30-1 十三日目の予想外 見えてくる結末
「そう思う理由は?」またその二が聞くと「駐車場を見てくると言うのがおかしいからさ」
「なんで」
「社会人なら車に乗ってくる可能性が高いけど、俺たち学生ならバスでくる。だったら、駐車場じゃなくて、バス停か受付があるエントランスへ行くはずだだろう?」
「それは、俺たちも引っ掛かったぜ」ほかのグループのメンバーが入ってくる。「だから、駐車場になんか行かないから、他を探せって言ったら、念のために見てくるって行っちゃったんだよ」
「じゃあ、なんでおかしいと思ったときに言わねえんだよ!」怒鳴る先崎。
「わりい。でも、まさか戻ってこないなんて、あの時点じゃわからなかったからさ」バツの悪そうな顔をするので「先崎、責めるなよ」桧山が止めるとため息を吐き「わかったよ」
「話を戻すけど、セイジツが言ってた「何か起きる」のは、そんなに遠いことじゃないってことだよな?」桧山が聞くと「ああ。今日、起こると思う」
「ヤダ。何が起きるの?」不安になるあやねに「心配するな。私たちがいるかぎり、あやねに手出しさせないよ」その二が笑顔で声を掛けるので「俺の出番、ないかも」セイジツがボソッと呟くのを先崎が耳にする。
「セイジツも彼女狙いなのか?」
「エッ?」
「いや、桧山が彼女のこと気に入ってるからさ」
「桧山は今、行方不明の彼女といい仲だぞ」
「エエッ! そうなのか?」
「頻繁にラインのやり取りしてるらしいぞ」
「マジかよ! 俺だけじゃなかったのか?」
「お前の狙いは友達その一なのか?」
「……まあな」
「そういえば、お前、背の高い女性が好みだったな」
「……おう」
「桧山が相手じゃ……」
「なんでこうなるんだよ……」頭を抱える先崎。
「それにしては、桧山の奴、あまり慌ててねえな。お前も」
「エッ、それは……」
「なんだよ」
「いや、別に……」
その時、あやねたちが傍で二人の会話を聞いていることに気がつく。
「な、なに聞いてんだよ!」驚く先崎が怒鳴ると「なんだその言い方は。切られたいか?」その二が睨むと「あ、いや、ゴメン」
「私たちが気付かないとでも思ったのか?」
「エッ、 なにを?」
「お前を中心に事が起きてるってことだよ」
「何言ってんだ?」
「俺たちも気付いてるよ」セイジツがベッドの桧山を見ると頷く。
当然、グループのメンバーも同意するので「俺が犯人だとでも言うのかよ!」
「そうだ」即答するセイジツ。