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クラス転移と体の変化

 「ようこそ、異世界人…… 早速で悪いが、君たちに世界を救ってほしい」


 深刻そうな顔をして、王様が言う。


 日向(ひなた)はライトノベルが好きだ、色んなラノベを読んできた中でこう言うシチュエーションは数え切れないほど見てきた。


 だからこの展開もすぐに分かる。


「クラス転移だ! て、へ?」


 日向がそう言うと、すぐに自分の違和感に気がづく。


 声がおかしい、目線もいつもより低い、髪もピンクで、長い。


 嫌な予感がする、この展開はまさか……


 日向は自分の股間に手を当てる。


「……な、ない」


 いつもあるはずのものがない。


 もしや俺、女になってね!?



 ♢♢



 春田日向(はるたひなた)はラノベやアニメが好きな高校2年生だ。


 日向は学校では特に目立つ方では無かったが、それでも友達は結構いた。

 別に、目立ちたいとも思っていなかったし、すごい能力とかも無かったので、友達がいるだけで十分だった。


「おはよう有」


「おはよう日向」


 親友の木楽有(きらくゆう)

 なんでもできて、顔も性格もいい、女子からの人気もあるから、日向は少し嫉妬してしまうこともあるのだが、自慢の親友だ。


「昨日の無謀勇者見たか?」


 有は最近話題になっていて日向も有も見ているアニメ、無謀勇者の話を始める。


「見た見た!」


 日向は昨日からその話題をしたかった。


「まさか主人公が自爆特攻するとはな」


 最新話では主人公が自爆をし、敵を倒すと言う、展開だったのだ。


「ははは、あれは驚いたね」


 そんないつも通りの会話をしていると。


 ブウン と大きな音が聞こえ、教室が大きく揺れる。


「きゃあああ」

「うわあああ」


 悲鳴がクラス中から聞こえてくる。


「どうなってるんだ! て言うか床が光ってる!?」


 揺れが激しくなってきた時に、床が光り始める。

 そして前が見えないほど光り始めたと思えば、辺りは、教室では無くなっていた。



 ♢♢



 日向は混乱していた、ただでさえ違う場所に飛ばされいるのにくわえて性別まで変わっているのだ。


「どどど、どうなってるんだよ?」


 若干涙目になりながらも、冷静を取り戻そうとする。


 日向が混乱していると、再び王様が喋り出す。


「私たちの世界は今危機的状況にある。日に日に力を増している魔王軍、前線部隊はなかなか成果を上げれていない。

 最後の希望はお前たち、異世界人だ! どうか、私たちに力を貸してくれ!」


 異世界召喚のテンプレだ、と思い日向は少しワクワクする。

 異世界に召喚された主人公が仲間と魔王を倒す。日向はそう言う展開も、結構好きであった。

 今の状況に戸惑っていた日向だが、少し調子を取り戻す。


「どういうことだ!」


「なんで私たちがそんなことをしないといけないの!」


 当然何人かが不安な声を漏らすなか、一人の男が王様に話しかける。


「僕たちが元の世界に帰る方法は、あるんですか?」


「もちろんだ、魔王軍を倒せば元の世界に帰るはずである」


なるほど、ここもテンプレどうりの展開だ、分かりやすくて助かるな


 そして、さっきの人が王様に色々と質問をする。


「僕たちを呼んだ理由は? 僕たちは、訓練された兵士よりも強いわけではないですよ?」


「お主らは確かに戦闘経験がほとんどないかもしれん。だが、異世界人は召喚する時になんらかの強い能力を与えられるはずだ。試しに自分のステータスを見てみるといい、ステータスオープンと言えば開くぞ」


「魔法とか使えるのかな?」


 異世界ものは、大体が剣や魔法を使い戦う、なので日向も自分も使えるかもと思うと、興奮する。


 そんなことを考えているとある違和感に気づく。


「あれ? あんなやついたっけ?」


 日向は、さっきまで王様と話していた緑髪の少年が見覚えのないことに気づく。周りを見ても召喚された奴らはクラスが一緒のやつばかりだ。


 制服は一緒だが緑髪の少年なんて学校で見たことがない。


 気になったら聞いてみよう、そう思い日向は近づいていく。


「おい! お前は誰だ?」


 緑髪の少年がそう言うと意外な言葉が返って来た。


「僕は、佐藤白(さとうしろ)だけど?」


 その言葉で周りがざわつき始める。

それもそのはず、佐藤白はクラスの中心的人物で、黒髪黒目のはずだ、緑髪に黄色の目では無かったはず。


「僕は、君の方が気になるよ、僕たちのクラスに君みたいな子はいないと思うんだけど?」


 日向に向けて、少年が言う。


「あ!」


 完全に自分のことを考えていなかった日向は今、少女の姿になっているはずだ。


「え……えと……あの……その」


 どう言えばいいかわからない、もしかしたら変な感じで思われるかもしれない。


 言おうとしても怖くて次の言葉が言えない。

 涙が出そうになりながらも振り絞って名前を言う。


「は……た……なた」


 弱々しく声が漏れる。


「もう一回言ってもらっていいかな?」


 聞こえなかったのだろう、もう一度聞いてくる。


「……春田日向だよ」


 言ってしまった、信じてもらえるだろうか心配になってくる。


「何を言ってるんだい? 日向は男だぞ?」


 当然白は信じるはずがない。


「この世界に来たときから、こうなってて」


 そんな日向たちの疑問に答えるかのように王様が話し始める。


「そのことに関しては、私が答えよう。

 召喚された際に特に強い力をもらったものは体に異変が起きると言われている」


 王様の説明を聞き白が驚いた様子で日向を見る。

 

「まさか……本当に日向なのか?」


「だからそう言ってるだろ!」


 周囲がざわつく。


「本当にあの可愛い子が日向くんなの?」


「まじかよ、日向、女になったのかよ」


 すると一人の男が近づいてきた


「日向……なんだよね?」


「そうだけど……君は?」


 誰だ? この高身長金髪イケメンは、いくらなんでもイケメンすぎるだろ


 日向の前に、見たことのないイケメンが現れ、無意識に日向はそのイケメンを睨む。


 イケメンすぎるほど、イケメンなのだ。自分が少女になっていることもあり、すごくムカつく。


「木楽有だよ」


「お前も姿が変わったのか?」


「そう言うならそうなんだろうな」


 日向はさらに強く睨む。普通にイケメンだったやつがさらにイケメンになったのだ。不平等だ。


「そんなことより早くステータスを開かんか!」


 一向にステータスを開かない日向達にイラついたのだろう、王様が声を張って言う。


「あ!」


 皆すっかりそのことを忘れていた。

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