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突然の妹 - 3

 光輝と涼子、リリスは、師匠の部屋の小さなテーブルを囲んで集まった。


 師匠の家へ行く途中、『コンビニで食料を調達しよう』と涼子が言い出した。4人が思い思いのお菓子を選び、(リリスはおつまみコーナーの密封されたゲソを選んだ)さーて師匠の家に行きますかとコンビニを出て5分後、バケツをひっくり返したような土砂降りに襲われた。

 そのため、小さなテーブルにはポテトチップスやらチョコレート菓子やら、ゲソなどが広げられ、いろいろな色のペットボトルが儀式のロウソクように立っている。

 当の4人はびしょ濡れのため、女性陣は師匠のパジャマが配られ、(涼子は少しキツそう)光輝は師匠パパのTシャツと短パンに着替えた。


「話をまとめよう」

 着慣れたパジャマ姿で、4人の中で一番小さな年長者の師匠が切り出した。

「盗賊クエストで何か盗んでこいと言われ、貴族風の屋敷を訪れた」

「はい」

 師匠の質問に光輝は答え、ペットボトルを開けてリリスのコップに注いだ。その様子を見た涼子がムクれてコップを光輝に差し出している。

「その屋敷にリリスちゃんが囚われていて、屋敷の主はネクロマンサーだった」

「ハロルドと名乗っていました。彼はゴーストの召喚と、ドラゴンに化ける魔法も持っていました」

 リリスがうさぎ柄のパジャマで答える。光輝は頷くと、涼子にペットボトルをそのまま渡した。涼子はさらにムクれている。


「よく勝てたね。私でも勝てないと思うよ」

「ドラゴン化には継続時間が設定されていたみたいで、それをリリスが魔法で早めて無効化することができました」

「なにそれすごーい」

 師匠の質問に今度は光輝が答え、涼子は驚きながらリリスをまじまじと見た。

「夢中で何かしなければと唱えたのですが、自分でもよくわからないのです」

 リリスは密封されたゲソの開け方がわからず、思考錯誤していると光輝が開けてくれた。


「ん?ん?なんですかこれは、初めて食べた味です」

 ゲソに興奮するリリスに、これも美味しいよと涼子がスティックのジャガイモフライを勧める。

「うおおお、こんな可愛い少女がゲソくってるぅー、…って、いかんいかん」

 師匠はオヤジのように目頭を抑えて頭を降っている。


「クエストが完了して、いつものスキル取得になると思ったんですが、スキル取得は出ませんでした」

「スキル取得ではなく、リリスちゃんを取得した?」

「多分そういう事なんだと思います」

「私も可愛い妹ほしいいいいいいいい。必ずゲットするぞおおおおお」

 光輝の説明に師匠は右の拳を高々と掲げ、妹取得宣言をした。ーーなんじゃそれーー


「気を取り直して、私からもお知らせがある」

 師匠は座り直して、紫色の炭酸水をとって自分のコップに注いだ。

「実は公式サイトからログイン設定ができるそうだ」

「「え?」」

「地の賢者に会ってきた。地の賢者は、みんなに説明しに回っていた黒猫だったわけだけど…」

「「ええ?!」」

 光輝と涼子は2度シンクロしてビックリし、リリスは首を傾げ(かし)ている。

「地の賢者?黒い猫?…このお芋スティックも美味しいです!」

 リリスは、ポキっと芋スティックを折ってまじまじと見つめ、ぱくっと食べた。

「うおおお、こんな可愛い少女が芋スティックくってるぅー」


 変なテンションの師匠を含め、会議は和やかにダラダラと進んでいった。



2017/2/2 サブタイトル修正

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