#021セレーナの勇者誕生!
光り輝くカイルの剣。
それが私を救った⋯⋯。
「よし! これで俺も戦える! 覚悟しろ悪霊め!」
「⋯⋯」
ドキンっ!
そう私の胸が高鳴る!
か⋯⋯かかか、カッコイイ!
「死ね!」
そうリッチは影の触手をカイルに伸ばして攻撃してくるが。
「効くかそんな攻撃!」
カイルの剣が全て切り裂く。
「うごごごごっ!?」
どうやらあの触手とリッチは繋がっているらしい。
攻撃を受けて苦しむリッチだった。
「セレーナ! 俺が時間を稼ぐ! その間に浄化を!」
「え? はい、わかりました!」
やば⋯⋯見とれていた戦いの最中なのに。
私の左手の刻印が熱く輝く⋯⋯これはカイルの光だ!
それが私に勇気をくれる!
「闇に囚われしさ迷う霊よ⋯⋯」
私は迷いをすてて深く瞑想する。
完全に無防備だ、今の私は⋯⋯でも。
信じているカイルを。
だって私の勇者だもん!
「させるか!」
そうカイルが私に迫る触手を切り払う。
私は信じてただ力を高めて祈るのみ。
「あっアレ!? 光る剣が!」
この時、カイルの剣から光が消えた。
どうやらあの光属性の付与には時間制限があったらしい、その効果時間が終わったようだった。
だけど⋯⋯そのおかげで私にカイルに貸していた分の⋯⋯いえ、カイルの分まで魔力が集まる!
それは私の今までの限界を超える魔力だった!
「こんどこそ消え去りなさいリッチ!」
「ば⋯⋯バカな!? 消えるワシが⋯⋯ワシの夢が消える」
「あなたの夢はもう終わっています。 もう休んで⋯⋯」
「ワシの⋯⋯イチャイチャハーレムの夢が⋯⋯⋯⋯」
「「⋯⋯」」
最後まで言い切れずに消え去ったリッチだった。
というかハーレムが夢って?
「イチャイチャってなに?」
「知らなくていいのよルナは」
こうして強敵だったリッチは今度こそ消えたのだった。
「⋯⋯終わった⋯⋯のかな?」
「うん⋯⋯カイルのおかげで」
「いや! セレーナの浄化魔法がすごかったから!」
「でもカイルがいなかったら私⋯⋯やられちゃってたし」
そう私はまっすぐにカイルを見つめる。
そして照れくさそうにそっぽを向くカイルが。
「まあこれで⋯⋯少しは勇者っぽくなったかな?」
「そうだよ! カイルは私の勇者なんだから!」
そう力強くカイルの手を握り締める私だった。
カイルの右手の刻印と私の左手の刻印が重なる⋯⋯。
でもどうしてこの刻印が再び私に⋯⋯しかもカイルと繋がるなんて?
⋯⋯まあいっか。
でもこうしてカイルと繋がっていると思うと私の心の中になにか暖かい気持ちが溢れてくる⋯⋯。
「⋯⋯ねえおにいちゃんはママの番いになってルナのパパになってくれるの?」
「うえっ!? 俺とセレーナが夫婦!?」
「ええっ!?」
⋯⋯しかしルナの為には私というママだけじゃなくてパパも必要に違いない。
いや別に! 私とカイルが夫婦になりたいわけじゃないんだけどね!
「お⋯⋯俺でよかったらルナのパパになるよ!」
「わーい! 新しいパパだ!」
「⋯⋯」
まあいっか⋯⋯ルナが喜んでるし。
べ⋯⋯べつに!
私まで喜んでるわけじゃないんだからねっ!
「じゃあギルドに戻って報告しないとね⋯⋯カイルパパ」
「え!? セレーナ今なんて!?」
「なんでもありめせん!」
そうだ何でもない!
私にはカイルを立派な勇者にする使命がある⋯⋯それだけ。
だから⋯⋯この気持ちはただの勘違いなんだから!
「パパ! ママ! 待って~! ルナも行く!」
こうして私達はこの依頼を完了報告をしに行くのだった。
⋯⋯そして。
「本当にあなた達があの呪いの館を浄化したんですか!」
「はいそうです! この私と⋯⋯カイルが!」
そう私が言う相手はギルドに来た不動産屋の店長だった。
「いやまったく素晴らしい。 あの館はもう20年も解放できなかった不良債権なので本当にありがとうございました!」
そう感謝された。
⋯⋯これはチャンスかな?
「あの不動産屋さん! 私達、家を探してるんです。 このパーティーメンバーで住む家を!」
「ほう⋯⋯なるほど」
「なのであの館! もらってもいいですか?」
不動産屋は困った顔になった。
「⋯⋯住みたいんですか? あんな血の惨劇のあった館に?」
「血の惨劇って⋯⋯」
カイルが引いている⋯⋯。
「あの館の主だった男はあそこで何人もの人間を生贄にして呪いの儀式を行ったそうです。 ⋯⋯本当に住みたいのですかそんな場所に? べつに止めはしませんが⋯⋯」
「「⋯⋯」」
そう考えるとあんまり住みたくない⋯⋯それに。
「血の匂いが染み付くお家! わっほう!」
⋯⋯ルナは喜んでるがあまり教育に良くない気もしてきた。
「あの⋯⋯依頼料代わりになにか手ごろな別の家を紹介してもらえませんか?」
「それでお願いします!」
私は控えめに、カイルはわりと必死に頼んだ。
「パパ、ママ⋯⋯あの家に住まないの?」
そして残念そうなルナだった。
子供は無邪気でいいなあ⋯⋯。
「そうですね、それがいいかと⋯⋯。 しかし代わりの家を提供となると⋯⋯」
そう考える不動産屋さんだった。
「⋯⋯⋯⋯あと2軒。 館の浄化依頼を受けてもらえませんか? それであなた達3人が暮らせる別の家を提供する⋯⋯それでどうです?」
「カイル!」
「はい! それで!」
私とカイルはその商談をまとめたのだった。
「血のお家に住まないの?」
やっぱり残念そうなルナだった。
子供って⋯⋯難しい。
こうして私達はさらに2件の家の浄化を請け負ったのだった。
どうやらこれは指名依頼になるらしい。
私達のパーティーポイントもけっこう増えるようだ。
これならBランクもそう遠くないかも?
「セレーナ着いたぞ」
「ここが2件目の館ですか?」
そこは1件目に比べればマシな館だった。
⋯⋯でも!?
「うぐぐぐぇ!? くっさ~!」
そこはゾンビが這いまわる館だったのだ!
「セレーナ! 早く浄化を!」
「ちょっと待って! この匂いで集中が!?」
そんなゾンビ相手にカイルは光の剣で戦うが⋯⋯。
「うげっ!? ゾンビの汁が服についた!?」
「カイルこっちに来ないで! 汚いから!?」
「わかってる! わかってるけどさあ!」
私とカイルはパニックだった⋯⋯。
うん⋯⋯経験を積んだつもりでいい気になっていた私達は⋯⋯。
「うー! ルナが戦う!」
そうゾンビの群れに突っ込むルナ!?
「だめよルナ! ばっちいから触っちゃダメ!」
だけどしかし!?
ルナの影から謎の手がいっぱい生えてきた!?
その手が⋯⋯ゾンビを蹴散らす!
「ルナのパンチパンチパンチ!」
ルナの代わりにその影の手がゾンビを殴りまくる⋯⋯。
「ルナ⋯⋯その手は?」
その影の手はまるであの時のリッチの⋯⋯。
「⋯⋯? 覚えた!」
「⋯⋯」
どうやらあのリッチとの戦いでルナはこのシャドーハンドの術を会得してしまったようだ。
「ねえカイル」
「セレーナ⋯⋯ルナって」
「「天才だよね! ウチの子って、天才!」」
そうわが子の成長を見守るのだった。
「うにゃうにゃうにゃ! とりゃ~! ⋯⋯勝った! ルナちゃん大勝利ぶい!」
ルナだけでなく周りのシャドーハンドもピースサインで勝ち誇っている。
「よく頑張ったねルナ! あとはママにおまかせ!」
そして私の浄化魔法でここの土地ごと綺麗にしたのだった。
そんな浄化依頼をもう一軒片付けて私達は⋯⋯。
「ここが⋯⋯私達の家!」
今、念願のマイホームを手に入れたのだった!
「俺が家を持てるなんて⋯⋯」
「ここがルナのお家~!」
あの最初の呪いの館よりは小さいけど⋯⋯というかあの館は今思うと大きすぎた3人が住むには。
この私達の家はこじんまりしているが⋯⋯家族の声がいきわたる大きさの家だ。
「ねえカイル私⋯⋯暖かい家庭を持つのが夢だったの」
「そうか⋯⋯ならよかった」
冒険者になりたいのは本当だ。
でもしかし、こういう家にも憧れがあった私だ。
⋯⋯夢がまたひとつ叶った。
「さあこの新しい家のお祝いに料理でも作ろうかしら」
「セレーナの手料理?」
「わーい! ママのご飯ご飯!」
「今夜はハンバーグにしようかしら?」
「ママ⋯⋯ルナはタマネギ嫌い」
「だめよルナ! 好き嫌いしちゃ大きくなれないわよ!」
「いやセレーナ! 犬系の獣人族はタマネギが毒で!?」
その日の夜。
このリベルタの街にまたひとつ明かりが灯る家族が生まれたのだった。
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