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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
青の覚醒
1/34

目覚め

1話を再編集しました。大筋は変えてないのでよろしくお願いします。

三百年前――人と魔族が殺し合う戦争があった。

 長く続いたその戦争は、勇者が魔王を封印したことで終止符を迎える。

 だが、その裏で――ある一人の男は瀕死の傷を負っていた。

 男は生き延びるため、愛する国へ、愛する者のもとへ帰るため、一匹の竜と契約を交わす。

 その代償が、何であったのか――その時の男はまだ知らなかった。


 山奥の、深い洞窟。

 光の届かぬ闇の中、男は氷に閉ざされていた。

 静寂。

 時間さえ凍りついたかのような空間の中で――

 やがて、氷に微かなひびが入る。

 ゆっくりと、溶ける。

 そして――割れた。


 男は瞼を開く。

 氷が砕け、床へと崩れ落ちる。

 その中から現れたのは、一人の男。


 白髪。

 整えられた豊かな白髭。

 一見すれば老人にも見える。

 だがその肉体は、四十代の歴戦の戦士そのものだった。鍛え抜かれた、無駄のない体。


 男――ガルウィンは、自分の胸に手を当てる。


「……どれくらい、寝ていたんだ?」


 洞窟には、闇しかない。

 周囲に人の気配はない。

 自分を覆っていた氷も、いつの間にか跡形もなく消えていた。


 その時。


『……およそ三百年じゃ』


 心の奥に、声が響いた。

 年老いた老人のような、深く重い声。


「……レグナか」


 それは、契約した竜の名。


『久しいのう』


「三百年……か」


 ガルウィンは、遠くを見るような目で呟く。


「そんなに経ったのか……」


 静かに、息を吐く。


 やがてガルウィンは洞窟を抜け、外へ出る。

 差し込んだ光に、思わず目を細める。


 太陽。


 三百年ぶりに見る空の光だった。


 洞窟の外は、切り立った崖になっていた。

 人の手では到底近づけない、閉ざされた場所。

 下を見れば、深い森が広がっている。


 その先。

 木々が途切れた場所に、小さな村が見えた。


「……」


 ガルウィンは、その村をじっと見つめる。

 何も言わない。


 ただ、その瞳には――深い悲しみが宿っていた。



 一年後。


 ガルウィンは、まだ森の中にいた。

 洞窟からは出た。だが人と関わることを避け続けていた。


 レグナはあれ以来、眠っているようで返事はない。


 今は、大木の虚の中に身を寄せて暮らしている。

 簡素な寝床。

 わずかな食料。


 静かな生活。


 だが、この森には村が近い。

 人の気配が、時折入り込んでくる。


 山菜を採りに来る者。

 魔物を討伐しに来る者。


 そしてある日。


「た、助けてくれ……!」


 叫び声が響いた。


 ガルウィンは、偶然その場に居合わせていた。


 青年が一人、魔物に囲まれている。

 ウルフドッグ――凶暴な狼の群れ。


 牙を剥き、じりじりと距離を詰めている。


 青年は腰を抜かし、震えていた。

 手にはナイフを握っているが、とても戦える状態ではない。


 その背後に、ガルウィンが現れる。


「……大丈夫か」


 穏やかな声だった。


「えっ……?」


 青年が振り向く。


 次の瞬間。


「ナイフを借りるぞ」


 ガルウィンは有無を言わさず、その手からナイフを取った。


 ――消える。


 青年が魔物の方へ目を向けた時には、すでに終わっていた。


 ウルフドッグは全て、倒れていた。


 血の匂いだけが残る。


「終わりだ」


 ガルウィンはナイフを投げる。

 それは青年の足元に突き刺さった。


 振り返ることなく、森の奥へと消える。


 それが最初だった。


 その後も、何度か同じようなことが起きた。


 迷子になって泣く子供を村まで送り届けた。

 足を怪我した老人を背負って帰った。

 魔物に襲われた者を助けた。


 最初は恐れられていた。


 森の奥に、得体の知れない男がいる――と。


 だが。


 次第に変わっていく。


 困った時に現れる男。

 助けてくれる男。


 やがて村人たちは、彼を頼るようになった。


 ある者は護身用のナイフを渡し。

 ある者は余った野菜や果物を分け与え。

 ある者は生活の助けになるものを持ってきた。


 ガルウィンは最初、それを断っていた。


 だが――


 少しずつ、受け取るようになった。


 ある日、火を起こそうとしていた時のこと。


 うまくいかず、何度も火打ち石を打っていた。


 そこへ村人が現れ、言った。


「これを使え」


 渡されたのは、小さな魔石。


 火の魔石。


「これなら簡単に火がつく」


「……」


 ガルウィンはそれを受け取る。


 彼は、魔力を持たなかった。

 竜と契約した代償として、すべてを失っていた。


 だからこそ、その小さな石は――

 とてもありがたいものだった。


 穏やかな日々。


 静かで、ゆっくりと流れる時間。


 だが、その均衡は。


 ある日、崩れる。


 村に一人の女性が現れた。

初めての小説なので拙い文章等が出てくる可能性があります。申し訳ございません。

今は書き溜めた分を出してるだけですがストックが尽きたら遅くなります。ご理解ください。

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