28話.エピローグ
「ベル様! ご無事でしたか!」
元の世界へ帰ってきたベルは、リナに抱きつかれる。
少し魔力が回復し、人並みに動けるようになった。
「ちょっと大袈裟よ。大丈夫、この通りピンピンしてるわ」
「むしろ僕のほうがやばいって……魔力が空になるって何百年ぶりだよ……」
エリクは玉座にもたれながら、ぜいぜいと肩を大きく上下させていた。
ベルの魔術は容赦なくエリクの魔力を奪い去り、そして空にまでしてしまった。
「申し訳ないと思ってるわよ、ちょっとだけ」
「魔導師の神聖なる魔力を使っといて、ちょっとしか後悔してないなんて……罰当たりにも程があると思うけどね」
魔力が空になるなど、戦争の時ですら滅多になかった。疲労感を全身に感じながらも、どこか清々しさを覚えていた。
「ねえ、ベル。さっきのさ……トルナトーレを救いに行くってのは本気? あいつの言ってた通り、それは世界全てを相手にすることに相違ない。今以上に、命がけになる」
「本気よ。それは、あなたの魔術が証明しているでしょう?」
少しでも迷いや躊躇いがあれば、ベルの魔術は不完全になる。
しかし、世界を作り出すほど魔術は、並の覚悟では発動できない。
「逆に、魔導師様はどうするつもりなの?」
「僕も手伝うよ。ここまで魔力を高めちゃったのもあるけど……何も憂いなく快く寝たいからね」
死神を救えなかったことを悔やみ続けた。同じく、トルナトーレの子孫に対しても、何も感じていないわけではない。
こんな状態では、寝たくても寝ることはできないだろう。
「それは心強いわ。これからも容赦なく使わせていただくから、お願いするわね」
「少しくらいは容赦して欲しいところだけどね」
「リナも、ベル様に付いていきます!」
ぐいと袖を引っ張って、リナは力強く宣言した。
「いいの? 他の拠点に戻った人も貴女も、エリーチェラに対して恨みがあったのでしょう? その元凶はここで殺したのよ?」
拠点へと戻った仲間へは、バルドヴィーノを倒したと一報を入れて解散とするらしい。これ以上はベルの私事であるため付き合わせるわけにはいかない。
今まではたった一人の人間が敵だった。しかし今度は、世界を相手にしなければならない。それだけの覚悟を、関係の無い人間にまで背負わせるのは道理ではない。
「確かに私の目的は達成しました。けれど、その先はベル様についていきたい! 恩返しという意味もありますが、私は尊敬する人の力になりたい。ただそれだけなのです」
「……分かったわよ。そこまで言うなら、断れないわね」
「っ! ありがとうございます!」
リナの真っ直ぐな瞳を見て、断れないと思ったのかベルは折れた。
そして、ジッと半目でエリクを見る。
「……ベル様には、これ以上変なことをさせませんからね」
「これ以上って、僕何もしてないから」
「私にも変なことはしないでくださいね」
「してないし、するつもりは無いって!」
未だにベルの魔導体系を切り替えたことに恨みを持っているらしい。
導きの魔導師の魔導体系の性質上、意に沿わない形で無理に継承したところで、力は発揮できない。
「……って、先の話はさておいて。下の階から、兵が上がってきたけどどうする?」
エリクは苦笑しながらベルへと問いかける。
気付けば、今彼らが居るのは敵陣地のど真ん中。下にはまだ数千の兵が残っている。
そしてこちらはたった三人で、その内二人は魔力が空になっている。
「あら、そのために霧の魔具だけは残しておいたんでしょう?」
「まあね。けどそれだけで撒けるかどうか……」
「撒くわよ。撒けるか撒けないかじゃなくて、撒く! リナ、エリク、僅かな魔力を振り絞りなさい!」
「はい! ベル様!」
「むちゃくちゃだよ……はいはい、やりますとも」
ベルの無理矢理な作戦に嘆息し、けれどどこかで楽しみを覚えながら、エリクは再び魔力顕現を発動した。
無事、最終回を終えました。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m
久しぶりのWEB小説ということもあり、慣れないところも多かったです。
反省を生かして、次作品を作っていきたいと思います!
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批判含め受け付けておりますので、忌憚なく書いて頂ければ幸いです。




