【株モン図鑑】No.7011:ゼロ
【株モン図鑑】No.7011:ゼロ
「その隻眼に宿るは、祖国の空を守らんと、己の魂ごと捧げた若者達の記憶。祈りと悲哀の黒煙を引いて、因果の空を裂く不滅の翼。」
基礎スペック
モチーフ:零式艦上戦闘機(零戦二一型)(ゼロ戦)
分類 :資本財(機械)属 三菱重工種 グロース体
コード :7011(1940年)
サイズ :全長 0.6m(翼開長 1.2m)
体重 :1.68kg(※同クラスの株モンと比較して異例の超軽量)
【パラメータ評価】
パワー :A
スピード :S
テクニック:S
スタミナ :A
実装スキル(能力ルール)
【メインスキル】非理法権天
ルール効果:特攻時、「回避率」と「威力」に天元突破の超大補正が掛かる。
【サブスキル】
Lv1:七.七ミリ機首固定機銃(牽制銃)
発射速度の極めて高い小口径銃。
威力は低いが、弾道が素直で扱いやすい。
携行弾数は機首両銃で計700発、毎分900発の高レートで撃ち続けられる、当たるまで撃ち込む物量型。
バトル効果:命中率に小補正。連射することで敵の防御姿勢を崩す牽制効果。
Lv2:二〇ミリ翼内機関砲(メイン銃)
当時の航空機用としては破格の大口径砲。
弾道は垂れやすく装弾数も少ないが、直撃すれば一撃で敵を粉砕する。
携行弾数は初期型でわずか片翼60発、まさに「一発必中」を強いられる、贅沢を許されない必殺の弾丸。
バトル効果:威力に大補正。ただし命中率には小さな下方補正がかかる、ハイリスク・ハイリターンの一撃。
Lv3:三式十三粍固定機銃(増加装甲対応・後期型主兵装)
大戦後期、非力な7.7mm機銃では敵の重装甲機に通用しなくなったため、翼内に追加装備された強化火器。
旋回性能を犠牲にしてでも、火力と装甲強化を選んだ、生き残るための現実的な進化。
翼内銃は各弾薬240発を携行し、7.7mmと20mmの弱点を補う中間の存在として最後まで戦い続けた。
バトル効果:Lv1・Lv2の中間に位置する威力と命中率のバランス型。連続して撃ち込むことで、相手の防御姿勢そのものを崩す中補正の追加効果。
Lv4:還らざる翼の残照(精神的スキル)
「生きて還る」ための防弾装備を一切持たず、ただ大空を舞うことだけに全てを賭けた、美しくも哀しい軽量化の極致。
バトル効果:防御に大幅なマイナス補正、速度と攻撃力に中補正。守りを捨てるほど風のように速くなる、諸刃の加護。
Lv5:千羽鶴の祈り(精神的スキル)
銃後で帰りを待ち続けた母親や恋人が、一針一針に血を吐くような想いを込めて縫い上げた千人針や千羽鶴の、時空を超えた祈りの結晶。
バトル効果:守るべきものに比例して、命中率、回避率に補正がかかる。
特攻時、全ての能力と与えるダメージに大補正。
ストーリー
発端は、海軍が突きつけたあまりにも身勝手な要求だった。
格闘戦の強さ、圧倒的な速度、そして大艦巨砲の時代を置き去りにする異次元の航続力。
本来なら一つ手に入れれば一つを諦めねばならない三つの性能を、海軍は「全部よこせ」と設計主任・堀越二郎に求めた。
堀越が出した答えは、パイロットの安全と引き換えにするという、常軌を逸した発想だった。
超々ジュラルミンという新素材を用い、機体の骨組みという骨組みに軽め穴を穿ち、パイロットを守るはずの防弾鋼板も、燃料タンクの自動消火装置も、生きて帰るための重みを片っ端から切り捨てた。
狂気とすら呼べるこの設計思想の果てに、世界の空を恐怖に染める文字通りの凶機、零式艦上戦闘機が生まれる。
1940年(昭和15年)
初陣の中国大陸上空で、零戦は敵機と一度も相打つことなく、ただ一方的に撃墜数を積み上げていった。
太平洋戦争が始まると、その脅威はさらに広がる。
格闘戦になれば決して負けない旋回性能、燃料切れを知らないかのような航続距離。
連合国軍のパイロットたちは、この東洋の戦闘機と単独で格闘戦に持ち込むことを固く戒められ、"ゼロ・ファイター"の名は畏怖と共に語られるようになった。
この年、皇紀2600年の下二桁「00」から「零式」の名が与えられている。
1942年(昭和17年)――アクタン・ゼロ事件、歴史の転換点
絶対的な強さに満ちたその翼には、生まれながらにして死神の影が織り込まれていた。
守りを持たない機体は、被弾すれば為す術もなく発火する。
そしてその秘密は、この年の6月、アリューシャン列島アクタン島で暴かれることになる。
攻撃の帰りに被弾した一機が、湿地帯と知らずに不時着を試み、機体はそのまま裏返しになって停止した。
搭乗員は帰らぬ人となったが、機体そのものはほぼ無傷のまま、およそ一カ月後にアメリカ軍に発見され、回収されてしまう。
本国へ運ばれた機体は徹底的に分解調査され、それまで謎に包まれていた零戦の強さの正体、そして弱点までが、その設計思想ごと完全に解明されてしまった。
アメリカの技術者たちは、あの脅威の旋回性能と引き換えに、この機体がどれほどの防御を犠牲にしているかを知り、驚愕したという。
かくして零戦を上回る旋回性能を追い求める必要はない、それよりも重装甲と物量、そして格闘戦を避けて一撃離脱に徹する戦法さえあれば、零戦は封じられる。
この結論をもとに、新型機グラマンF6Fが開発され、以後の戦場に投入されていく。
かつて世界を恐怖させた翼は、その神秘のベールを剥ぎ取られた瞬間から、圧倒的な物量に押し包まれ、一方的に狩られる側へと立場を変えていった。
1944年〜1945年(昭和19年〜20年)――特攻期
戦局が傾いても、代わる新型機の開発は間に合わず、零戦は生産され続けた。
そして大戦末期。紙装甲の身を何とか守り続けていた唯一の武器である『圧倒的な軽さ』は、特攻用の重い爆弾という死の足かせをかけられてしまう。
風を切る機動力を奪われた翼は、ただ敵艦へ体当たりするためだけに、征く手を見つめて散っていった。
多くの若者が、二度と戻らぬ翼と共に、征っていった。
その数は650人前後と推定される。
設計主任・堀越二郎は戦後、自らが世に送り出した機体が辿ったその末路を、生涯にわたって悔い続けたと伝えられている。
時代に翻弄され、二度と還らぬ空へと消えた若者たちの運命。
その果てに咲いた平和の空を生きる我々へ、想いは静かに託された。
彼らの魂を悼むように、その翼は今も、因果の空を翔け続けている。




