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レジェ王国に行くはずが

現在、手元にプロットや設定を書いてあるノートがないので、少しイベントの順番を変えて書きました。

細かい設定を覚えてないため、次の遺跡の話を書けないのです。

なので設定がおぼろ気でも、あまりストーリーに影響のない部分を書きました。あしからず。

 剣も完成し、準備も整って、明日にでも出発するかと思っていたところ、王城の部屋に集まった俺たちに、ケビンが街の噂で気になることがあると切り出した。


「なんでも、カローリ王国とロワ王国の国境にある要塞がロワ王国の軍勢に落とされたらしい」


 眉をひそめて話すケビンの言葉に、一瞬置いて思い出す。カローリ王国は、滞在中のコーニング王国と、東に在るレジェ王国の北に在る国だ。

 この大陸の最北に在るロワ王国に狙われていると、以前に聞いた気がする。


「商人が言うには、ロワ王国の王子がカローリ王国の王女を欲しがっているらしい。息子に甘いバカ王が要求したらしいけど、断られて仕掛けたらしい」


 この時世にアホなことをする。魔王が復活しそうな時に、人間同士で争うなんて。


「それは困ったね。ロワ王国とカローリ王国の封印の遺跡に向かう時に資料が手に入らなかったり、協力が得られないかもしれない」


 仲間内の常識人、ビリーが渋い声を発する。


「なんにしても、その時までに終わってるのを祈るしかないんじゃないか?」


「そうね。あたしが他国の政治に口出しするのはダメだもの。下手に口出しして巻き込まれたら、あたしの国も危ないし」


 俺の言葉に王女であるリーゼが同調する。


「戦争はヤダな~、お兄ちゃん怖いよ~」


 カリンが俺に身体を寄せてくる。


「人間さんのすることは分からないです。ユリアたちエルフは人数が少ないから、争いはゼッタイにダメだって言われて育ちますから」


 ユリアは可愛いツリ目を下げて哀しそうだ。


「……アルはその戦争で捕虜になった。奴隷になったけど、ごしゅじんに逢えたから良かったかも」


 オヤツをもきゅもきゅ食べながら重いことを言う。


「……トール君、どうするの? 予定通りにレジェ王国に行く? それとも戦争が激化する前にカローリ王国に行く?」


 考え込む俺を気遣うように、マリンが聞く。


「国力は変わらないし、そんなに簡単には決着は付かないだろう。国から俺の名前で抗議文を出して貰って、軍を退かせるようにしてみよう。俺たちは予定通りに遺跡に向かおう。パーヴェルが動けない内にできるだけ封印の強化をしておきたい」


 レベルを下げたから封印解除に必要な魔力が足りないんだろう。奴がレベルを上げるまでに、俺たちもレベルを上げておきたい。


「そうだな! オレもパーヴェルには遇いたくない。あの時は死ぬかと思ったからな」


 ケビンも賛成らしい。


「王女には悪いけど、政略結婚は王族の義務みたいなものだし、王子もエルネット王女の美貌に惚れ込んでるらしいから、ヒドイ扱いは受けないだろう」


 ケビンの言葉に聞き逃せない部分があるな。


「聞き捨てならん!! 美貌の王女だと! 可愛い女の子は幸せになる義務がある! 先にそのアホ王子を始末に行くぞ!」


 立ち上がり扉に向かう。


「……って、アホはお前だ! パーヴェルが動けない今がチャンスだろ!」


「あたしの婚約者でもあるトールが戦争に参加するのはマズイでしょ!」


 ケビンとリーゼが俺の身体にしがみ付く。


「ご主人様はカッコいいです!」


「お兄ちゃんガンバレ!」


「……アルの魔法でけちらす」


 ロリッ娘同盟軍が応援してくれる限り、俺は敗けないのだ!


「任せろ! 邪悪なアホ王子は必ず倒す!」


「お前は勇者だろ! やめろアホ!」


「個人的には賛成だけど、国民を巻き込むようなことは()めるわ!」


 その日は夕飯まで説教された。


「勇者様はどうしてほっぺたに手形が付いてるのじゃ?」


 8歳児の王女コゼットが不思議そうな顔をしているが、兵士やメイドは気まずそうに目を逸らす。

 女の子は怒ると恐いな。将来、尻に敷かれないか心配になってきた。

 カチャカチャと食器の音だけが響く寂しい食卓に、聞いたらマズイと思ったのか、コゼットも口をつぐみ、夜は更けていく。





「ふあぁぁぁぁぁ~。よく寝た。……トール、起きろ!」


 見張りのために一緒の部屋に寝ていたケビンが、隣のベッドに声を掛ける。


「…………いねえ! 父さんと見張りの兵士は!?」


 ケビンが大急ぎで反対側のベッドの布団を捲ると、鋼鉄の鎖でグルグル巻きにされたビリーが気絶していた。

 気配察知スキルを持つビリーは、気付いたために気絶させられたのだ。

 扉を開けた先には、20人を超える兵士たちが倒れていた。慌てて兵士を起こして事情を聞こうと近付いたら、兵士の顔に手紙が貼り付いていた。


「…………未来の嫁に怒られ、人生に疲れました。旅に出るので捜さないで下さい。具体的には往復1ヶ月くらい……ひたすらアホか!? アホとアホ王国の戦いとかロクなもんじゃないな!!」



「急げ急げ急げ~!! 美少女が俺を待っている! 美少女の幸せを守る愛の戦士、美少女お助け仮面の出陣だ! 行くぞ、タロウ仮面!!」


「クエェェェ!!!」


 俺たちは愛に生きる男とペット。美少女お助け仮面とその相棒、岩跳びペンギンのタロウ仮面だ。決して勇者ではない。

 砂煙を上げて全速力で美少女の敵のもとへ!



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