32 十三日目の予想外 進展
二名のやり取りを聞いていて、どうやら同期生らしいことがわかるが「ミシュウさんとアーモチーフの関係がすごく気になるんですけど、それよりも、今回の真相のほうが気になります。どういう事だったんですか?」あやねが話を戻す。
「まだ、どういう事だった、という状況ではない。あやねに憑いてる厄病虫をまだ捕獲してないからな」
「やっぱり華河さんに付いてるんだな!」大声を出す先崎が走ってくると、あやねの腕を掴んで病室から出ていく。
「エッ! なに? 何が起きたの?」呆気に取られるその一とその三。
「私のあやねをどこへ連れてく気だ!」追い駆けようとするその二とセイジツをミシュエルが止めるので「なぜ止めんるだよ! 華河さんが先崎に連れてかれたんだぞ!」
「我々の仲間が追ってるから、心配するな」
「あんたたちの仲間? 誰だよ?」
「お前たちも会ったことがあるはずだ。イギリスから来た交換留学生だとか名乗った軽そうな兄ちゃんだ」
「リエルさんが来てるんですか!」その三が駆け寄ってくる。
「先崎を追ってるから来ない」
「私も追います!」
「もう遅い」
「そんなあああ」
「その三の狙いはリエルさんなの?」その一が問い詰めると「エッ……まあ」
「そうなんだ。ダブらなくてよかった」ホッとするので「その一は誰狙いなの?」その三が聞き返すと、ミシュエルの隣を見る。
「あのインテリ系?」
「いいじゃん」
「マジかよ!」驚く桧山。しかし「クソッ! 負けねえぞ!」闘志を燃やす。
「そんな事より、先崎がどこへ行ったかわかってるんですか?」落ち着かないセイジツ。
「お前が行ける場所じゃないから、大人しく待ってろ」
「待ってたら戻ってくるんですか?」
「もちろんだ」
「その確証は?」
「そんな事に答えなくとも、すぐにわかる」
「なぜ?」
「なぜだろうな」笑みを浮かべて言い返すアモニス。
「あなたは何者なんですか?」
「そう言う君は何者なんだ?」
「俺は一介の高校生です」
「ホウ、高校生か」
「……なにか?」
「……いや」
すこし不穏な空気が流れる。
「すみません」桧山がベッドからミシュエルたちに声を掛ける。「どうして先崎は華河さんを連れてったんですか?」
「あやねが先崎にとって、というか、先崎のサポートに付いてる者にとって、必要なものを持ってるからだ」
「エエッ! 先崎のサポートに付いてる?」
「先崎にとって必要なものを持ってる? それは何ですか?」セイジツが聞くと「知らなくていい」
「またそれですか?」
「そうだ」
「ちょっと面倒なことになりそうだな」アモニスが病室内にいる人物を端から見ていくので「仲間がいるんだろう?」ミシュエルが聞き返すと「そうだ」
「炙りだすか?」
「そうだな。戻ってきてからにしよう。そのほうが一度で済む」
「そうだな」