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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第四章:真実と野望編
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番外編8:ダイム=ジャクソン

ダイムSide


幼少の頃、私は腕白な少年だった。

喧嘩は負けなかったし、かけっこも誰よりも早かった。

何をやってもうまくできたし、勉強だって決して手を抜かない。

私は何だって1番を目指して、そしてをそれを叶えてきた。

しかし学校で魔法の授業が始まったとき、初めて挫折を味わった。

私はなかなか魔法が発現しなかったのだ。

魔法がなくても誰にも負けなかったが、一番になれないことが不満だった。

だから私は初めて努力をした。

本を読み、様々な魔法の動作を試した。

絶対に誰にも負けたくない、その一心で私は努力を重ねた。

その結果、私は人間では貴重な光魔法が発現したのだ。

魔法だけがが惜しいと周りに言うものの評価が一変する。

一気に私は神童と呼ばれるようになった。

努力さえも、私は1番だったのだ。


発現してからの魔法の成長速度は目を見張るものがあった。

発現するまでに読み漁った知識は、成長の大きな手助けとなった。

気が付いたら学年最強から学校最強へ、そして学校史上最強と言われるまでになっていった。


「自分の力の限界を見てみたい。」


私はまだ見ぬ猛者と戦うために、ランカーという道を選んだ。

世界中のあらゆる猛者が集まる王国で、私はランキング戦に明け暮れた。

そして、25歳のとき、私はランキング2位になった。

最年少での到達、1位はかつて勇者が到達して以降だれも現れていない。

つまり欠番なのだと誰もが思っていた。

当然私もだ。

私は世界最強と呼ばれるようになっていた。

そこから・・・私は2位を守り続けた。

20年、誰にも負けることはなかったのだ。

私は世界で1番なはずだった。

だが、現実の順位は2位である。

もし勇者がいたら・・・そんな話を耳にする回数は1度や2度ではなかった。

1番になれない現実が徐々に心にしこりを生んでいった。


「どうすれば1位になれるのか?」


その結果、勇者を超えているとデータスフィアが認めればいいのだと思ったのだ。

データスフィアの順位は直接ランカー同士で戦わなくても順位が変動する。

つまり、こいつに私の方が強いと認めさせればいいんだと思うようになった。

その日から私は今まで以上に鍛錬に励んだ。

しかし、すでに世界最強だった私は自分の鍛錬の度合いをだれか相手に諮ることができなくなっていた。

強くなれている実感がないまま時間だけが過ぎていた。

私は何かヒントが得られないかと、勇者たちの戦いの軌跡を追うことにした。

忘れられた地、元魔王城は最後に勇者が戦ったであろう場所だ。

そこから何か感じ取れないかと思ったのだ。

忘れられた地へやってきたものの、手付かずだったためジャングルのようになっている。

壊れたところが戦いのためなのか、風化のためなのかはもうわからなかった。

(結局何も得られなかった。)

私がそう思っていた時だった。


「ここに何かあるのか?」


私は城のロビーに当たる位置に違和感を覚えた。

そこは一見何もないところだった。

しかし、確実に違和感を覚えた。

どこからともなく声が聞こえてくる。


「力が欲しいなら来い。」


その声が聞こえた瞬間、地下へと続く階段が現れた。

何が出てきても対処できる自信があった私は、階段を進んでいった。

そこで見たものは、おおよそ信じられないものだった。

首だけない状態でつながれている魔族、そこから管が伸びており、血が採取されている。

その先には小さい瓶に詰められた禍々しい魔力を放つものが置かれていた。

再び声が聞こえてくる。


「俺の力を分けてやる。飲めよ。」


(幻聴まで聞こえるようになってしまったか。)

私は思いつめすぎて疲れているのだと思った。

しかし、なぜかその小瓶から目が離せなかったのだ。

気が付いた時には、私は1つ手に持っていた。

(まあダメで元々、試してみてもいいか。)

今でもどうしてあの時そう思ったのか私にはわからない。

魔がさしたといえばそれまでだが、自分が思っている以上に思い詰めていたのかもしれない。

私は瓶の中身を飲み干した。


変化はすぐに実感できた。

湧き上がるパワー、魔力は凄まじいものだった。

これまでの鍛錬がばからしくなるほどの影響に、私は高揚した。

私はこの薬について調べることにした。

過剰に摂取した場合や効果の範囲などを探っていった。

ただ、いかんせん目立つ立場である自分がなんどもこの場所を訪ねるのには限界があった。

なので、仲間を集めることにした。

どこにも所属しておらず、研究者としての能力が高い者が必要だった。

そしてそれらを指揮するものも。

私は帝国に立ち寄った際の挨拶がてら、一人の大臣に声をかけた。

野心家で有名だったクレイ=スローンである。

奴は最初王国の人間である私を警戒したが、研究所を見せたらすぐに態度を変えた。

奴の人脈から仲間が集まった。

裏社会で生きている、ノーフェイスたちだ。

彼らはすぐにデーモンポーションを飲み、私の考えに賛同していった。

そうして私たちはデーモンポーションを量産していった。

世界中に広めるために。

(何か違和感がある。私は何でデーモンポーションを・・・)

そんな気持ちが一瞬浮かんだが、すぐに振り払う。

(まあきっかけなんて些細な問題だ。さあ・・・世界を変えよう。)

ダイムのことはある程度書いておきたかったんですが、ガッツリは書きたくなかったんです。

本編内のいろんなピースが集まることで、最後それがわかるみたいな形にしたかったので。

そうすると、考えていたこれをどこで出すのか?ということになるわけですが、番外編しかないだろうというわけです。

書けて満足です。

結局デーモンポーションを少しでも摂取すると意識干渉があるという話にここまでで持ってきていたと思ってます。

その結果、ダイムも無意識に最初の目的を忘れて使用しているということです。

ただ、彼自身もとは強いですから、疑問に感じる瞬間があるということですね。

すぐに思いなおしますけど。

彼に声が聞こえたというのはご都合主義な部分があるんですが、バロムにとってもここに人が来るのは相当久しぶりだったということです。

しかも強い奴が一人で来ていて、現状に嫌気がさし強さを渇望しているものという、条件的には最高の人材です。

なので、リスク覚悟で声をかけたという形ですね。

結果うまく行っています。

最終的に本編でもはっきり描きますが、ダイムの中にはバロムの意識がいるということです。


次からいよいよ最終章に入ります。

終わり方は決めていて、最終章後の番外編の中身も決めてあります。

個人的にはそこでも自分がやりたかった展開を入れ込んだつもりしています。

楽しんでいただけると嬉しいです。

最終章はたぶんそこまで長くならないと思います。

たぶんですよ。

たぶん。

少しでも読んでよかったなと思っていただけるように頑張ります。


今回も読んでくださった方々ありがとうございました!

お盆休みは少々更新遅れると思いますが、執筆は続けていますので気長にお待ちください。

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