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谷の祟りと高木の神々  作者: わけあり団子


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プロローグ

 黄色いイチョウの葉が敷き詰められた神社の境内に、泣き声が響いている。


 声のする方へ目をやると、つもった葉の上に幼い少女が立っていた。黄と黒の着物姿で、空を仰ぎ大きく口を開け、大粒の涙をこぼしながら泣いている。


 よほど悲しいことがあったのだろうか。


 『放ってはおけない』そう考え、足を出そうとするが、不思議と体は動かない。


 体のあちこちを動かそうとしてみるが、足どころか指の一本さえ、動かないことに気づく。


 突然、パキ、と小さな乾いた音が頭の中で鳴った。


 視線を音の鳴った方へ走らせると、右手の小指が、あるはずのない角度に折れ曲がっている。不思議と痛みはどこか遠くにあるようだった。


 次はゴッ、と右肘から鈍い音がした。今度は激痛が走る。


 (痛い――)


 悲鳴を上げようとしても、声は出なかった。


 次は、頬に何か硬いものを押し当てられる感触。ソフトボールほどの大きさの丸い何か。


 押し当てられる力はどんどん強くなっていく。


 やがて、ボキッボキと鈍い大きな音を立てながら、奥歯が2本、倒れる。


 何かはそのまま進み、顎を砕き、やがて頬の肉が引き千切られる。


 (やめて――本当に、痛いの――)


 頭に圧がかかる。左右からじわじわと。締め付けられていく感覚。何をされようとしているのか理解した。


 (嫌。誰か――誰か、助けて――)


 叫びは声にならないまま、頭の中だけで反響している。


 締め付ける力が限界を超えたとき、何かが砕ける音。今までで一番大きな音がした。

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