表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/15

きらり



 大きな音にびっくりする。


「わっ、何っ?」


 後ろを見ると、黒の軽自動車が必死で追いついてくる。


「あれはレンタカーだ」

「隼人っ」


 驚いていると、隼人の運転する車が素早く横についた。


「車を止めろっ」


 窓を開けて隼人が怒鳴った。隣の助手席では秋吉が真っ青な顔で座っている。


「比呂也がおびえているじゃないか」


 秀一は憤慨すると、車のスピードを少しずつ落として、車線変更を出した。緩やかに二台の車が高速から外れ市外に向かう。

 先に秀一が車を止めた。辺りは真っ暗で街灯だけが頼りだった。


「陸っ。降りろっ」


 隼人がやってきてドアを叩いた。


 降りたくない。合わす顔もない。

 車の中で首を振った。


「陸っ」


 隼人が激しくドアを叩く。子どもみたいにノブをがちゃがちゃいわせた。

 陸は仕方なくロックを外して車を降りた。目を合わせる事ができなかった。


「何だよ……」


 下を向いてぼそぼそと言うと、隼人が怒鳴った。


「俺の顔を見ろっ」


 あんまり怒鳴るので、むかっ腹が立った。


「うるさいなっ」


 かっとなって顔を上げると、見た事もないほど取り乱した隼人が立っていた。


「あ……」

「そんなに兄貴がいいか。俺じゃダメか」

「え……?」


 いつもの隼人らしくない。焦った顔は必死だった。


「兄貴はやめておけ、こいつには比呂也がいるからな。あきらめた方がいい」

「何言ってんの……?」


 こんな時に何を言っているのだろう。

 一体誰が、いつ秀一さんを好きだなんて言ったんだろう。


 脱力して陸はその腕を振り払った。


「陸っ」

「秀一さんはいい人だよ。隼人こそどうしてそんなに秀一さんを邪険にするんだよ」

「こいつがっ、俺から陸を奪おうとしたからだっ」


 今度は陸が目を剥く番だった。


「えっ?」


 びっくりして秀一を見ると、彼は肩をすくめて苦笑いした。

 背後で秋吉さんの目が暗闇できらりと光った。

 陸は困惑していた。おろおろしながら隼人を見上げる。


「ど、どういう意味?」

「最初に好きになったのは俺だ。なのに、兄貴は横取りしようとした。だから、俺は…っ」

「好き? ただの友達じゃ…?」

「それは…陸が安心するだろうと思って…」


 隼人の声が小さくなる。


「安心? 俺は傷ついていた。ずっと好きだったのにっ」


 隼人が目を丸くして陸を見る。陸は、あっと口を押さえた。


「好きなのか?」


 隼人は血相を変えると陸に詰め寄った。


「あ、あの…その……」


 陸は顔を赤くして後ずさりした。


「言えっ」


 隼人が言った時、背後で秀一がボソッと呟いた。


「情けないよね。そもそも、隼人がいけないんだよ。お前は陸くんの気持ちを聞きもしないで、セックス友達という言葉で彼を縛りつけたんだ」

「何だと? もともと、あんたが邪魔をしなければ―――」


 隼人が睨みつける。秀一はくすっと笑うと、


「私は邪魔なんかしていないよ。勝手に思い込んだのは隼人じゃないか」


 と言った。隼人は言い返せずに唇を噛んだ。


「行くぞっ」

「待ってっ」


 陸は足を踏ん張った。


「栞の友達は? ほかにもセフレがいるんだろ?」

「いないよ……」


 一瞬たじろいだ隼人を陸は見逃さなかった。


「ホテルに入ったくせにっ」

「何もしていないっ」


 隼人は怒ったように言った。


「それは栞さんの狂言ですよ」

「「え?」」


 秋吉の発言に、陸と隼人は同時に振り向いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ