第309話 展望.14
学級副委員長だった“奈木悠一君”に、転生者たちが自己紹介していく。
“ルトス=シャーン”という名の魔人になっていた彼は、
「なんと?!」
「これはまた!!」
といった感じで次々に驚き、最終的には、
「皆さん、お懐かしゅうございますなぁー。」
嬉しそうに目を細めた。
こうした彼に、“先生”が、
「それで??」
「ご同行されている方々は?」
そのように訊ねられる。
「これは失礼しました!」
「小生の父上殿に姉上殿と、お抱えの魔術士であります。」
奈木君が答えたところ、
「ルゼム=シャ―ン。」
「“ルーヴィモ王国”の公爵です。」
〝セミロング天然パーマ〟をオールバックにしている男性が会釈した。
続けて、やはり〝巻き毛〟で、ポニーテールの女性が、
「“ケリス”と申します。」
「ルトスの姉です。」
「以後お見知りおきを。」
スカートの左右を手で抓み上げ、淑女らしく挨拶する。
所謂[カーテシー]だ。
副委員…、ルトスの父は42歳で、姉は15歳なのだと。
また、父親は“四男”であり、訪れていない母親は“第二夫人”らしい。
ルトスなどには、同じ母の子として、弟がいたものの、かつての伝染病で他界しているそうだ。
なお、ルトス達の祖父が[国王]とのことだった。
通称は[魔王]なのだとか。
「ひとまず僕らは合同鍛練を再開するけれど……、参加する??」
こう誘ってみたら、
「折角ですが、汚れても構わない服を持って来ていないでありますよ。」
「まさかこのような状況になっているとは思ってもおりませんでしたからな。」
「なので、見学させてもらうであります。」
「いろいろと積もる話しもありますし。」
ルトスが〝ニコニコ〟しつつ返す。
「コート羽織らなくて大丈夫?」
「寒くない??」
そのように心配したところ、
「小生たちの国よりも暖かいほうでありますよ、こちらは。」
との事だった。
誰もが〝へぇー〟と理解を示すなか、“コルティ”が、
「つーか、そういう喋り方だったっけ?」
素朴な疑問を投げ掛ける。
「ああ、これは前世の記憶が甦ってから変更したでありますよ。」
「異世界に合わせて。」
楽しげに説明したルトスに、
「私よりもイメージが偏ってるわね。」
コルティが苦笑いする。
「ん??」
「もしや、原野殿もお好きでありましたか?」
「ファンタジーものが。」
こうルトスが尋ねると、
「ま、それなりに厨二病だったよ。」
「隠してたけどね。」
〝はははははッ!!〟と愉快そうにするコルティだった。
そうしたところで、“鬼人のディージー”が、
「そろそろ、後にしてもらっていいか??」
「体が冷えてきちまったから、動きてぇ。」
優しめに声をかける。
これに対し、
「承知したでありますよ、織本殿。」
穏やかに頷くルトスだった……。
▽
いつもより早く切り上げ、着替えを済ませた僕などは、[第二広間]に赴く。
そこから、待ってくれていたルトス達と、お喋りしだす。
他のメンバーは、各自、[第1区の屋敷]に帰宅している。
服装を変えてから戻ってくる予定だ。
[合同鍛練]のときは必ずこうする事になっていた。
いずれにしろ。
ルトスの父は[第四王子]にあたる。
けれども、長男の[第一王子]だけを残して、兄弟は[公爵]となり、姉妹は嫁いでいるそうだ。
あと、魔人族は3歳を過ぎると翼を出現させられるようになるらしい。
ルトスが披露してくれたら[コウモリの羽]みたいな形状と色だった。
なんにせよ。
ルトスの父親と姉は、[総合格闘技]や[空手]に興味を惹かれたそうだ。
“リーシア姉上”が、
「七日に一度お越しになられて構いませんわ。」
「ね? ラルーシファ陛下。」
僕に視線を送られる。
「勿論です。」
このように応じたら、
「それに、スサノオ帝国と同盟を結べば、地球の料理などの製法を教えてさしあげますわよ。」
「ドゥユール王国、カルスム王国、ジッグ王国みたいに。」
姉上がルゼム公爵に語られた。
「つまり、竜人、天空人、鬼人の国々と、そういう関係であられるのですな??」
確認する公爵に、姉上が「ええ」と肯定するも、
「しかし、私は立場が弱いほうなので、父上であったりが了解してくださるかどうか。」
首を軽く横に振る。
「だったら、城の料理人たちに“お持ち帰り用”を作ってもらおう。」
「お酒やジュースも揃えさせるよ。」
そう僕が提案すると、
「“テイクアウト”ですな!」
「それであれば祖父上殿を納得させる材料になりえますぞ!!」
ルトスが明るい表情となった。
こうしたところへ、主だったヒト達が集まりだす―。




