第90話【旅立ちの前の一仕事(1)】
【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王・レッドクリムゾンとその眷属を大迷宮・ラビュリンティスに閉じ込めてから一週間程過ぎていた。その間にフォルト、ドラッグパーティーとメルディアとリザーナがと中心に旧・フェンナト王国跡地への救助隊と調査隊が編成されて出発していた。俺が残ったのは今後の防衛とポートフォリオンの領地拡大の為に大地魔法が役立つからである。アステリオスの話ではイメージさえあれば【大地魔法】と【鍛冶スキルの極み】で家の増築なども簡単に出来るという話だったがかなり便利であった。
ある程度の居住区が出来た為、新たに巨大な冒険者ギルドと孤児院や畑作りを作ったが土の栄養が悪いのか魔素濃度が濃いのが原因なのか植物が成長しなかった。水路もついでに作ったがどうにも小麦の成長が悪かったのだ。異世界の土の栄養は魔素だと思っていたが、オルティガンの話ではフェンナト王国では貝殻を砕いた石灰を撒いていたそうだ。
なら、海にある貝殻を集めれば良いと言うわけでも無いらしいのだ。海の魔物や魔獣は硬い上に強く巨大な為に貝殻がある砂浜にも強力な魔物が出現するというのだ。オルティガンと討伐について話しているとエレーナが尻尾を身体を巻き付けて頭を叩いてきたのだ。
「なぁ~いつになったら強くしてくれるんだよ!?ワタシやること無くて暇なんだよー!!!」
「んな事言われても相手してやる時間も余裕もないし・・・」
『・・・ん?おい、この蛇身のエレーナといったか?何故、サーベルを使っている?剣術スキルがない。鞭技のスキルが着いてるぞ?』
「はっ?エレーナは会った時からそのサーベルを使ってたぞ?エレーナ少し鑑定させて貰うぞ?」
アステリオスの指摘がなければ気づかなかったが確かにエレーナのスキルには剣術がないのだ。
エレーナにその事を訊ねると、ブロンテスに縄張りを荒らされた際に鞭は壊されてしまい、亡くなった姉の形見であるサーベルを使っているというのだ。
名:エレーナ
種族【蛇身】 レベル126
筋力+300
敏捷+3269
体力+1200
魔力+ 977
器用+1000
知能+150
幸運+ 15
【獲得スキル一覧】
【熱感知】・【危険察知】・【火炎耐性】【鞭技】・【風魔法】
鑑定させて貰ってわかったがエレーナには火魔法を獲得してしなかった。
このまま鍛えてもエレーナの為にはならないだろう。
『なら、お前が鞭を作ってやればいいだろう?鍛冶スキルの極みで武器製造も出来るぞ?それに【付属魔法印】も付与できるぞ?水魔法はメルディアがいないと無理だがな。後は鍛えるなら迷宮作れば良いだろう?』
「エレーナ。強くなるために俺が鞭を作ってそれをエレーナ専用の迷宮を作るから攻略するって特訓はどうだ?」
「鞭のが使いやすいのは確かだけど姉貴の形見で強くなりたいって思いはあるけど・・・」
『うむ。なるほどな。なら、サーベルも使いこなせる様に剣術を獲得できる様に迷宮設定をすれば良いだろう。レベル上げなども出来るからちょうど良いだろう?』
【迷宮の王】のスキルでエレーナにあったダンジョンを作り魔物や魔獣を配置する事が出来るらしいのだ。ただ一つ気掛かりだったのはダンジョン内での飯を訊ねるとちゃんと蛇身の主食となる魔物や魔獣を配置出来るらしい。
今後の事を考慮してもエレーナには強くなって貰いたい気持ちもある為にアステリオスの提案を伝えるとそれを了承してくれた。
早速ポートフォリオンに残ったゴリガンの元に行き理由を話すと「冒険者向けの試験用のダンジョンもあると便利だ」というので街から離れた場所にグレイト・ウォールを使いそれぞれの冒険者階級によって入れるダンジョンを作り踏破後に地上に戻れる様に設定をした。
ダンジョン作りを終えると配置する魔物や魔獣はゴリガンとオルティガンと相談しながら配置するとして魔物や魔獣が落とすアイテム等の換金なども冒険者ギルドできるようなどポートフォリオンの管理下に置けるダンジョンはいくらあっても良いのだろう。
アステリオスも出てくる魔物や魔獣も豊富にしておいたというが【迷宮の王】のスキルがチート過ぎるような気がしていた。
だが、建物や畑なども作れる上に存在自体がチートであるのは代わりは無いだろう。
あくまでも友好的な関係を築きたい相手に使用して信頼を得るのにも使えるだろう。
取りあえずは先ずはエレーナの鞭作りからだ。
素材もラビュリンスの魔物や魔獣の鱗や革それに鉱石等必要な素材は大方揃っている。
【付属魔法印】を付与するにも本来であれば属性適性ある魔導師の術式が必要であるが【火炎魔法】・【暴風魔法】・【大地魔法】を獲得している為にそういった事も【鍛冶スキルの極み】でできるそうだ。
「取りあえずは【火炎魔法】を付与したが、これでいいか?エレーナ」
「おぉ~赤と黒のカッコいい鞭だな!ありがとうな!ミックス!早速ダンジョンで試してみるぜ!」
「一応、エレーナのレベルに合わせたダンジョンボスや環境にしてあるから戻ってこいよ?その間に異世界の食い物を作る為にも食材やら器具作りは進めておくからよ」
「わかった!後で胸揉ましてやるな~んじゃ、行ってくるぜ!」
エレーナらしいと言えばエレーナらしいが酒癖が悪くお礼は身体で特に胸で払えば済む節がある為にガーベラやフェローラに注意して貰うように頼んだ事があるが性を生業にしている為に首を傾げられた事があった。
ドラッグにも相談したが「別に本人がいいならいいんじゃね?」と受け入れてしまっている。
エレーナがダンジョンに入るのを見届けるとポートフォリオンの街にオルティガンとともに入り砂浜へと脚を運んだ。




