雑貨屋 1
「ここが雑貨屋だ」
そう言ってセリオが立ち止まったのは、青い屋根の雑貨屋だった。入口には『オープン』の立て看板が置かれている。
「青い屋根は雑貨屋しかないんだ。わかりやすいだろ?」
「はい。ありがとうございます!」
システィナがぺこりとお辞儀をすると、セリオは「いいってことよ!」と笑顔を見せた。
「いらっしゃい。セリオと……見ない顔だな」
「は、はじめまして! システィナといいます。瓶詰職人の、システィナです」
システィナが名乗りを上げると、店主は「ほお」と眉を上げた。
店主は帽子をかぶり、顎ヒゲを伸ばしている五〇代の男性だった。やせ型の体系でひょろりとしているが、眼光は強い。
「ほお、小さいのに瓶詰を作るのか。たいしたものだ」
「それで……わたしの瓶詰を買い取ってもらうことはできますか? そのお金で、買い物をしたいんです」
店内を見回すと、雑貨屋という名だけあって様々な物が売っている。
最近のシスティナの食事になっている林檎から、ジャガイモ、キャベツなどの野菜。妖精が言っていた肉もいくつか置いてある。
そのほかには、薪や木の板、炭、鍋、石鹸、布類などの生活道具が並んでいる。その横には、瓶詰も並んでいるが数は多くない。
「買取は……正直助かる。村には瓶詰職人がいないから、いつも在庫が少ないんだ」
店主の言葉に、システィナはぱっと顔を輝かせる。しかしすぐ、店主の「だが」という声に体を固くする。
「質の悪い瓶詰は買い取らない。それでもいいか?」
「……! は、はい……!」
実のところ、システィナは自分以外の瓶詰職人の作った瓶詰をあまり見たことがないのだ。
そんななかで、一番目にしていたのは灯りの瓶詰だろうか。それもあって、システィナは灯りの瓶詰を作るのは比較的得意な部類に入った。
システィナは背負ったリュックから、買い取ってもらうために持ってきた灯りの瓶詰を取り出してカウンターに並べて見せた。
すぐそれに反応したのは、セリオだ。
「なんだよ、怖がらせるようなこと言ってたからドキドキしてたけど……ちゃんとした瓶詰じゃん! むしろ、うちで使ってるのより瓶の形も綺麗だぜ?」
「これは……私も驚いた。丁寧に作られてるのが、一目でわかる瓶詰だ」
そう言うと、店主は眼鏡をかけてからシスティナの瓶詰を手に取ってまじまじと見始めた。
(うあ、目の前でこんなにじっくり見られることなんてないから、緊張する……)




