37.日常
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街はいつも通りだった。
騒がしく、熱気に包まれ、そして平和な風景。
「これは……使えるな」
鉱山地帯で拾った個体。
鳥型の魔物。
羽は黒く、しかし光を反射すると虹色に揺らぐ。
小型。
攻撃性は低い。
俺はその鳥を檻に入れ、街の広場に立っていた。
「久しぶりの見世物だ」
短い言葉。
集まるのは子供と暇人と、少しだけ興味を持った商人たち。
「ほら、光を当てる」
瞬間。
鳥の羽が一斉に輝く。
虹色の光が揺らぎ、周囲の空気に干渉するように揺れる。
「おぉ……」
どよめき。
子供が目を輝かせる。
「きれい……!」
「それだけじゃないぞ?」
淡々と呟く。
次の瞬間、光の角度を変える。
羽の反射が変わる。
まるで別の生物のように色が変化する。
ざわつきが一段上がる。
「一回見るのに銅貨三枚だ」
即座に金の音が鳴る。
列ができる。
効率は悪くない。
(収益性は小程度)
(ただし、何度でも利用できる)
ソロモンの頭の中では既に“商売化”が始まっていた。
一方。
少し離れた路地。
ヴェルナは壁に寄りかかっていた。
腕を組み、広場を見ている。
「……あいつ」
小さく呟く。
鳥の光を見た瞬間、理解してしまった。
(戻ってきたな)
あの“意味不明な観察者”が。
戦っている時よりも、こういう時の方が厄介だ。
「またやってるのか……」
ため息が出る。
だが足は動かない。
止める理由もない。
止めたところで、どうせ別の何かを始める。
その確信だけはある。
(平和は長く続かないタイプのやつだ)
空を見上げる。
雲がゆっくり流れている。
静かだ。
なのに──
戻ってきたことだけで、空気の温度が少しだけ変わっている気がした。
「……面倒なやつが帰ってきたな」
そう言って、軽く笑う。
諦めに近い、いつものやつだ。
そして広場の方へ目を戻す。
そこではソロモンが淡々と銅貨を数えていた。
まるで何も変わっていないかのように。
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