47、演習授業 5
それから暫くの間は探索魔法でモンスターを見つけて倒すを繰り返していた。
他のチームと比べて移動は最短距離で探す時間はほぼなし。
最初出遅れた分はすぐに取り返すことが出来た。
「師匠、今のペースですと歴代最高得点を優に上回る記録が出ますよ」
ボードを見ながらテンションを上げるハクア。
探索魔法を使えば余裕で一位にはなれると思っていたが、まさかそんなに取れるとは思っていなかった。
「後どれくらいなんだ」
「一体です。後、一対モンスターを倒せば歴代一位の記録になります」
授業が終わるまでは後二時間以上もあるのに、既に歴代記録に並んでいるとは驚きだ。
「その記録って誰が出したんだ」
俺の質問に対して答えが返ってこない。
あれ? どうしたんだ。
少しの沈黙の後、ハクアが口を開いた。
「賢者様を除いた勇者様方の子孫達が残した記録です。最も先祖に近い能力を持っていたと言われておりました」
それなら納得。
正直なところここまでに記録探索魔法をでもないと無理だ。
それに、十一歳という年齢を考えると体力もなかなか持たないだろうしな。
「それなら納得だな。今の俺達と同じ記録を出したとしたらなかなかないいチームワークをしてたんだな」
「いえ、それが。チームではあったのですが連携は一切せず、個人技でした。一人一人が北に東にバラバラになってモンスターを倒していました。森を無茶苦茶にして」
「大技をぶっ放したってことか」
「そうです。強い力を持っていたのをいいことに監督役の生徒の言葉も無視して暴れていましたよ」
ハクアが肩を落としてため息をついている。
よほどだったんだろうな。
と、俺とハクアが話している間にレーナ達がモンスターを倒していた。
汗一つかかずに。
レーナとリーラは何事もなかったかのようにこちらへと歩いてきている。
「サージ様終わりました」
「余裕」
二人ともかなりモンスターとの戦闘に慣れてくれたみたいだ。
それに比べて、何もしていないはずのグリューが少し疲れた顔をしている。
「サージ、少しこの二人危なっかしくないか?」
「どうしたんだよ急に」
「一応もしもの事があったらと思って二人の様子を見ているんだが、モンスターが目の前にいるのにも関わらず戦闘態勢を取らずにいたり、簡単な攻撃を外して危険だったりと見ていて冷や冷やするんだよ」
俺はぎろりと視線を二人に向ける。
すると、少し顔を青ざめてそっぽを向く二人。
「は~、俺から言っておくよ」
「頼む。いくら力を付けたからと言っても油断だけは絶対ダメだからな」
「ああ、それは俺達が一番分かってるしな」
魔人王の幹部との戦いの時、俺達は自分の力に酔って油断して死にかけたことがある。
あの時は、もう駄目だと走馬灯まで見たくらいだ。
その経験から俺は絶対戦いの中で油断をしないように教えてきたのだが、モンスターが低ランクなのに合わせて、自分達に力がついて簡単に倒せるものだから少し調子にのっているな。
俺は二人に近づいて、
「レーナ! リーラ! もう少し戦いに集中しろよ!」
「何を言っているのですか? 私達は集中しておりますよサージ様?」
「している。いつも」
「そうか、だがグリューから話は聞いているぞ。本来な外すはずもない攻撃を外したんだって」
「!!」
「それにモンスターが目の前にいるのに戦闘態勢を取らないとはどういうことだ!」
「!!」
「レーナに関しては集中力が完全に切れている証拠だ! もっと集中しろ」
「はい!」
「それにリーラ、お前は確かにこの三週間足らずで回復魔法を人並以上に使えるようになった。それに、戦闘能力をかなり伸びている。凄いことだ。だが、目の前にモンスターがいるのに戦闘態勢にも入らないのはいくら何でも油断しすぎだ。もしも想定以上の力を発揮する希少種だったどうするんだ」
「それは……」
「一歩間違えたら死ぬぞ。だからどんな時でも油断するなよ」
「はい」
二人にしっかりと反省してもらった所で、
「説教はここまでだ。二人の活躍で俺達の取ったポイントが歴代一位になったぞ」
「え、え~~~~~~! 本当ですか!」
「本当よ。それにまだに時間程あるわ。もっと記録を残せるわよ」
「もっと、一杯倒す」
二人ともより気合が入ってくれたようで良かった。
と思っていると、周りの茂みから音がする。
それに、探索魔法にも人の反応があり全員が警戒している。
「誰?」
「どこかのチームだろう」
「そうだよね。いくら広い森だって言っても遭遇することもあるよね」
「全員戦闘準備はしておいてよ。もしかしたらってこともあるから」
「分かりましたグリュー様」
「うん」
俺達は武器を構えて戦闘態勢に入る。
ガサガサ! ガサガサ!
茂みから四人の人が出てきた。
「っち! 逃げられたか!」
どこかで見たことある顔だと思ったらドレイク=アルフレッドだった。
俺達はこいつと何か運命的な物でもあるのか?
まあ、正直そんな運命嫌だけどな。
「っよ! ドレイク」
「なんだよ無能かよ」
いつものドレイクの反応だ。
後ろにはいつもの取り巻き達と、もう一人いるが今はどうでもいいか。
「無能のチームがこんな所で何をしているんだ。どうせモンスターを一体も倒せずに逃げていたんだろう」
「いや、俺達は倒しすぎてどうしようかと思っていたんだよ。学院長曰く、歴代一位の記録なんだって」
「見え透いた嘘つきやがって。まあいい、どうせ後二時間程で全ての結果が出るんだからな!」
「そうだな、その時が楽しみだ!」
それだけ言ってドレイク達は何処かへ行ってしまった。
「騒がしい奴だな」
「そうですね。ですが、前のように私達の事をあまりバカにしてこなかったですね」
「丸くなった?」
「流石に、あれだけボロボロに負けたら言えないよね」
「それもそうか」
などとドレイク達を見送った俺達は、探索魔法で見つけたモンスターの方へと向かった。
数自体は少ないし、それほど強い反応もない。
ただ少し気になるのは、俺達が森の奥へと移動を開始したと同時に空気中の魔力量が急に増加した。
空気中の魔力量が自然に増加することなどありえない。
つまり何らかの目的を持った持った者の手によって行われているということになるが、一体何が目的でそんなことを。
それにこのことに気づいているのは俺とハクア、グリューの三人だけ。
レーナもリーラも一さお気づいていない。
俺は、何も起こらないことを祈りながら先を急ぐのだった。
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