01.ソロモン
記念すべき第1話ですが、面白さが欠けていると感じたため修正しました!
読んでいただきありがとうございます!
『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。
バシャァッッ!!
青白く光る何かが、水面を突き破って小舟へ飛び込んだ。
続けて二匹。
三匹。
四匹。
イカのような化け物が、まるで雨みたいに空から降ってくる。
それらは空中で墨をぶち撒けていく。
小舟の上は一瞬で地獄だった。
触手。
水飛沫。
そして大量の墨。
半透明の身体を痙攣させながら、青白い怪物達が船の上で暴れ狂う。
普通の人間なら悲鳴を上げて湖へ飛び込んでいる。
だが。
「今日も大漁だな」
俺――ソロモンは、暴れる触手を片手で弾き返しながら静かに呟いた。
バシャッ!!
また一匹。
今度は顔面目掛けて飛んでくる。
直後。
ベチャァッ!!
大量の墨が顔面へ直撃した。
「…………」
視界が真っ黒になる。
だが、俺は特に気にしなかった。
袖で適当に拭う。
その間にも、ミニクラーケンは次々と船へ飛び込んできていた。
「……二十一匹目」
数える。
墨が服を汚す。
触手が腕へ絡みつく。
小舟は暴れる魔物でガタガタ揺れていた。
だが、それでも俺は冷静だった。
むしろ観察を続ける。
小舟の縁。
そこから淡い青白い光が湖の真上に浮かんでいる。
魔法だ。
俺が作り出した人工的な光。
ミニクラーケンは、その光へ異常なほど引き寄せられる性質を持っていた。
だからこうして。
光を浮かべて待っているだけで、勝手に飛び込んでくる。
「便利な生態だ」
バシャァッ!!
また一匹。
今度は籠へ突っ込み、中で激しく暴れ始めた。
墨が周囲へ撒き散らされる。
青白い発光が明滅し、不気味な光景を作り出していた。
だが、見ていて飽きない。
実に興味深い。
しかも美味い。
ギルドへ持っていけば金にもなる。
欠点がなかった。
その時だった。
探知魔法へ反応が走る。
森の入口付近。
複数の人間。
冒険者か。
三人。
こちらへ向かってきている。
「……ん?」
だが、俺は特に気にせず無視することにした。
別に違法なことをしているわけじゃない。
ミニクラーケンを獲っているだけだ。
多少やり方が変わっているが。
バシャッ!!
再び湖から青白い影が飛び出した。
俺は飛び込んできたミニクラーケンを片手で掴み、そのまま籠へ放り込む。
直後、触手が顔へ巻き付き、再び大量の墨を吐きかけられた。
黒い液体が髪を伝い、服へ流れていく。
岸へ到着した冒険者達は、その光景を見て完全に固まっていた。
「…………は?」
一人が呆然と声を漏らす。
湖の中央。
小舟の上。
青白く発光する大量の魔物。
暴れ狂う触手。
撒き散らされる墨。
その中心で、一人の男だけが平然と立っている。
まるで魔物を操っているみたいに。
「なんだあいつ……」
「いや待て……ミニクラーケンが、自分から飛び込んでるぞ……?」
「頭おかしいだろ……」
俺はそんな声も気にせず、また一匹を籠へ放り込んだ。
「……三十匹目」
その日以降。
ギルドでは妙な噂が流れ始めた。
湖で魔物を踊らせる、頭のおかしい冒険者がいる、と。
その男は“曲芸師”と呼ばれるソロモンという男だった。
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