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第68話【キングミノタウロスの条件】




キングミノタウロスは神々から与えられた雄牛と人間の女性との間に産まれてしまった半獣人であったというだ。


少なくとも自分に落ち度があった訳ではない。


大昔にこの大陸を納めてた王である男が神々が儀式の生け贄の為に与えられた雄牛の美しさに魅了され別の牛を生け贄に出した事で神々の怒りを買ってしまった。


その代償は王の女であるものが受けてしまった。


【禁断の情熱を抱く呪い】であった。


簡単に言ってしまえば同族以外に欲情する症状である。神々は自らが与えた雄牛を性の対象として見させ、女は雌牛の作り物を造らされて結ばれて出来たのがキングミノタウロスであるというのだ。


「確かにキングミノタウロスさんに落ち度があったというか、王様と神々の器が小さいとは思いますね」


『だろ? まぁ、それが切っ掛けで俺が産まれた訳でその眷属としてゴブリンやオークが誕生したんだよ。簡単にいえば俺を封じ込めたのは地上に魔物を増やさないようにする為だ 』


「ん?でも、結果的に今も魔物や魔獣はいますよね?」


『当たり前だろ?神々が簡単に許すと思うか?生け贄の牛を変えられた位で何の罪ねぇガキに責任を追わせる屑が神だぞ?』


確かに言われて見れば王ではなく何の罪のない王妃とキングミノタウロスは被害者だろう。


ただ成長するにつれ次第に獰猛な性格に手を焼いた王はキングミノタウロスを迷宮に閉じ込められてしまった。


当然、キングミノタウロスが造られた迷宮にも神々が力を与えた。それがこの世界の魔物や魔獣の始まりであるというのだ。


大迷宮・ラビュリンティスにはキングミノタウロスが出てこないようにする事と神々の怒りを少しでも沈める為に毎年7人の生け贄を迷宮に送り込んだのだ。


少なくともそれが行けなかったとキングミノタウロスはいうのだ。


神々の中には子どもの成長を祝福する女神もいた為に余計に怒らせてしまう事になり、強大な力を与えたそれこそが魔法であり魔力であるというのだ。


『この世界は魔力による【剣と魔法による力の世界】だ。一方でお前が来た世界にも俺と同じ話があるがそっちは退治されてるらしいが俺は負けた事がない。 その為に迷宮はダンジョンとして育ってしまいそこから魔物や魔獣が大陸を埋め尽くした 』


「つまりはこの世界の魔物や魔獣は大迷宮・ラビュリンティスから誕生して独自の進化をしていると言うことか?」


『まぁな。だが、俺は大迷宮・ラビュリンティスのダンジョンボスではなくただ閉じ込められた半獣人だった。つまりはダンジョンボスとしての役割をダンジョンから授かってない。

迷宮(ダンジョン)は俺の力の源でもあるからなぁ・・・ 』


「・・・迷宮とダンジョンの違って何ですか?別に迷宮は迷宮。ダンジョンはダンジョンでいいと思うんですけど・・・」


キングミノタウロスは人間が勝手に決めた事だから知らんというが大雑把な言い方をすれば神々が作り出したモノはダンジョン。一方で迷宮は魔素を含み成長してなったモノを迷宮(ダンジョン)というらしいのだ。


そして共通するのはダンジョンにも育った迷宮(ダンジョン)にもダンジョンボスの存在は必要不可欠であるというのだ。

実際に魔素でダンジョン内は様々な地形やダンジョンボスに近い魔物や魔獣が産まれやすくなる為にボスの存在がダンジョン内の魔素を安定させる事になるというのだ。


ならばリザーナがいっていたように魔王レッドクリムゾンをダンジョンボスにしてしまえば封印する事は出来るのであろうか?


『可能だろう。少なくとも俺の【迷宮の王】のスキルで空きダンジョンボスとして指定してしまえばその眷属や配下を迷宮(ダンジョン)に移動させる事は出来る。お前が顔を確認する時に使った水晶は体内にあるな?それを使えば可能だ 』


「なら、ポートフォリオンは助かるのか!?」


『俺がこのままお前に力を貸したらな。少なくとも俺はリザーナとかいう小娘の面倒は見れんしな・・・。そこで提案だ。お前に身体と力をやる代わりにそっちの世界の食い物をこちらでも流行らせろ』


「はっ?く、食い物ですか? え~と俺、記憶がまだ無いんですが?何故に料理ですか?」


キングミノタウロスは学生時代に弁当屋でバイトしていた知識を生かしてそれをこの世界でも発展させて旨いものを自分にも喰わせろというのだ。

少なくとも俺から知識と身体を奪えたとしても既に使い魔として『リザーナを養う義務』が発生しておりキングミノタウロスはそれを引き継ぐメリットが発生する上に『リリスの呪い』の影響でリザーナは魔物や魔獣同様に殺されなければ死ぬことはない。


だが、契約でリザーナは護る対象になっている為にリザーナが死ねば自分も死ぬことになるというのだ。


『それならお前に身体を力を与えて俺は中で旨いものを喰ってお前らがどうするのか見てた方が面白いからな。万が一危なくなったら俺が代わりに戦ってやろう』


「そ、そりゃありがたいんですが、そんなに俺がいた世界の飯が・・・」


『愚問だな。こっちは力の発展。お前の世界は知恵による技術と探究心の発展により文明も飯もある。少なくとも俺に取っては旨いモノを造れて自分も喰える方がメリットがあるからな』


「何かもっと過酷な試練かと思ったら割と食料と調味料さえ揃えれば何とかなる案件で助かった。少なくともリザーナとエレーナの飯もこれが作るのでちょうどいいな」


ハッキリ言ってしまえばキングミノタウロスはリザーナとの契約を自分では全うするのは不可能であるが異世界の知識でこちらでも似たようなモノを喰えるようにして自分にも喰わせろというのだ。 いや、作って喰うから別にそれはそれであり何だけどそれでいいのか?


仮にも大迷宮・ラビュリンティスのダンジョンボスが異世界の飯喰えりゃ良いってそれでいいのかよ。


『俺が小娘の為に魔物や魔獣を狩って金銭管理や料理をするなどお前の知識があっても理解できん。なら、お前に任せて喰えたら儲けもンだろう? 少なくともあのエロフと契約を交わした時点で俺は任せるつもりだったからな!ガッハッハッハ!!!』


マジで細かいこと気にしない豪快な性格がちょっと羨ましいと思ってしまった。


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