4日目
今日はクリスが辺境伯としてこの地に就任してから、1ヶ月の記念パーティーの日です。
大国で行われていたような、お偉いさんばかりの、堅苦しいものではありません。平民、貴族関係なく招待をし、楽しい立食晩餐会です。
先日行われたアルジェ様とのお茶会で決まった、ほぼ思いつきの催しでしたが……領民達との信頼と親睦を深める良い機会となったよう。
みな笑顔で、楽しんでくれています。
「さぁさぁ新人領主様!飲んで飲んで!」
「我が領地自慢のスコッチだよ!」
「こんなに気軽に会える領主様が来てくれたのはうれしいねぇ!ほいさっ!乾杯っ!ガハハハ!」
ただ、少し心配なのは、飲酒のペースが早いことです。
元々、民思いであるクリスです。ベテラン方に囲まれては、杯を酌み交わす事を断るのは難しいでしょう。
てすが……そろそろ止めたほうが、よい頃合い。
「クリストファー様、そろそ――どぅっふ!!」
なんでしょう?柔らかくも肉厚ななにかが私にぶつかりました。視界に入っていたクリスが消えましたね?それに、どうして、私は垣根にいるのでしょうか?
「ずんびすんべーー!!」
「「うぉぉぉ!!!!」」
酔っぱらい達の雄叫びが聞こえます。一体何が行われようとしているのでしょう?
「ひゅー!!いいよいいよ領主様!!」
「かっぁー!たまらんな!!!」
「もっと反ってくださいまし〜!!!」
領民達の行動力には恐れ入ります。
許可もないのに中庭にステージを組み立てていました。ステージには何本ものポールが刺さっています。
そのポールに絡み、酒に酔って我を忘れたクリスを中心に、肉体に自信がある男たちが踊り狂っています。
「ゼバ〜〜ス!!アレを!!」
「御意」
アルジェ様が最後尾で観覧しながら、満足気に執事の名を呼びました。そして、アルジェ様かセバスさんから受け取ったのは、小さな幾つもの革袋。コインケースでしょうか?チャリチャリと硬貨が擦れる音がしています。
「こちら!こちらよ〜!!あっそれ!それ!そぉ〜れ!」
いつの間にクリスは着替えたのでしょう?
見慣れないブーメランパンツを着用しているクリス。大胆に股を開き、アルジェ様に向かってアピールしています。人混みを掻き分け前に出たアルジェ様。
そのパンツの隙間に、アルジェ様は手慣れた手付きで革袋を引っ掛けていきます。クリスだけでなく、参加している男性陣にもしっかりと。
「キャァァ〜!!最高ですわぁ〜!!」
「セクシーポールダンス!セクシーポールダンス!!」
血走った目をした領民とその領主を、私は見続けることしかできませんでした。
この領地生産のスコッチには、何か危ないものが含まれているに違いありません、製造中止の措置をするべきでしょう。




