第323話 各個の主観.29
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私は、ヴァイア=カナム。
“竜人の男性”だ。
実家である[王城]と、[帝都の屋敷]を、行き来するようになった。
[スサノオの都]にいる時のほうが増えてはいるが。
そんな私は、東の[谷]で発生した【ダンジョンブレイク】によって、“モンスター集団”が暴走しているとのことで、急ぎ王城に帰った。
皆に伝えたところ、“次兄のドゥーラ”が[数十名の兵士と従魔]を伴ってくれるそうだ。
こうして、私たちも討伐に参加した。
ちなみに、私の新しい槍は[ランスみたいな形状]になっている。
穂が[三角錐]のような感じだが、“副委員長”によってファンタジー色が強めだ。
ま、ドゥーラ兄上の指示にて、すぐに“ドラゴン”と化したので、使う場面はない。
小雨が降るなか、“虫系のモンスター”に【気焔】を用いて、“ワイバーン達”へと向かう。
退却する“竜もどき”に接近し、一匹にクチから【炎】を浴びせる。
いくらか尻尾が燃えた敵は、熱さに悶えたものの、振り返るなり、反撃してきた。
私であれば勝てると思ったのかもしれない。
何せ、あちらは全長15Mぐらいで、私は5M程のため。
オスらしきワイバーンがクチから放った〝直径1M〟あたりの【ファイア・ボール】を左に躱し、右手で〝直径50㎝〟の【神法陣】を築く。
そうして、
「アイス・アロー。」
【氷の矢】を25コ飛ばす。
全てが喉元に刺さり、凍らせた流れで、割れる。
この“竜もどき”が血を噴射して落下するなか、別の個体が左から私の首に咬みつこうとしてきた。
宙で反転し、仰向けになった私は、通過しようとするメスの腹部を両足で蹴り上げる。
若干ふらついている魔物に、今度は〝直径1M〟の【神法】にて、
「サンダー・シェル!」
〝直径20㎝〟といった【雷の砲弾】を25コ用いた。
ヒットしたそれらによって痺れたモンスターもまた、墜ちてゆく。
この二匹を仕留めるべく、私は体勢を戻して降下を始めた―。
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僕は、フリント=ロデール。
“ハイドワーフ”です。
帝都の開発に嬉々としています。
まるで少年かのように。
あ、いえ、実際に子供なのですが。
なんにせよ。
それなりに[温泉街]の建設も進んでいます。
一方で、造る[料理屋]に悩んでいるところです。
[和食]をメインにしたいのですが、プロ並みに調理できるヒトがいないので。
あと、かつての生徒たちは[たい焼き/イカの鉄板焼き/たこ焼き/お好み焼き/もんじゃ焼き]であったりも欲しがっています。
しかしながら、火力を均等に保てないので、現在は無理です。
こうした日々のなか、学級副委員長だった“奈木君”とも再会できました。
そんな“魔人のルトス君”に、僕は“恩師殿”と呼ばれるようになりました。
前世では“先生”でしたが。
恥ずかしいのでやめてもらおうとしたものの、「小生にとって恩師殿は恩師殿でありますぞ!!」と押し切られてしまった次第です。
なんか、前にも似たような事があった気がします…。
とにもかくにも。
ルトス君を中心に、RPG的な[武器]を依頼されました。
祖父の“トラヴォグ”は、「幾つかは難しめではないか!」といった具合に、何やら〝ぶつくさ〟と文句を言っていましたが、結局は楽しそうに作業していたものです。
やり甲斐があったのでしょう。
なお、僕はルトス君の勧めもあって[両刃のバトルアックス]を選びました。
青い[クリスタル]が1つ付属しているため、焦っていても【神法陣】の形成がスムーズとなります。
これらの品々を全員が受け取り、支払いが済んだところで、“兎の獣人 カトリーヌさん”の祖父にあたる“カング男爵”が、谷で起きた件を知らせてくださったのです。
よって、僕などは、一旦、屋敷に帰りました。
そこから、休みだった“祖母のディーザ/ヴィストラ伯母さん/リズウィン伯母さん”が加わってくれる運びになったのです。
ヴィストラは長女で、リズウィンが三女となります。
あしからず。
さて。
雨のなか、モンスターとのバトルを繰り広げていったのです……。
数十分が経ち、勝利を収めました。
戦死者が出ておりますが。
また、傷が完治していないヒト達もいます。
片目の光りを失って久しい“ベルーグ将軍”みたいに―。




