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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
ダンジョン天空まで聳える怪樹

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第65話、夕暮れ色のダンジョン

 昼過ぎ、私達祝福の風はギルドへ赴き護衛業の褒賞金を受け取るとその足で依頼掲示板を見る事に。ダンジョンがすぐ近くにある事もあって、依頼掲示板には討伐依頼と採取依頼の依頼書が沢山貼られている。

 その中で注目するものは、木の怪物トレントが落とす(ドロップする)樹液と魔石が現在高価買取中と言う事と、頂上付近で目撃されている天使と呼ばれるモンスターの変異種の討伐依頼が出ている事ぐらいか。因みに天使の特徴として四枚の翼を持つ人型である事が挙げられており、主に上空から強烈な遠距離攻撃をしてくるそうだ。

 そこで読み書きが少し出来るようになっているエルが、天使の依頼書を見たあと私に問いかけてくる。


「アルドさん、この天使って、本当の天使なのですか? 」


「いや、ダンジョンにいる天使と呼ばれるものは、99%が本物の天使じゃないだろう。天使とは高次元に存在するものだからな。まぁ天使に姿形が似ているため、冒険者からそう呼ばれているモンスターがいると思っていたほうが良いだろう」


「そしたら残りの1%は本物かもって事ですか? 」


「そうだな、なに事でも例外は存在するからな。まぁ実際に見れば、神々しいかどうかで判断出来ると思うよ」


「へぇー」


 そして私達はお金を稼ぎながらダンジョンの深部、今回は頂上へと向かうため、各種の討伐依頼と採取依頼の受注をした。また無料で配布されている頂上へのダンジョンマップを受付で入手した後、ダンジョン攻略は明日と言う事でギルドをあとにする。それからダンジョンには複数日潜る予定のため、とりあえず三泊分の宿を確保した。

 そうして晩飯を食べるため、私達は酒場へ訪れていた。注文した大猪の姿焼きと魚介類中心のディナーランチを食す私達は、各自思い思いの飲み物を飲んでいる。


「アルドくん、このタコにニンニクが添えられたタコのカルパッチョって美味しいですね」


 そう言うリーヴェは、いつものようにエールをちびちびと飲んでいる。


「あぁ、食が進むな」


「そっ、それとアルドくん」


「どうした? 」


「リーヴェもお料理、頑張りますね」


 一体なんの話をしているのだ? まぁリーヴェの料理は小さい頃からパオル邸でずっと食べてきているが、普通に美味しい安心して食べられる料理である。とそこで——


「アルル〜、お酒飲まないのですか? 」


 因みに絡み口調のイリスは顔を赤らめ、魔導国家マジェスタの地方酒である葡萄酒を飲んでいる。


「アルコールはちょっと苦手でして」


「そうですか、この角のない飲み口に芳醇な旨味を理解するには、まだまだ年が若すぎますか〜」


 そこでイリスがクイッとお酒を飲み干したため、私はすかさずお酒をイリスが持つグラスに注ぐ。


「そう言えばイリス、私の前世はどんな感じだったのですか? 」


 すると皆が聞き耳を立てる中、イリスが口角を上げる。


「アルルの前世ですか。それはもう、可愛いらしい青年でしたよ。……臆病で弱気で引っ込み思案で。そしてそんな病弱だったアルルを、私は外に引っ張っていきました」


「なんだか今のアルド様と真逆ですね」


 先程からカポカポとエールが入ったジョッキを飲み干しているレイゼルが、顔色を変えずに微笑みながらに呟いた。


「そうなのです、ふわぁぁ、前世と比べると魂レベルが飛躍的に上がっているのです。これも勇者パーティーにいた頃の過去世が、多大に影響していると思われるのです」


 そのイリスの言葉に首肯で答える。


「そうですね、まぁ勇者パーティー時代の記憶が蘇る前は、たしかに臆病で弱気で引っ込み思案だったからですね」


 そうして前世話に花を咲かせて、夜はふけていき——


「うぅぅ、……アルルゥ」


 酒場の丸テーブルで寝入ってしまったイリスが悪夢にうなされているようだったので、良い夢をみれるよう幻影思考を掛けてからおんぶをして宿へと帰宅するのであった。


 翌日の早朝、ムルディを出発した私達祝福の風は、ダンジョンを目指して徒歩で草原を北上していた。そして現れる見上げる高さの壁。ここの壁は草原を左右に横断するように建てられている。そしてその壁の先は、どす黒い雲のカーテンのような霧。そう、あの霧の中にダンジョン天空まで聳える怪樹が存在するのだ。

 そして壁の一角の通用門を潜り霧の中へ身を投じる。すると凄まじい風切り音を立て前方に突風が吹き荒れ始める。それから黒霧があっという間に私たちを包み込みその場で風に耐えていると、徐々に周囲から黒霧が取り払われていく。


 ダンジョン、いつ来ても不思議な空間である。黒霧に包まれるまでは午前中と言う事もあって陽は高かった。しかしダンジョン内の太陽は夕暮れ時のように傾いており、そのため左から照らされている私達の影が右へ長く伸びている。

 そして目の前には、天空まで伸びていると言う一本一本が馬鹿でかい夕暮れ色に染まる巨木が合計六本。あまりのでかさにここからはその内の三本しか見えないが、その六本は円を描くように生えており、その円は街一つが入るのではと言われるぐらいに広い。またその全ての巨木が地面から螺旋を描くように上に伸びており、遠くから見ればまるで一つの木、いや塔のように見える。そして情報では地上から頂上に行くまでの六本の巨木の中の円に七つのフロアが存在し、そんなフロアは多くのモンスターが生息するエリアとなっているらしい。

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