ただの異世界でなく乙女ゲームでした。
前世の記憶が戻って数日後、継母である王妃が王女を出産したと連絡がきた。
リスウェット国は女性でも王位継承権があり、現在第一王女であるわたしが王位継承権第一位、第一王子であるユリウスが第二位。生まれた第二王女が第三位となる。私とユリウスの母は同じで、ユリウスを生んだあとに病気で亡くなっている。その後王妃になったのが今回王女を生んだロメリア様である。美人ではあるが、私の顔が国王の愛した前王妃に似ているため、折り合いはよくない。
私も最初は仲良くしたいと思っていたが、記憶が戻ってからは急に精神年齢が上がり、ロメリア様の気持ちも分かるため、あまり近付かないように気を付けている。
でも今日はユリウスと一緒に妹の顔を見にロメリア様の部屋へやってきた。ユリウスも私たちの仲を感じとっているのか、継母を苦手にしているようで、私の後ろに引っ付くようについてきていた。
「失礼します。」
「どうぞ、お入りになって」
部屋へ入ると天蓋付きの豪華なベットの上に赤ちゃんを抱いたロメリア様の姿が見えた。
なんとなく恐る恐る近づくと、出来たばかりの妹は寝ているようだ。ロメリア様に似た綺麗な金髪で、本当に可愛らしい顔立ちをしている。
「こんな格好でごめんなさいね」
「いいえ。無事に出産されたようで、おめでとうございます。」
「…おめでとうございます」
部屋に入ってもユリウスは後ろに引っ付いていたが、私がお祝いの言葉をかけると、いかにも渋々とした感じで言葉をかけた。
「近くで見てもよろしいですか?」
「もちろんよ。良ければ抱いてみてくれないかしら?」
「ありがとうございます」
許可を得てベットの横に立ち、ロメリア様から赤ちゃんを受けとった瞬間。
---ゾクっ!!
何かが湧き上がるような、なんともいえない感覚がして鳥肌が立った。すぐにはっとして赤ちゃんを落とすようなことはなかったが、不思議に思い腕の中を見てみると、赤ちゃんの目が開いており、クリクリとした青い目がじっとこちらを見ていた。私もまじまじと見ていると、なんだろう何か思い出せそうな・・・そんなことを考えていたとき、
「名前はマリーというのよ。」
というロメリア様の一言によって、モヤモヤとしていたモノが一気に晴れ、私はまた前世を思い出していた。
私は直接プレイ等はしていないが、かつての後輩がハマり、攻略過程を延々と聞かされていたあるゲーム。そう前世で流行っていた乙女ゲームの内容が急に頭の中に流れ出し、後輩の言葉がよみがえってきた。
『先輩聞いてくださいよ~。今回のはなかなか凄くて!!シスコンヤンデレ王子に溺愛され、腹黒護衛に忠誠を誓われて、プライドの高い宰相の息子をメロメロにして、暗殺者を手懐けて、隣国の王子にも依存されるんですよ!!!』
・・・クラリ。
「っ姉さま大丈夫ですかっ!!?」
思わず気絶しそうになったが、赤ちゃんを抱いているので、落としてはいけないとなんとか踏みとどまることができた。自分でも顔色が悪くなっていると分かっていたが、体裁だけは保とうと笑顔を作ろうとしたが、心配症な弟に有無を言わさず引っ張られるようにして自分の部屋に連れられ、早々にベットの住人となった。
「姉さま・・・大丈夫ですか?まだぶつけたところが痛むのですか?」
「大丈夫よ。初めて赤ちゃんを抱くのに緊張して疲れたのかもしれないから、少し休ませてもらうわね。」
「何か飲みますか?食べたいものは?」
「本当に大丈夫だから。心配してくれてありがとう、ユリウス」
敏感に私の顔色を感じとり、涙目であれこれ世話を焼こうとする3歳児に若干引きつつ、なんとか部屋に一人で休ませてもらうことに成功した。
何かこの状況に既視感を覚えるが、今は新しい情報を整理することが先決だと目を閉じて考えることにする。
ただの異世界転生だと思っていたが、まさかここは乙女ゲームの世界なのだろうか?もしそうだとするなら私の役どころはなんなのだろうと必死に後輩の言葉を思い出す。
『攻略対象は5人なんですけど、どのルートにも攻略を邪魔する悪役がいて、その中でもヒロインの姉である王女は全ルート共通の悪役いじめキャラなんですよ~』
『一応その王女にも過去に色々あって可哀想とは思うんですけど、やっぱり悪役なので最後には断罪、破滅しちゃうんですよね~』
『私も最初はざまぁとか思ってましたけど、どの結末も良くて一生幽閉、奴隷、処刑、暗殺とか製作者ドSじゃん(笑)とかこっちが逆に同情するくらい悲惨なんですよ~』
・・・・・・・・・。
もしかしなくてもこの王女って私だったりしますかね。しませんよね。違いますよね。気のせいですよね。他国の話ですよね。ってかここが乙女ゲームの世界とか考えたとことから私の妄想だったりしませんかね。
絶対信じたくないのですが。。。
前世では通り魔に刺殺され、今世では処刑とか暗殺とか・・・どこかに救いはないのでしょうか。。。
泣きたい。
いや。でもゲームでは妹をいじめる姉だったかもしれませんが、今は中身が最早精神年齢3X歳になるワタシなのだから回避のしようはあるかもしれません。これはなんとしても最悪死亡フラグだけはへし折っていかないと。
まずはもっとよく後輩の言葉を思い出して、自分に関わることは把握しておかなければ!!!
でも大体話半分で聞いていたので、あんまり覚えてないんだよね。。。こんなことなら詳しく食いついて聞いておけば良かったな。
とりあえずの目標は妹に優しく。絶対にいじめはしない。いじめダメ!!ゼッタイ!!をスローガンに、かつ自分の身くらいは守れるように対策を立てておかないと。




