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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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18-1 九日目の久し振り


「……でも、今日のことはもう録音できません……」


「当たり前だろう!」

「ワンワン」

「それじゃあ……」


「それでは、明日と明後日の行動について説明する」

「……はい」


「明日は、部活が終わったら駅の連絡通路の例の場所へ行って、セイジツが来るのを待て」

「行っていいんですか!」


「……本当に、さっき言われたことを覚えてないのか……」

「エッ、さっきですか?」

「もういい」


「……ワン」

「……すみません……」


「ああ、駅に行く途中にあるコンビニでアーモが待ってるから、連れていけ」

「あのコンビニですか?」

「ワン」


「いいんですか?」

「……やめるか?」

「行きます!」


「……帰るときは、例のコンビニまでアーモを連れてこい。私がそこまで迎えにいく」

「はい」


「明後日だが、部活が終わったらネイルサロンへ来い」

「あ、はい、わかりました」


「じゃあな」ミシュエルは(きびす)を返すとタクシーに乗り込む。



 

「あやね、昨日の練習後、なにがあったんだ?」

「人が変わった? 性格が変わった? 人格が変わった……?」

「何かが()りついたのかも?」


 放課後の練習。

 いつもよりあやねの気合が入っているので、友人たちが不審に思う。

 休憩時間にあやねの周りに集まると、ミネラルウォーターを飲みながら理由を聞く。


「そこまで言う?」


「そこまで言うほど、別人みたいに昨日と違うからだよ」

「宝くじに当たったか?」

「好みのイケメンを見付けたの?」


「エエッ!」


「……あたり?」

「らしいな」

「これは問題だよ」


「あ、いや、それは……」


「あやね。どこのボケナスだ?」

「切る」

「あやねに相応しいか審査しないと」


「なんてこと言うの!」


「まじめな話。本当に気になる奴ができたの?」

 三人であやねに迫ると「あ、いえ、その……」挙動不審になるので「いるのか」

「らしいね。これはゆゆしき問題だよ」


「あ、だからね、その……」


「運動神経バツグンだろうね?」

「イケメンだろうな」

「秀才だよね?」


「なんでそんなにハードルあげるの!」


「あたりまえでしょう? あやねの相手だよ」

「そのくらいは最低限の条件だ」

「まあ、人間じゃ無理だよね」


「どういう意味?」

( でも、無茶な条件、クリアしてるかも……)


 その後、練習が終わると急いで着替え、セイジツと会うために、座山駅の南北連絡通路へ急ぐ。


 そんなあやねの後ろ姿を見送る友人三人は「付ける?」

「それは友達としてダメだ」

「でも、相手がモヤシのようなヒョロヒョロだったら?」


「あのあやねが、そんな奴を気に入るとは思えないよ」

「論外だな」

「だからこそ、どんな奴か気になるんじゃないの」

「よし、行くぞ」


 そんな事になっているとは知らないあやねは、途中にあるコンビニへ行くと、アーモが駐車場の端に置いてある専用と思われるベンチに座っていた。


「アーモ君、お待たせ!」走り寄っていくと、やっと来たかとでもいうようにゆっくり起き上がり、大きく伸びをする。


「ごめんね。待ったのかな?」しゃがむと「……ワン、フワアアア」大きく欠伸をするので「昼寝してたの?」頭を撫で「じゃあ、早く行こう」抱き上げるとまたナップザックに入れて、駅へ向かって走る。


「あれが、いつも会いに行くワンコか」チェックを入れる長身の「友人その一」。


 コンビニの向かいの道路横にある垣根の陰から、友人三人があやねとアーモを観察していた。


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