族同盟圧力】
▶ 【外交戦開始】
▶ 【領地拡大交渉】
窓の外。
広がる街。
豊かさ。
人の流れ。
レアル・アルフォンスは呟く。
「次は、戦争じゃない」
「戦いは――」
「上の連中だ」




