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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第五章 ブエラリカを覆う影/終焉の龍神機現る
85/95

5-終


 気付くと、俺とコスモ・ドラグーンは不思議な空間に居た。

 黒と白、二色の光の壁が周囲を覆っている。


『ここは……何処かに転移したのか?』


『……いいえ、マスター。我等の座標は動いていません。おそらく、先程の光で出来た繭……卵のようなものでしょうか?』


『そうなのか……しかし、これは?』


『お兄ちゃん……』


 辺りを見回す俺に、コスモ・ドラグーンが不安気に触れる。その瞬間、俺の脳に火花が散った。


『ぐぅっっ!!!』


『マ、マスター!?』


『お兄ちゃん!』


 あまりの衝撃に思わず頭を抑えた俺に、イスミルとマシロが驚きの声をあげる。


『……いや、大丈夫だ。それより、イスミル、マシロ。それより、俺達が何をすべきか、今わかった』


『お兄ちゃん……それって……』


『ああ! 合体だっ、マシロ! 輪廻サンサーラ合神コネクトッ!!』


 俺の叫びに呼応するように、コスモ・ドラグーンの全身が光り解ける。白い大きな球状になったコスモ・ドラグーンが、俺の体を包み込んだ。

 球の内側から触手が俺の四肢に絡みつく。まるで溶け込むように、漆黒の甲殻の上に白い甲殻が形成されていった。


『くっ!』


 合体した箇所から、溢れるほどのエネルギーが身を焦がす熱のように流れ込む。

 その熱はイオスとマシロ、二人の結晶が完全に同調した瞬間、最大に高まる。


『おおおおおっ!』


 体中に収まりきれない程の熱、それを振り払うように、両手を大きく水平に広げた。そこから生じる力の波で、周囲を覆っていた光の膜が吹き飛んだ。


「凄いな……エネルギーが溢れる」


 自身の体を見回す。見える範囲だけしかわからないが、コスモ・ドラグーンより優美な白色鎧に身を包んだイオス・ドラグーンといった感じだろうか……イオスの黒い全身を白い甲殻が包んでいた。


「はい、凄いです。本当に、私とお兄ちゃん、繋がっちゃいましたぁ……」


「不穏な発言はやめなさい、マシロ。マスター、これを」


 イスミルから、今のドラグーンの姿がイメージとして送られてくる。四肢や胴体に関しては見た通りだが、尾はより長く強靭に、背にはイオスの皮膜翼と、コスモの白羽の翼が一対づつ四枚生えていた。


「正直、今のドラグーンがどの程度の力を有するか、我等にはわかりません。ですが並大抵の能力ではないはずです」


「イスミルでもわからないのか。……いや、それもすぐにハッキリしそうだ」


『ほう……まさか、二体のドラグーンが合体するとはな。わざわざ待っていた甲斐があるというもんだ』


 どうやら離れて様子を見ていたようだ。

 俺の眼前に、腕組みをしたディマイズが降り立つ。


『待たせたようだな……混沌卿』


『ふんっ、俺はただ、より強い貴様を倒すだけだ。もっとも、中身も期待通り……だといいんだがなっ!』


 今まで以上の速度でディマイズが飛び込んでくる。だが、俺はあえて動かず、奴が打ち込む拳に自分の拳を合わせた。


ーーガィンッ!ーー


 硬質な甲殻同士がぶつかる鈍い音が響き、大気が震える。凄まじい衝撃が俺の腕を通り抜け、大地に脚が沈み込んだ。


『何っ!?』


 しかし、衝撃で体勢を崩したのは、ディマイズの方だった。俺は、奴がグラついた隙を見逃さず、胴を薙ぐような回し蹴りを放つ。


『ぐぅぅぅっ!』


 俺の攻撃をまともに受けて、ディマイズが地面を削りながらずり下がった。


『まだだっ!』


 すかさず後を追い、振り上げた右脚を振り下ろす。


『ちっ!』


 素早く後退し、俺のかかと落としを回避するディマイズ。

 だが、それは予想範囲内の動きだ。

 空振りした右脚で踏み込み跳ぶ。

 そのまま体を回転させ、浴びせ蹴りの要領で再度右脚を振り下ろした。


『捉えたっ!』


『グゥッ!』


 俺の蹴撃はディマイズの胴を打ち、その甲殻ごと内部の肉も大きく抉りとる。

 そのまま大地に押し倒し、俺はディマイズに馬乗りになる。


『お兄ちゃん!』


 マシロの声に反応し、白い甲殻から触手が伸び、ディマイズを縛り上げる。


『マスター!』


 イスミルの召喚した六体の黒水龍が右腕に集まる。以前なら確実に暴発していたであろうその力を軽々と扱い、横たわるディマイズに向ける。


『再生する暇は無いぞっ、ディマイズ。 これでトドメだ! ドラグ・ヘキサ・インパクトッ!!』


 六体の黒水龍が、まるでドリルのように回転しながらディマイズの胴を貫いていく。

 黒水龍が消えた時、ディマイズの胴には巨大な穴が開き、下半身は千切れ飛んでいた。


『まさか……ここまでやるとはな』


 空を眺めたまま、ディマイズがポツリと呟く。


『くっ!』


『安心しろ、俺の体はじきに崩壊する。……お前達の勝利だ』


 身構える俺に、ディマイズが応える。確かにその体は、黒い砂のような物になってボロボロと崩れ始めていた。


『お前を倒して本物になるつもりだったが、所詮贋作は贋作……いや、贋作の贋作、か』


『いったい何の話だ、混沌卿?』


 俺の問いには答えず、ディマイズは弱々しく腕を上げ俺を指差した。


『俺に勝ったお前達に一つだけ、良い事を教えてやる。俺が以前、お前達に言った破滅……それはまだ、終わって……』


 崩壊が広がり、ディマイズが完全に崩れ落ちる。


「今度こそ……終わったのか?」


 周辺を警戒するが、新たな敵が現れる気配は無い。


「どうしますか、マスター?」


「よしっ、ミンバ軍と合流して、残った鱗甲冑が居れば、撃……」


ーーパチパチパチパチーー


 突然、この場に似つかわしくない拍手の音が響く。


「な、なんだ!?」


「お兄ちゃん、あそこです!」


 マシロが俺の意識を、空中の一点に向けさせる。

 そこには、あの日の夜と同様、支えなど無い空中に立ちながら、もう一人の混沌卿が拍手をしていた。

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