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育みのエイチャー  作者: 壊れ始めたラジオ
潤愛!少女達のせめぎ合い!
21/23

第二十一部「豪・傑・単・車」

だいたい命視点。十九部からの続きです。

 岬からの帰り。家で育てているスイセンのプランターを拡張しようかと思いついた私は、地元の郊外にある行きつけのホームセンター「プラットホーム」に寄った。しばらく探してよさげなものを見つけたが、少しサイズが大きいため、現在サービスカウンターで配送の手続きをしている。



「それでは、三日以内にこちらのプランターが届くように手配致します。ありがとうございました!」



 無事に手続きが終わり帰ろうとしたところで、ふと思い出した。



「あぁそうだ、因。これ、返しておくよ」


「え!? …あ、あなたのタンポポが持ち逃げ、というか飛び逃げしていったコトマリギね。ありがとう、命」



 私が突然身を翻したことに驚いたのか、さっきまで営業スマイルを浮かべていたポニーテールの店員、因はあたふたしながらも私が手渡したコトマリギを受け取った。



「じゃあ私、帰るから」


「え、えぇ…」




 ◆




 家に着き、バイクを車庫にしまおうとした時、突如として聞き覚えのある声が私の鼓膜を震わせた。



『命ちゃん、助けて!』


「千鶴!?」



 聞こえてきた方向、つまり後ろへ振り返ると、そこにはいつの間にか、ツタのアーチが形成されていた。

 しかし、それは形を歪ませ、徐々に消滅しようとしていた。



「待ってて千鶴っ!」



 “タンポポ・ラァァァンド!”

 “グローアップ! タ・ン・ポ・ポ!”



 私は咄嗟に必殺技を発動して、飛び蹴りの要領で勢いよくアーチへと飛び込んだ。




 ◇




 そこでは、特殊装甲に身を包んだ中年男性と、神話に登場するミノタウロスのような姿の巨体を持つ怪人、そしてそれを従える小柄な少女が、コンクリートの瓦礫を隔てて対峙していた。しかし戦力の差は明らかで、やがて男は怪人のその大きな手に拘束されてしまった。

 そんな時、夜空に鳴り響く謎の音声。

 “グローアップ! タ・ン・ポ・ポ!”

「うん?」

 少女が首を傾げた瞬間、星空にツタと光のアーチが形成された。

「グオォォォォッ!?」

 そのアーチから飛び込んできた一陣の風が、あの巨体を揺るがした。

「ううっ、ハアハア…………」

 その衝撃により解放された男は息が上がっていた。

「千鶴っ、いる? って、これ、どういうこと?」

 アーチから現れたのは、少女の声を発する黄色の装甲を纏った戦士だった。

「エ、エイチャー…………! 上層部の方から聞いたことがある。植物の力で戦う戦士がどこかの次元世界に存在していると」

「え、確かにエンマからそう呼ばれてるけど…………何?」

 男の呟きに賛同する戦士、エイチャー。

「ふふ、あはははははははははははは! 面白いねえ! 私の知らない変身システムがあったなんて! …………やっちゃえ、那緒ちゃんっ!」

「グオォォォォッ!」

「うわっ!」

「ぐはっ!」

 弾き飛ばされる二人の戦士。

「痛っ!おじさん、こんな奴相手にしてたの?」

「ああ…………。すまない、力を貸してくれないか。このままでは、あの暗黒少女によって世界のパワーバランスが崩れてしまう…………! そうなれば、我々の理想が…………」

「ん、理想? まあいいや。こいつどうにかしないと帰れないし、千鶴も探しに行けないし」

「利害一致だ。…………来るぞ!」

「こういうでかいやつは、手に入れたばかりのコレを使おう」

 エイチャーはベルトのバックルを右へスライドさせて、クリートシードリングとチェンジクリートシードリング・エナジーザイという二つのツールを装填した。

 “チェィンジ・エナジー!”

 “私は、あなただけを見つめる! サーンサーンサーン! サーンサーンサーン・サン・フラワー!”

 流れる変身待機音声。

 バックルを元の位置へと戻す。

 “ヒマワリ・ラァァァァァァンド!!”

 地面から生えてきた無数のツタが彼女の身体を覆い、爆散する。

 現れたのは、先ほどとは比べ物にならないほどの重装甲を纏った戦士だった。

「ああ、やっぱり重いっ! 確か数トンはあったっけ」

「オレ様、ヤル!」

 エイチャーは向かってくる巨体に退くこともなく、というか自重によって動けないだけなのだが、手にしたマシンガン型の武器を構え、連射した。

「オオッ、ウオォォォォッッッッ!?」

 あまりの弾幕にひるむ巨体。

「さあおじさん、決めるよ!」

「オーケー、トップスピードで振り切ろう! 必殺、フルスロットォォォォル!」

 二人の戦士によるチャージ射撃が見事にヒットした。

「グワアァァァァァァッッッッッッッ!」

 大きな爆炎が起き、周囲は光に包まれた。

 ◆

「那緒ちゃん! 起きて那緒ちゃん! …………くっ! おじさん、また今度、遊ぼうね…………!」

 眩い閃光ののち、少女は人間態に戻った「那緒ちゃん」を連れて消えてしまった。

「逃げちゃったか…………あ、アーチが直ったから、私は帰るよ」

「…………今回はありがとう。非常に感謝しているよ」

「まあ、お互い事情があるしね。じゃあ、またいつか」

 そう言い残すと、エイチャーはアーチをくぐって消えてしまった。




 ◇




 アーチをくぐった先に広がっていたのは、巨大な葉で覆われた、薄暗い空間だった。



「あぁ、また失敗してしまいました…」



 声のした方へ振り向いた瞬間、何かが急速に近づいてきた。私はそれをギリギリのところで避けようと、横に転がった。私を襲ってきたモノは少しの間背後の暗闇に消え、ジャラジャラと金属音を響かせながら徐々に飛んできた方向へと引きずられていった。

 私は体を起こしたところで、ようやく襲撃者の全貌が見えた。地面から発せられる少量の光を頼りに、敵の特徴を捉えてゆく。


 左肩に小さく咲く白い花…。


 さっきも投擲武器として操っていた鎖付きの石球…。いや、チェーンアレイという表現が最適だと思う。



「あなたは…イシモチソウスピリンテント?」


「え!? あ、はい、そうです…。タッカ・シャントリエリ様の命令で、あなたを倒しにきました…」



 やっぱり…。


「欺く」の花言葉を持つイシモチソウの能力で、千鶴の声色を真似して私をおびき寄せたってことか…。



「最初は、別次元へ飛ばして混乱させるつもりだったのですが…うまくいかなかったので、私自ら、相手をさせてもらいます…って、今の聞いていましたか?」


「許さない…!」


「え!?」


「私の…世界にたった一人だけの、千鶴を騙るなんて…!」


「ひ、ひぃっ!」



 “サクラ・ラァァァンド!”



 私は変身して、背中に背負っていた武器「サクランブレラ」を閉じて槍形態へ変形させると、躊躇なく腹部を突いた。



「ぐふっ!?」



 腰が折れたところを今度は蹴り込み、吹き飛ばした。



「ひ、ひどいです。暴力反対です…」


「黙って」



 私の懐にあるアサガオクリートシードリングが、赤紫色の光を放つ。



 “デッドリー・エナジー!”

 “グローアップ! サ・ク・ラ!”

 “ジョウロマグナセイバー!”



「あああもう死んでるけど殺されますぅぅぅ!」



 私は必殺技を発動させる準備をしてから左手にジョウロマグナセイバーを召喚し、サクランブレラとの二刀流で、狼狽しているイシモチソウスピリンテントを斬りつけようとした。



 けれど、その斬撃波が届くことはなかった。暗闇の中で身を潜めていたタッカ・シャントリエリスピリンテントが器用に触手を使い、倒れていたイシモチソウスピリンテントを逃がしたからだ。



「…タッカ・シャントリエリ」


「…フン。アサガオ、タンポポ、ヒマワリ、サクラ。コレデ、オマエノチカラハスベテミサセテモラッタ。モウ、オレガマケルコトハナイ」



 それだけ言い残すと、彼らは暗闇の向こうへ消えていった。

 やがて、葉の壁が開いて光が差し、消滅していった。見回すと、そこは私のよく知っている自宅前の道だった。



「そういえば、さっき一緒に戦った男の声、どこかで聞いたことあるような…?」



 ふと思い出した心の引っ掛かりを抱えつつ、私は夕日を背にして帰路に就いた。




 ◆




 あれから特に何事もなく一週間が経ち、高校生活最後の夏休みに突入した。

 といっても、やることは大して変わらない。午前は部屋と庭で育てている植物達の世話をして、午後は病院に行って千鶴の側にいる。これが日課。


 そんな中で、数少ない変わったこと。


 端的に言えば、それはいわゆる「就活」。家を出て病院に行く前に、千鶴の家に行って家政婦としての修行をしているのだ。将来、千鶴と千鶴の許嫁…間糸屋公大(かんしやこうだい)の身の回りの世話をするために。千鶴を、これからもそばで見守り続けるために。

 そういうわけで、今日は来客対応の練習をする…はずだった。


「…あら、お客に出す菓子を切らしていたのを忘れていました…」


「…あの、私が買ってきましょうか」


「…お言葉に甘えてもいいですか? では、通り沿いの菓子屋までお願いします…」


「…かしこまりました」



 私は千鶴のお母さんから桃色のガマ口財布と深緑色の風呂敷を受け取り、千鶴の家を発った。




 ◆




「…あら、命じゃない。…どうしたのよ、その風呂敷?」



 おつかいを済ませたその帰り道で、因に声をかけられた。



「千鶴のお母さんに頼まれて」


「…そう。…邪魔して、悪かったわね」


「大丈夫」



 その時、私達は気づくべきだった。轟音が、私の後ろから迫っていたことに。

 一陣の風が、頬を撫でた。



「な!」


「!」



 我に返ったとき、私は自身が手ぶらになったこと、そして轟音の発生源が風呂敷の包みを持っていったことを認識した。



「バイクに乗ってるなんて卑怯じゃない」


「あのスピリンテント…」


「知ってるの?」


「前に襲ってきたイシモチソウスピリンテント」


「そう…。でも、どうやって追いかければいいのかしら」



 どうやら、因も私の荷物が引ったくられたことに気づいたらしい。

 そのとき、私の懐から光が漏れてきた。

 探ってみると、その光源はヒマワリクリートシードリングだった。

 ベルトを出現させると、今度はストレングスエナジーザイが光っていた。私はそれらを装填し、バックルをスライドさせた。



 “ストレングス・エナジー!”

 “ライドオン! マシンソウラー!”



 ベルトからいくつもの光の玉が飛び出すと、それらは集結して黄色いオンロードバイクへと変化した。



「すごい…」


「因、乗って」


「え?」


「早く」


「え、えぇ…」




 ◆




 イシモチソウスピリンテントを追いかけ、私は後ろに因を乗せて街道を突き進む。



「ごめん、ハンドルから手が離せないから変身させて」


「しょうがないわね…」



 “チェィンジ・エナジー!”

 “チェィンジ・エナジー!”

 “私は、あなただけを見つめる!サーンサーンサーン!サーンサーンサーン・サン・フラワー!”

 “遠慮! メイプルっ! トゥットゥ・メイプルっ! トゥットゥ!”



「変身」


「変身!」



 “ヒマワリ・ライダァー!”

 “カエデ・ラァァァンド!”



 私と因、それぞれの変身が同時に行われた。因はいつものカエデランド。そして私はヒマワリランド…じゃない。以前のの重々しい姿とは違い、スーツが体のラインに則したものになっていて、四肢も自由に動く。変身音声も異なっていた。どうやらバイク「マシンソウラー」を発現させた状態でヒマワリランドに変身すると、装甲が弾けてバイクに合体し、残った細かなアーマーで新たな形態に変化するようだ。便宜上、以前の姿を「ヒマワリランド(フォートレスフォーム)」だとすると、こちらは「ヒマワリランド(ライダーフォーム)」といったところだろうか。



「なんか、ずいぶんとヒロイックな姿ね…。って命、後ろ!」



 ミラーで後方を確認してみると、黒い小型バイクに乗ったザッソウスピリンテントが大勢迫ってきていた。



 “セットアップ! サクラバリア!”



 敵軍のうち、後部座席に控えていた変異種のザッソウスピリンテントが右腕の銃口から光弾を放ってきたのを視認した私は、マシンソウラーのコンソールに備わったソケットにサクラクリートシードリングを装填した。すると後輪の左側に箱型の機器が現れ、そこからドーム状に展開された桃色のバリアが全ての光弾を打ち消した。



 “セットアップ! ヒマワリガトリング!”



 次に、バックルに挿していたヒマワリクリートシードリングをサクラと入れ換えて装填した。すると今度は排気筒がガトリング砲へと変形し、猛烈な弾幕によって後方の敵軍をあらかたクラッシュさせた。



「変な事故にならないといいけど…」



 “セットアップ! アサガオチェーン!”



 因の心配をよそに、私はアサガオを装填。前輪の両脇にツタを模した鎖が伸びて、前方の地面を強く叩いた。前のめりになった勢いのまま、私達二人を乗せたバイクは高速回転しながら直進。イシモチソウスピリンテントを大きく越えたあと、ハンドルを左に切ってドリフト。

 急に現れた障害物に驚いたイシモチソウスピリンテントは避けそこね、大クラッシュした。バイクの爆発によって飛んできた包みをキャッチして中身を確認したが、どうやらギリギリのところで原形をとどめてくれたようだ。



「まだ終わっていないわよ。…っていうかここって、私達の高校のグラウンドじゃない…」



 安心したのも束の間。立ち込める爆炎の中から、フラフラとイシモチソウスピリンテントが現れた。



「うぅ…また、失敗です…。死んでも、良いことなんて、何も、ありませんでした…」


「…」



 しばし、私達は耳を傾けていた。



「会社をリストラされて、妻には逃げられて…自分で首を吊って…。生き返ってやり直すチャンスがあると言われて頑張ったのに、この…有り様…うっ!」


「…!」


「触手!?」



 突如、イシモチソウスピリンテントの腹部からうねうねとうごめくモノが飛び出した。



「オクビョウモノメ。セメテ、オオアバレスルンダナ」


「あぁ…本当に…ずっと…使い捨てにされた人生だっグアァァァ!」



 イシモチソウスピリンテントの背後から出現したタッカ・シャントリエリスピリンテントは、有り余る残りの触手に持っていた謎のエナジーザイをイシモチソウスピリンテントにいくつも突き刺した。

 イシモチソウスピリンテントはみるみる巨大化し、ナックルウォークの体勢をした化け物へと変貌した。



「コイツト、ドウタタカウ?」


「タッカ・シャントリエリは任せたよ」


「えぇ。…この間の借り、返させてもらうわよ」




 ◆




 私は再びバイクに跨がり、アクセルを掛けた。砂煙が舞い上がり、発進。



 “セットアップ! タンポポファング!”



 コンソールのソケットにタンポポクリートシードリングを装填すると、フロントカウルから前方に向けて二本の刺突ユニットが追加された。スピードを生かして、五メートルはある巨体を駆け登っていく。

 …今更だけど、片手ずつ使えるのだから、わざわざ因に変身させてもらう必要はなかった気がする。



 振り落とそうとする剛腕をかわしつづけ、私は頭頂部に登りつく。



「はあっ!」



 軽く前輪を浮かせて、重心を前にずらしながら突っ込む。ユニットが変わり果てたイシモチソウスピリンテントをえぐりつつ、降下していく。



「最期は……自分自身を欺かなかったね。安らかに眠れ」



 “ヒマワリシードマシンガン!”



 私はヒマワリシードマシンガンを召喚し、上部に斜め向きに施された白いダイヤルを回し、銃としてのグリップが上にくるように持ちかえる。



 “タンク!”



 そしてそれを、コンソールのさらに手前にある燃料タンクのスロットに差し込む。



 “ヒマワリオイル、チューシュツ!”



 マシンソウラーが変形を開始する。やがて、固定砲台へと形を変えた。

 それとともに、必殺砲撃の待機音声が鳴り響く。



 “ツヤツヤ・テカテカ! ツヤツヤ・テカテカ!”



 アクセルを回し、砲撃を開始。



 “オハダスコヤカ! ヒマワリ・シャイニング!”



 極太の光線がイシモチソウスピリンテントを襲い、彼を引きずっていく。



「とどめ、いくよ」



 “デッドリー・エナジー!”

 “グローアップ! ヒ・マ・ワ・リ!”



 バイクから飛び上がり、光線の中に飛び込む。加速エネルギーが付与されたキックを懐めがけて叩き込む。



「グ、グォア、グオィァァッ!」




 ◆




 私は、タッカ・シャントリエリスピリンテントと対峙していた。



「フンッ」


「この間は、よくも命に酷いことしてくれたわね…」


「サイオンジカレンモ、ソノカタキノヒトリジャナイノカ?」


「ええ。でもまずは…あなたよ」



 私はベルトのバックルを右にずらし、待機状態にしてから新しいクリートシードリングを装填した。



 “不滅! ジャーパニーズ・サイプレス! ジャーパニーズ・サイプレス!”



「これが私の、新たな力よ!」



 右手でバックルを元に戻し、換装。



 “ヒノキ・ラァァァンド!”



 巨大な樹のエネルギーが私を包み込み、爆散。カエデランドよりも茶色っ気の明るい姿「ヒノキランド」へと私は姿を変えた。



「さあ、不滅の愛に溺れなさい!」


「オマエニデキルカ?」



 タッカ・シャントリエリの触手から、無数のビームが発射される。私はそれを力業で耐え抜き、スキを窺う。

 やがてビームが止み、反撃のチャンスが訪れた。



「来なさい、カクザイバズーカ!」



 私が叫ぶと、地面から私の身長ほどの長さを持つ木材の棒が生えてきた。それを両手で掴み、表面を削るように側面のカンナ型のパーツを操作した。



 “イチバンケズリ!”



 カクザイバズーカからガイダンスボイスが流れ、両端にエネルギーがこもるのを感じる。



「でやあぁっ!」



 両手で振り回しながら近づき、迫り来る触手をいなして強力な打撃を加える。



「グオォッ!?」



 先端を奴の懐にあてがったまま、カンナ操作を二回連続で行う。



 “ニバンケズリ!”



 今度は連打。



「ふんっふんっふんっ!」


「コ、コレハ…!」



 奴から飛び退き、今度は三回。



 “サンバンケズリ!”



「ココハタイキャク…」


「させないわよっ!」



 先端で地面を突き、ツタを出現させる。

 そしてそれらを使って、奴を拘束した。



「グ、グウゥゥッ…!」


「悪いけど、私は命ほどの植物愛護者じゃないのよ。だから、一気に決める!」



 私はカクザイバズーカの穴にストレングスエナジーザイを挿し込み、二対八くらいの割合で先端を折り、銃口を露にさせる。



 “ストレングス・エナジー! フルブラスト!”



 カクザイバズーカの短い方に現れた引き金を左手で持ちながらバックルのヒノキクリートシードリングを装填した。すると必殺技待機音声が流れて銃口にエネルギーが充填されるため、右手で本体を抱えて構える。



 “ゲツ・カ・スイ・モク・キン・ド・ニチヨウダイク! ディー・アイ・ワイ! ハッハッハ・ディー・アイ・ワイ! ハッハッハ!”



「クソ! クソォォォッ!」



 “ヒノキ・ブラスト!”



 カクザイバズーカから放たれた光線が、奴を襲った。

 そして、光線が奴を撃ち抜こうとしたその時。

 奴は、木っ端微塵となった。



 さらに、私に迫る命の飛び蹴り。



「危なっ!」



 間一髪のところで引き金を戻してお辞儀の態勢になることで、事故は免れた。



「い、今のなんだったのよ」


「ごめん。イシモチソウスピリンテントを貫通してタッカ・シャントリエリにまで届いちゃったの」


「あんた強すぎよ…。って、それ…」



 私が命から受け取ったモノをコトマリギに装填すると、コトリモードに変形して話し出した。



『二人共、私を解放してくれて、ありがとうございました…』


「あなたが、本当のタッカ・シャントリエリなんだね?」



 今の命の口調は、とても優しい。



『あの悪霊に取り込まれて、私はなんてことを…』


「大丈夫。あなたの孤独な主張は、確かに受け取ったから」


『…あなたは優しい方ですね。では、私はもう一度、眠らせていただきます』



 コトマリギに挿されていたモノ…タッカ・シャントリエリクリートシードリングは半透明になり、光の粒となって霧消した。



「さようなら、タッカ・シャントリエリ」


「私のこと、何も言っていなかったわね…」




 ◆




 暗黒の中、そこには確かに光が差していた。

 二つ、人の形をした影が浮かび上がり、蠢いている。



「タッカはんはやられてしもうたどすか」


「とんだ腑抜けだな」


「あら、労いの言葉くらい無いんどすか?」


「無いな」


「…大悟郎はんが興味あるんは、本当に桐代千鶴だけなんどすね。早く排除して欲しいどすなぁ」


「憎き桐代千鶴め…。この怨み、必ず晴らしてやる…この、名刀マサムラでなぁ!」

どうも、壊れ始めたラジオです。


二ヶ月以上更新が滞ってしまい、すみませんでした。


頑張ります。


次回は過去編です。


それでは。

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