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オーバードーズ  作者: 昭島吾郎
第2章 半グレ組織 Rogue Squad
12/16

第11話 立川市富士華町

第12話は来週金曜午後7時10分投稿予定です。

(1章のあらすじ)

ホテルSKYSTARで起きた銃殺事件。それはただの犯罪に過ぎないと片付けるにはあまりにも奇妙だった。中神たちは、事件に使用された銃弾から浮かび上がる「蛇竜」という名の中国マフィアの影を追い、独自の調査を始める。だが、その先には思いも寄らぬ人物、都議会議員「渡辺 翔」の姿が待ち受けていた。


暗闇は深まるばかり。疑念と不安が渦巻く中、中神一行は突如、半グレ組織「Rogue Squad」に捕らえられ、さらなる闇へと引きずり込まれる。その手のひらの上で、彼らの運命はどう転がるのか。


東京、そして歌舞伎町。そこは今、どんどんとその色を濃くしていく。中神の意志などどこ吹く風、街は無慈悲にその輪郭を変えていくのだった…。


────────────────────


目を覚ました時、見慣れぬ天井が目に入った。


目を開けると、見慣れない天井が視界に広がった。いや、どこか懐かしいような、でも確かにここで目を覚ました記憶はない。木の質感がわずかに伝わり、柔らかな温もりが漂っている。ここは一体、どこだろう…。


ここは一体、どこだ?


意識がまだはっきりしない中で、必死に思い出そうとする。気を失う前、俺は確かあのエリックに撃たれたはずだ。しかし、傷はどこにも見当たらない。それよりも、全身に何かしらの機械的な設備が取り付けられている。酸素マスク、点滴…。木造の部屋には似つかわしくない、近代的な医療設備が並んでいる。


中神 恋「ここは一体…」


ぼんやりとした頭で考えてみても仕方がない。ただ、点滴を自分で外すのは少し怖かった。だから、ひとまず運命に身を任せることに決めた。周囲を見渡すと、隣のベッドには国立慶が横たわっている。俺と同じように、意識が戻ったばかりのようだった。


中神 恋「(あ、いた…)」


国立 慶「ん、起きたか。」


反応の差がありすぎることは気にせず、慶はゆっくりと目を開けた。


国立 慶「ここはどこだ?お前は…分かるはずないか。」


中神 恋「傷は痛まないか?お前も撃たれたような気がするんだが。」


国立 慶「俺は大丈夫。他のふたりは?」


そういえば、他にも二人いたはずだ。寝すぎたせいか、頭が少しぼやけている。


国立 慶「ここはどこだ?確か俺たち…RSの連中に撃たれたはず。」


その時、急に部屋の扉が開き、見知らぬ女性が現れた。年齢は…俺たちより少し上だろうか。


???「目を覚ましたようね。」


女性の声は冷静で、どこか落ち着いていた。まるで何事もなかったかのように。


???「他の2人なら無事よ。別の部屋にいる。ちょうど目覚めたところ。」


中神 恋「ここはどこか、貴方は誰か、話してくれないか?」


女性は少し黙り込んだ後、ゆっくりと答えた。


???「うーん。それよりも、今日が何日かわかる?」


中神 恋「今日が?えーと…11月は合ってるよな?」


???「それは間違いない。」


中神 恋「うーんと…3?いや、もう少し寝てたかな。4とか5とか…。いや、もうそのくらいになるとピンポイントで当てるのは難しいな…」


???「30よ。」


中神 恋「30!?」


その言葉が、頭の中で反響した。4週間も眠っていたのか…。信じられない数字だ。


???「予想以上に目覚めなくて焦っていたわよ。こんな大掛かりな装置を導入するのも初めてだったから。」


国立 慶「そ、そうなのか。んで、あんたの名前は?聞いてもいいか?」


???「どうぞ。私の名前は、大館 幸。喫茶Gehennaのウェイトレスです。」


中神 恋「喫茶?」


大館 幸「今、貴方たちがいる喫茶店です。」


中神 恋「なるほど。でも、なんで俺らがここに?知ってるか?俺らが目覚める前、NSという半グレ組織に撃たれてるんだ。」


大館 幸「そのRSのメンバーがここに運んできたのよ。ここはRSの所謂シマってやつね。」


中神 恋「なるほど。」


国立 慶「ってことは、ボスのことも認知してるよな?」


大館 幸「うっ…そ、そうだけど、認知っていうか…」


急に彼女の口調が曖昧になった。その言い方に、何かが隠されている気配を感じた。


国立 慶「わ、わかった。でも、この店にマスターとかいないのか?」


慶はその微妙な空気を感じ取ったのか、話を変えた。


大館 幸「い、いるわよ。私の父だけどね。呼べば来ると思うけど。あ、もちろん貴方達のことも知ってるわよ。」


国立 慶「そうか。いや、今はいい。いずれね。あと、これ外していいか?自分で外すの怖いんだけど。」


大館 幸「…あ、確かに。ちょっと待って。」


そう言って、大館は手際よく点滴などを外してくれた。


国立 慶「おっ、あ〜確かに久しぶりに解放されたような気がする〜!」


中神 恋「そうだな。他の二人についても、外してもらえないか?」


大館 幸「うん。別に難しくないから、いいけど。」


そう言って、すぐに部屋を後にした。


少しして、大館が二人を連れて戻ってきた。


拝島 良「おお、恋か。」


中神 恋「おう、恋だ。久しぶりだな。記憶の中では昨日のような出来事だが。」


国分寺 好「ほんとに良かった…私たち、もうダメだと思って…」


中神 恋「そう言えば、俺たちをここに連れてきた理由や、この店がどこにあるのか、聞いてなかったな。」


国立 慶「確かに。」


大館 幸「それが…私にもよくわからないのよ。でも、エリックには匿ってくれって頼まれて。あと、」


大館は少し息をついてから、続けた。


大館 幸「ここは東京都立川市富士華町。RSのお膝元よ。」

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