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魔導列車の旅、ロリっ娘頑張る

 見て下さる皆様、ブックマークや評価を下さった方々、ありがとうございます。今後も宜しくお願い致します。

 流れる景色を彩る花畑、列車の窓から薫る木々の匂い、ユリアの美しい髪を揺らす草原を渡る風。

 そのどれもが日本で生きて頃には気にも止めない物だった。思えば異世界に来てからも景色を楽しむ余裕が無かった様に思う。


 そんな俺が自然を前に、心地良いと感じる様になったのはユリアのお陰かもしれない。

 自分を愛してくれる人が居るというのは、気持ちを落ち着け、やすらかな平穏を心に運んでくるらしい。


 生まれて初めての愛しさは、俺を強くも弱くもする様だ。改めて、この気持ちとユリアを大事にしたいと思う。

 それと同時に、俺から奪おうとする奴等には容赦はしない。神に与えて貰ったこの力で全て喰い尽くしてやる。


「どうしたんですか?気分が(すぐ)れないなら、ユリアのお膝を使って下さい」


 向かいの席で膝をぽんぽん叩いて膝枕を促す。


「ちょっと考え事をしてただけだ。心配掛けて悪い。…………ありがとうな、ユリア」

「はえ?どう致しまして?ユリアもありがとうです!」


 不思議そうに首を傾げるも、気にしない事にしたのかニッコリ笑って礼を言った。




「羊さ~ん、ユリアはここです!」


 窓から身を乗り出し、羊の群れに手を振っているユリアのお尻もフリフリしているので、当然撫でる。


「ひゃあっ!!ご主人様メッ!いきなりは駄目です!」


 恥ずかしそうにお尻を押さえるユリアが可愛い。()じらう女の子はいいな~。


「ユリア、おいで」

「ご主人様~。大好きです!」


 腕を広げてユリアを呼ぶとぴょんと飛び込んで来た。ぎゅっと抱き締めると気持ち良さそうに目を瞑り、頬をスリスリした。



 ユリアを膝に乗っけてイチャイチャしていると、腹が減ったので食堂車に向かう。

 魔導列車は長距離に備えて、食堂車や寝台車が付いている。席だけだとそれなりに安いが、個室や寝台車は金持ちしか使わない。


「お肉が軟らかいですよ、ご主人様!食べてみて下さい!」


 ステーキを突き刺したフォークを差し出して、あ~んをしてくる。お返しに俺のパスタを食べさせた。

 イチャイチャしていたら、何故か頼んだ物とは別の物を食べる事になったのは妙だ。不思議空間が発生したに違いない。

 腹がいっぱいになるまで食べて幸せ気分になったので、客室に戻る事にしたが、その途中で絡まれた。


「よう小僧、珍しいエルフの女を侍らして良い御身分だな!」

「俺達にもおこぼれをくれよ」

「3人で可愛いがってやるぜ?」


 やはりエルフは目立つらしいな、腹はいっぱいだと言うのに獲物がやって来た。

 武装したチャラそうな男達は、全員俺よりレベルが高いが、レベルイーターを使えば2~3まで下がる。

 これからの人生に同情するぜ。気付かずに魔物と戦えば死ぬな、コイツら。


「一言言って措くぞ?他人の大事な物を奪う時は……、死ぬ覚悟をしてからにしろ!!」


 奴等のレベルを奪ってから殴り掛かる。先頭に居た男は避けようとするが、普段ほど力が入らず、避けそこなって顔面を殴られた。


「ぶべっ、……何でだ。力が入らねぇ」


 鼻血を抑えながらガタガタ震え出す。


「てめぇ、よくも仲間をやりやがったな!」

「先に絡んで来たのはお前達だろう?寝言は寝てる最中に言う物だ」


 アホな奴等だ。我儘は俺の特権だ!!


「死ね!」


 バカが剣を抜いて斬り掛かって来たので俺も抜く。袈裟懸けに斬り掛かる男の剣を下から掬い上げる様に斬り飛ばす。

 ギィンと鈍い音を立てて相手のナマクラがへし折れた。さすがに魔力を込めると威力が高い。


「一撃で俺の剣がっ!!」


 折れた剣を見詰めて呆然としている男の股間に剣を突き刺した。勿論汚ないので魔力でコーティングしてからだが。


「ギャャャャャャャャャャッ!!イテェェ!!イテェ!!」


 剣をグリグリして、しっかり潰す。ヨダレを垂らし、白目を剥いて気絶したので最後の男に向き直る。


「俺達が悪かった!!許してくれ!もう二度としねぇ!」

「お前みたいなバカが、反省するなんて高度な事が出来る訳無いだろう?お前達は全員不能者だ」


 大勢の客や警備兵が恐怖を浮かべる中、俺の大人のお医者さんゴッコが終わる。

 血塗れの股間を押さえてピクピクしているバカ男達が気持ち悪い。ついでに周りの男達も内股になり、股間を押さえる。

 ライフイーターを使えば早いが、人前で使うと非常にマズイ。何もせず、いきなり相手が倒れたり死んだりすれば怪しまれる。


「さて、腹ごなしの運動も終わったし、部屋に帰るか」


 ユリアを連れて食堂車を出ようとすると警備兵に止められた。


「ちょっと待ってくれ!事情を聞かせて欲しい」


 生真面目そうな40代の口髭の立派なオッサンだ。その目は理性的で話が通じそうなので、事情を説明した。


「ご主人様はユリアを守ってくれたのでです。叱らないであげて下さい、人間さん」

「いや、事情は聞いたし、先に剣を抜いた方は殺されても文句は言えないから、もう開放だよ」


 何事も無く済んだのでユリアと共に部屋に戻る。


「ご主人様、ユリアを助けてくれてありがとうございます!」


 部屋入るなり抱き付いて礼を言うユリアの頭を撫でながら、名を売る事を考える。

 俺が有名になれば、ユリアにチョッカイを掛けるバカも減るだろうし、早く強くなってドラゴンでも退治するかな?


 食事が終わって眠くなったのか、ユリアは俺の膝に座り、背中を預けてスヤスヤお昼寝中だ。

 あと2時間くらいで王都に到着する筈だ。乗り過ごしたら追加料金を払わなければならないので、俺は眠れない。


 乗り過ごしたとしても、国の端っこまでは行かないので大丈夫と言えば大丈夫だけど。

 魔導列車はどの国でも主要な街にしか走って無いし、他国には繋がって無い。

 小さな町や村に行くには、歩いて行くか馬か馬車、珍しい移動手段で飛竜などの、比較的知能が高く人に従う魔物に乗って行くしか無いのだ。


 寝ているユリアの頬を撫でながら魔法の教本を読んでいたら、ギギィィィィィと魔導列車が急停車した。


「ふぇ?ご主人様、何か有りました?」


 驚いてユリアが飛び起きる。寝起きは良さそうだな、野宿の最中に襲撃されても大丈夫だろう。


「直ぐに乗務員の説明が有るだろ。だけど、一応武装するぞ」


 剣を腰に差し、裏地を何ヵ所か薄い鉄板で補強した、黒いジャケットを着る。

 ユリアも普段着の上に魔導士のマントを身に着けて、杖を持ってステータスの確認をしている。


 暫し待っていると、コンコンと扉を叩く音が聴こえた。警戒しながら開けると、タキシードを着た乗務員が頭を下げた。


「お客様、申し訳御座いません。落石で線路が塞がっておりまして、魔導砲で破壊した(のち)、撤去作業に掛かります。40分程で完了しますので、少々お待ち下さい。ご迷惑をお掛け致します」

「判った。魔導砲に興味が有るから見ていても良いか?」

「構いませんが、危険なので離れた場所で見学なさって下さい」


 許可が出たので外に出る。許可が出なくても見に行くけど。


「ご主人様、周囲を探ってみましょうか?」

「探るって精霊魔法で?」

「はい!魔物とかが暴れて落石したのかもしれません」


 両側が低い崖になっている場所に線路が通り、妙に丸い岩が道を塞いでいる。


「頼む。あの岩、人工的に丸くして運び易くしているみたいだ」


 盗賊の仕業かもしれない。


「判りました!……自由を愛する風の精霊よ、契約に基づき我に力を貸し与えよ!シルフィール!!」


 呪文を唱えるとユリアから風が吹き始めた。


「ご主人様!あの落石の向こう側に人間さんが100人近く、離れた場所で隠れてます!」


 最大でも300メートル以内だな。恐らく、落石を破壊してから撤去作業に出て来たところを襲撃する気だ。

 魔導砲を撃つのは乗客に説明が終わってからだろう。その前に乗務員に伝えて措くか。



「なるほど、まずい事になりましたね」


 乗務員に伝えると車掌の所へ連れて行かれ、事情を説明すると悩み始めた。


「何でだ?警備兵も居るし魔法使いも居る。足りなければ乗客の冒険者に協力して貰えば良いだろ?」


 連中だって死にたくは無いだろうから戦う筈だ。


「それが、警備兵は25人、魔法使いは5人しか居ません。冒険者の方も10数人しか」


 敵の半分くらいか、……暗殺なら兎も角、真正面からは俺1人じゃあ無理だ。

 レベルイーターとライフイーターで弱らせてから、ユリアの風の精霊魔法で纏めて切り刻んで、あとは一斉攻撃するか。

 魔導砲は敵が出て来ないと当たらないし、敵味方が入り交じる混戦中には使えない。


「取り敢えず俺が出る。ユリアは合図したら風の精霊魔法で攻撃してくれ。それで倒せなければ警備兵達が参戦してくれ」

「お客様を危険に曝す訳には参りません!」

「邪魔だから1人で行くんだ」


 味方が居ると使う時に気も遣わないといけなくなる。出来ない事じゃないけど、まだ慣れないので疲れる。

 なんとか説得して警備兵はユリアと後ろで待機してもらう。魔導砲の発射準備出来たらしい。


 列車の全面に取り付けられた砲身から、音を立てて魔力の塊が飛び出した。

 蒼白いエネルギーが落石に着弾すると轟音と共に、岩が粉々に破壊される。

 特殊合金製の線路は傷1つ付いていない。土埃が収まってから破片の所に向かう。



「そいつを人質に取れ!!」

「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」


 途端に敵が出て来て俺を取り囲む。俺は即座にレベルイーターとライフイーターを使い、敵の生命力を20%くらいまで下げて動きを鈍らせる。

 魔力を身体に纏わせてユリアに合図すると、すかさず背後に居た男の喉に剣を突き刺し、盾にする。

 その瞬間、周りの男達の肌が切り裂かれた。俺が盾にした男の首筋にから血が噴き出し、男達がバタバタと倒れて行く。


「さて、残りも俺が喰い散らかすぞ。俺の為に死ね!」

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