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前世の記憶を思い出しました。

追記。12月26日。主人公、弟の年齢を変更しました。

「お疲れ様でした~」

「お疲れ様~。また明日ね~」

「はぁい。先輩もゆっくり休んで下さいね~」

 いつものように仕事が終わり帰宅中、今日はどこで買い物して帰ろうか考えていると、


『うわあぁぁぁ!!!』

と男の子の悲鳴が聞こえたので、慌てて声のする方へ駆け寄ると、そこには高校生くらいの女の子の後ろ姿が見え、私は何かあったのかとその子に尋ねようと近づいたとき、その女の子の影に隠れて、小学生位の男の子がいるのが見えた。

 うずくまるようにしているので、先程の悲鳴はその男の子だと思い、

「っ大丈夫なん!!?」

と駆け寄ると、男の子はお腹の辺りから血を流し、怯えていた。

刃物で切られた様な傷にパニックになり、慌てて女の子の方に振り返ると、そこで目に入ってきたのは、包丁を振りかざし、顔に狂気の入った笑いを浮かべた女の子だった。

私は咄嗟に抱えている男の子を庇い、女の子に背を向けると衝撃が走った。一瞬息が詰まったと思ったら、背中が燃えるように熱くなり、あぁ刺されたのだと妙に冷静な自分がいて、死ぬかもしれないと考えたが、それでも目の前の男の子だけでも守ろうと腕に力を入れたとき、二度目、三度目と新たな衝撃があり、背中から溢れた血が自分の足を濡らしていると思ったら身体に力が入らなくなり、目も霞んできた。

腕の中の男の子が何か叫んでいるが耳もよく聞こえなくなり、私はこれはトラウマになるだろうなと思ったので、なんとか顔の筋肉を総動員して彼に向かって笑おうとしたが、引つるだけでうまく笑えなかったようだ。彼は私の顔を見ると涙と私の血でぐちゃぐちゃな顔をさらにくしゃくしゃにして叫んでいた。


 ---あぁ、親に帰れないって連絡しないと。。。職場の後輩にも仕事の引き継ぎしないといけなかったのに・・・


どんどん身体から熱が抜けていき、目の前が真っ暗になった。そろそろヤバイなと考えているとき、私を刺した女であろう声が聞こえてきた。せめて殺される理由くらい知りたいと思い耳をすませていると、


『きゃはははははっ!!これで私は彼処に行けるのね!!?神様っ約束通り生贄を用意したわっ!!!私の幸せのためにイケニエになれるンだから感謝しなさイよ!!カンシャっ!!アハっあははハはハハハ-----』







「---っ誰が感謝なんかするかぁっ!!!!」

「「!!!」」

「っ目が覚めたのですねローズ様っ!!」

「ロゼ姉さまっ大丈夫ですかっ!!?」

「!!?」


目を開けると、焦点が合わないくらい近くに美少年のどアップがあって吃驚した。今まで見ていた夢がリアルすぎてここが何処かわからなかったが、視線をずらすと心配そうなメイドの格好をした女性もあり、どこのお城かと思うようなごうかな部屋だとわかった。


「っえっええ、大丈夫よ。心配かけてごめんなさい。」

「夢見が悪くて、、、驚かせてしまったわ」

まだ頭の中が整理できていないが、なんとかそれだけは言葉にすることができた。すると美少年が顔をくしゃくしゃにして泣きながら謝ってきた。

「ごめんなさい姉さま。」

「ローズ様。ローズ様はユリウス様に抱きつかれた反動で後ろに倒れてしまい、頭を打たれて気を失っておられたのです。」

「あら、そうだったの・・・それは心配かけてしまったわね。ユリウス、私も気をつけるけれど、次からはあまり勢いをつけすぎないようにね」

とりあえず目が溶けそうなほど泣いてしまっている美少年が可哀想で、それだけフォローすると、自分の状況整理のため、今日は疲れたからと言って一人にしてもらった。


 部屋に一人になって改めて周りを見回してみると、確かにここはリスウェット国の首都カリスにあるカリス城内の、私ことリスウェット国第一王女ローズ・ミリア・リスウェットの部屋だ。

先程の美少年は私の弟、第一王子であるユリウス・クロウ・リスウェットで、彼は(自分で言うのもアレだが)私が大好きで、廊下で私を見つけた途端、笑顔で全力疾走してきたのだ。私は今4歳で弟は3歳なので、勢いづいた衝撃に耐えられるはずもなく、今回の発端となったようだ。

 まさか気絶した拍子に前世の壮絶な最期を思い出すなんて、どこのファンタジー小説だろう。しかもそれを自分が実体験しているとは。

なぜ急に前世を思い出したのかわからないが、とりあえず願うのは私が庇った男の子の無事である。言い方は悪いが、これであの子も殺されていたら、私は殺され損だと考えるからだ。それに最期に聞いたあの女の子の妄言。まさか本当に神様がそんな約束をするとは思えないが、なんともくだらない理由で死んだものだ。其の辺を考えると虚しくなってくる。

 私も前世ではファンタジー小説の中でも、転生やトリップものは好きだったが、まさかそれで夢と現実の区別がつかなくなったのだろうか。。。

別世界とはいえ今生きているから言えるが、あの女の子も可哀想な子だったのかもしれない。

 いずれにせよ私は今生きているのだ。しかも剣と魔法のファンタジーな世界。折角なのでいろいろな物を見て回りたいし、前世の記憶も活用(できるかはわからないが、)して今度こそ大往生したいと思う。

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