第二十二部「朝焼けのタンポポ」
千鶴視点。二十部からの続きです。
「命ちゃんおはよーっ!……?」
今日は、待ちに待ったバイクデートの日。
昨日は楽しみで楽しみで眠れなくて、思わず家の電話から命ちゃんのスマホにかけて、あとついでに釘も刺しておいて。
バイクの音が聞こえてきたから、勢いよく玄関を飛び出したはいいものの。
「命ちゃん、昨日あれほどジャージで来ないでって言ったのに……」
「……? だから、ジャージ以外で来たよ?」
「だからってデニムに無地のウインドブレーカーはないよぅーっ!」
夏祭りの悲劇、再び。
◇
「ねぇ命ちゃん」
「ん? なに千鶴?」
バイクに乗りながら喋るから、自然と声が大きくなる。
「これからどこに連れていってくれるの?」
「まずは朝ごはん食べに行こうよ。ほら、まだ朝の8時だから。どこがいい?」
「いいね! 私、サンドイッチが食べたいな!」
「オッケー」
風に運ばれてくる命ちゃんの声が、朝の頭に心地よい。
……せっかく双方の両親に認められたんだから、今日は、もっとイイ感じに、なりたいな……。
どうも、壊れ始めたラジオです。
前話からの短さ。
次回は現代編です。
それでは。




