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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第5章 最強の証明編
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第2話:ローエンの推理

「これは一体どういうことでしょうか?」


光りの鎖に拘束されながらダイムが平然と答える。


「そうです!なぜダイムが拘束されておるのです!」

「落ち着いてくださいジョシュアさん。」


こう瀕死ながら話すわしをローエンが諭す。


「これから説明しますが・・・このダイム=ジャクソンこそが、黒幕だったということですよ。」

「なんじゃと!?」


だが、この部屋で驚いているのはわしだけだった。

キーラもデルタも平然としている。

何より糾弾されているダイム本人も全くうろたえている様子がなかった。

(なんでお前はそんなに余裕な顔をしておるんじゃ。)

たとえ無実であったとしても、急にこんな状況に追い込まれたら、誰だってうろたえてしまうものである。

この状況で平然とできるとしたら理由は2つ、心臓に毛が生えているようなとんでもなく図太い人間か、あらかじめ糾弾されることを予想していた者、それ以外に考えられなかった。

(ダイムなら前者もあり得るが・・・後者なのか、ダイムよ。)

ダイムの方を見つめる。

彼は涼しい顔をしており、その表情は余裕に満ち溢れていた。


「随分と余裕そうですね、ダイムさん。」

「いやいや、十分動揺しているよ。動揺しすぎて言葉を失っているんだ。それに、この状況じゃ話を聞く以外にないだろう?」

「ふむ・・・」


ローエンが怪訝な顔をしながら見つめている。


「説明してもらえますか?どうして私がこんな目に合っているのかを?」


ダイムの問いかけに、ローエンが答える。


「そちらがその気ならいいでしょう。」


そう言って彼は中央に立ち静かに話し始めた。


「あなたに疑問を持ち始めたのは、少し前からです。私さえ持ち得ていない情報を持ってくる、その出どころを調べ始めたのが最初です。情報の扱いに関しては王国のみならず、世界中を含めても私は得意であると自負しています。そんな私の耳に入っていないどころか、その片鱗さえ聞いたことないような情報をあなたは出すときがある。一体どこから?もしかしたら最初は単純な興味だったかもしれません。しかし、調べども調べどもあなたの情報源はつかめなかった。」

「私には、悪いことをしているのはローエン殿のように聞こえるが。」

「ここまではそうでしょう。あなたを調べるうちに私はある法則に気が付きました。事件とあなたの消息がつかめなくなることへの因果関係があるのではないかと。ここ最近で言いますと王国襲撃の直前、帝国との戦争前、カイン=ルーカスの消息不明前ですね。すべてのタイミングで、あなたは忽然と姿を消している。世界最強と謳われるほどの有名人であるあなたの消息が、忽然と消えるんですよ。」

「考えすぎでしょう。私だって1人の時間を過ごしたいときがありますよ。」

「かもしれませんね。なので、少し調べさせていただきました。あなたの動向を。」


ここでローエンが一呼吸入れる。


「先日1人の神官が行方不明になりました。しかし、この事実は公になっていません。それは出来ない理由があるからです。・・・神官と共にデータスフィアが消えたからです。」

「なに!?」


思わずわしは声を上げてしまった。

しかし、他のみんなは一切の動揺を見せていない。

(なんだ、またわしだけ仲間外れか!)

わしが動揺したのがわかったのか、キーラが小声でフォローを入れる。


「じいさん、私もついさっき聞いたから大丈夫。」


若い者に情けない心配をされて、少々ばつが悪い。

苦い顔をしていると、ローエンが話をつづけた。


「さて、そのデータスフィアが消えた日、最後の部屋を訪れていたのは誰なのでしょうか。その人物が怪しいことこの上ないです。調べるのはとても難しいことです。誰かが見張ってでもいない限り、わからない話です。そう・・・ダイム=ジャクソンの動向を追っていたりしない限りは。」

「ダイム!?」

「ここまで隠れていたのに随分早計でしたね。」

「仮にもランキング2位をやらせてもらっているんだが、監視されていたらさすがに視線で気づくと思うが・・・はったりですか、ローエンさん?」

「私はあなたを監視していませんでしたよ。私はいつも王国内全てを見ています。ただただ、あなたの動きだけをつなぎ合わせて確認しただけですよ。」


ローエンの言葉に思わず息をのむ。


「ローエン、おぬし常にそんな魔力を消費しておるのか!?」

「心配には及びません。意外と省エネなもので。」

迷宮の魔眼(ラビリンスアイ)ですか。」


ローエンにダイムが答える。

どうやらダイムはこの魔法自体を知っているようだった。


「おや?よくご存じですね。こんな魔法を知っている人がいるとは・・・」

「万物の視覚を共有できる魔法ですね。古い友人が使っていたものでね。見たことがあるのさ。」

「ほお・・・私以外に使える人間がいるとは、驚きですね。」


ローエンが怪訝な顔をしている。

(そもそもそんな魔法をローエンが使えるなど、わしは聞いたことないぞ!)

質問したかったが、できる雰囲気ではなかった。


「さて、話がそれましたが、私があなたが最後にデータスフィアの部屋から出たことを見ています。次に人が入ったときにはすでに何もなくなっていました。ランキング2位を20年も守ってきたあなたが、順位を今更確認ですか?・・・あんな深夜に何の用であの部屋に?」

「観念するのだなダイムよ。いくらお前と言えども、その鎖は簡単には突破できないぞ。」


ゴア王がダイムを諭すように話す。

(本当にダイムがやったのか?しかし、何のためにじゃ。)

頭に疑問が沸き上がる中、ダイムが笑いだす。


「はははははは。」

「何がおかしいんです?」

「いや、なかなかいい推理だったのでついつい。ただまぁ・・・遅すぎましたね全てが。」

最初に書いておきます。

迷宮の魔眼については後々言及します。

また、ローエンがこういう推理に行きついたのにはここには書かれていないもう一つの理由があります。

明確にそうだとは書きませんが、話がつながるようにはなると思います。

もう数話お待ちください。


今回はダイムを糾弾する理由を述べる会です。

予想の範疇ったと思います。

前々から怪しかったよってお話です。

ただ、確証を得られるものが何もなかったということですね。

ダイムからすると、全知の指輪を手にして、隠す必要がなくなったというのが正直なところです。

もうこの指輪さえあればな気持ちになっていますので。

指輪の強さはここからガンガン出していきます。

ローエンがなんでこんなに超人的に活躍で来ているのかも、本章にて出てきますんでこちらもお待ちください。


今回も読んでくださった方々ありがとうございました!

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