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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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16-1 七日目の休み

 

 日曜日も朝練から始まり、午後六時の終了時間まで、気合を入れていなかった分を取り戻すために集中して汗を流した。


「あやね。今日はずいぶんと練習に気合が入ってたね」長身の「友人その一」が笑顔で聞いてくるので「今まで中途半端だった分を、取り戻さないといけないから」手ぬぐいで汗を拭くと「いい心掛けだよ」


「今日も例の犬のところに行くのか?」小柄な「友人その二」が確認するので「ううん。今日は行かない。だから、なにか食べに行こうよ」


「あやねがそんなこと言うなんて珍しい。行こう、行こう。なに食べに行く?」張り切るアイドル好きの「友人その三」


 あと片付けを済ませて住宅街の道を駅に向かって歩いていくと、コンビニの前の駐車場に、北条高校の例のグループがいて、また声を掛けてきた。


華河(はなかわ)さん」

「あ、北条高校の、今日はどうしたの?」

「実は、みんなにちょっとお願いがあって」


「私たちに?」

「こんな時間で申し訳ないんだけど、これから一緒に行ってほしい所があるんだ」


「これから?」


「私たち部活でお腹空いてるから、なにか食べに行きたいんだけど」長身の「友人その一」が自分たちの予定を言うと「ちょうどよかった。ある人と一緒に夕飯を食べてほしいんだ」


「どういうこと?」

「疲れてると思うけど、頼むよ」


「どうする?」あやねが聞くと「なんか困ってるみたいだし」と長身。


「理由があるみたいだから、聞いてみるか?」と小柄が言うので「とにかく、詳しく話して」あやねが話を進めると「実は……」


 それから一時間後、あやねたちと北条高校のグループ五人は、座山(すわりやま)駅から出ているバスに乗って、駅の北側にある大きな総合病院に来ていた。


「ここに入院してるの?」病院の入り口前に立って建物を見上げる。


「面会時間、午後七時までじゃなかった?」確認する長身に「ここは午後八時までなんだ」答える男子グループリーダー。


「じゃあ、たこ焼き冷める前にいくか」小柄が歩きだすと「病室で食べていいの?」気になるアイドル好きに「大丈夫だよ。ちゃんと確認したから」笑顔で答えるリーダーは、確認事項をしっかり押さえていた。


 病院内に入ると奥にあるエレベーターで五階へ行き、個室が並ぶ通路を歩いていくと、五〇三号室前で止まる。


「突然行って大丈夫?」不安になるあやねに「大丈夫だよ。ここに来て帰るなんて言わないでくれよ」


「それは言わないけど、な、あやね?」隣にいる小柄が聞くので「まあ、ここまで来たから」


「私、お腹空いたから早くたこ焼き食べたい」アイドル好きが呟くと「だよね。私もお腹鳴ってるよ」長身がため息を吐く。


「じゃあ、よろしく頼むよ」ドアをノックして中に入ると「桧山(ひやま)、調子はどうだ?」

「ああ、先崎(さきざき)か。あまり良くない」


「今日は特別ゲストを連れてきたから、元気になるぞ」

「なんだよ、特別ゲストって」

「驚くぞ。さあ、入って」


 声を掛けられて病室に入っていくと「エエッ! は、華河、さん?」


「はい。そうですけど」

「それに、旋律(せんりつ)高校、女子剣道部の三人剣士じゃないか!」



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