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2人目の仲間。戦闘する

 翌日、朝食を食べてから俺達の装備品を整える為に武防具屋に行く。

 ドワーフが品を卸している店を選んで、ユリアとカリンを連れて入店すると、店員が直ぐに寄って来た。


「いらっしゃいませ、レオンハート様。本日はどの様なご要望で御座いましょう」


 流石に大店(おおだな)、俺の情報は手に入れているらしい。

 最近、金の動きが激しいからな。上客だと目を付けられたか?


「今日は買い物だ。俺達3人の装備を一式買いたい」


 腕にくっついているユリアとカリンを紹介し、武器と防具を頼む。


「武器は剣と杖を、防具は布製で魔法が掛かっている奴を頼む。強力な物から持って来てくれ」


 要望を伝えると別室に通され、接待を受ける。


「お兄ちゃん、あたし、こんな扱い受けたの初めてだよ」


 出された高い紅茶を恐る恐る飲んでいる。


「気にしなければ、どうと言う事は無いさ」

「ユリアは美味しい物があれば気になりません」

「あたしは凄く気になるよ!」


 従業員が10人くらいで武防具を持って来た。


「ご要望通り当店で強力な品から持って参りました。どうぞ、手に取ってご確認下さい」

「わあ、可愛いのがいっぱい有るよ!」

「ご主人様にはこれが似合うと思います!」


 2人共嬉しそうに手に取って広げる。

 俺は剣を取り、抜いて振ってみる。

 レベルのお陰か特に重くは感じない。

 ユリア達も魔法服を着たり、杖や剣を振ったりしている。


「どれも着心地が良いです!」

「寝間着にしたいね? お姉ちゃん!」


 一通り試して選んだのは、俺の剣が金剛鉄製の両手持ち出来るロングソードだ。

 魔力を込めると切れ味が増し、その魔力を斬撃として飛ばす事が出来る。


 防具が白と黒のロングコートだ。

 白いコートは魔法防御力が高く、暑さ寒さを和らげてくれる。

 黒いコートは隠密性が高く、自分の周囲1メートルの音を吸収してくれる。

 下級ドラゴンの皮が使われているらしく、物理防御力も高い。


 ユリアの杖は、先端部にムーンストーンが取り付けられ、魔法の威力を増幅する効果が有る。


 防具は、地面や大気から魔力を吸収して成長する、マジックツリーという木から採れた綿で作られた糸で編まれた白いローブだ。

 ローブの前が開いていて、服の上に羽織る様に着る。

 汚れに強く、魔力を帯びているのでナイフ程度では傷付かない。


 カリンの剣は魔導銀で作られたレイピアだ。

 頑丈で熟練者が使うと鉄を貫通する威力になるそうだ。


 お護り刃も買ってあげたら、貴族様みたい! と喜んでいた。


 防具はユリアと同じ材質で作られた、セーラー服をお洒落にした様な服だ。

 可愛いから選んだらしい。


 俺は新しい剣と以前バスタードソードを両方腰に差して、白いロングコートを羽織る。

 ユリアも2つの杖を腰に提げ、ローブを着込む。

 カリンの以前使っていた安物の剣は売り払った。

 全部で大金貨2枚と中金貨1枚、大銀貨7枚だった。



 魅了スキルで意外に安く済んで、気分良く店を出る。


「お兄ちゃん、昨日からお金を使い過ぎだよ~。お金大丈夫なの?」

「大丈夫じゃなかったら買えないだろ?」

「それもそっか! 良かった~」


 やはり素直な美少女は良い!誤魔化せるから!


 せっかくなので、服とパンツを買いに行く。

 女子用パンツを買いに行く!!

 俺の趣味でパンツを買いに行く!!

 嵐が来てもパンツを買いに行く!!

 とびきり可愛いパンツを買いまくる!!


「お兄ちゃん! 心で思ってることが洩れてるよ!」

「構うものか!! 大事な事だから5回言った! 未来永劫言い続けるぞ! 俺が死んでも遺書に遺すぞ! 歴史的活躍をして本に遺すまで戦い続けるぞ!!! 子々孫々家訓にしてでも俺のパンツへの情熱を伝え続けるてやるぞぉぉぉぉ!!!!」


 女子用パンツ以外どうでもいいわ!!


「エロキングだ!」

「いや! 俺達の気持ちを1つに纏めたからエロエンペラーだ!」

「皇帝の誕生だ!」

「俺達が恥ずかしくて言えない事を堂々と!」

「男の中の男だ!」

「いや! ただのスケベ男でしょ! 顔はタイプだけど」

「男ってこれだから……」

「あら、若い子が必死で可愛いじゃない?」


 観衆がグタグダ言うが煩い奴等だ!


「そんな事はどぉぉぉぉぉぉでもいい! 肯定も否定も俺には必要なぁぁぁぁぁい!!! 俺は大事な事は誰の意見も聞き入れるつもりは無いのだ!!! 黙ってろっ!!」


 怒鳴って観衆を黙らせる。


「敢えて宣言しよう! 世界中の美少女は俺が貰う!!!」


 ん?ユリアとカリンが近くに居ないな。

 少し離れて見てる。


「おいおい、他人の振りをするなよ」


 群衆を掻き分けて2人の所に向かう。


「ご主人様メッ! 一緒に歩いている女の子に恥を掻かせたらダメです!」

「可愛い下着は欲しいけど、人前で話すのは恥ずかしいよ……」

「はっはっは、悪いな。パンツの話になると夢中になってな」


 2人が恥ずかしがるので、この場所から足早に立ち去る。

 服屋で可愛い服と下着を買う。ブラジャーを選ぶカリンを羨ましそうに見るユリアが切ない。

 ユリアのぺったんこは可愛いのに。

 選んだ下着は1枚1枚しっかりチェックするのは当然だ。

 恥ずかしそうに、頬を染めて見せてくれるのが萌えなんだと確信している。

 パンツはエロい!! 裸よりエロい!! 小さなパンツを女の子が穿くと、お尻の形に沿ってピチピチになる。

 フワフワした布地に、やわらかな女の子のお尻の感触が合わさって最高の触感になる。

 動く度に(よじ)れて(しわ)が出来るのも生々しくてエロい!

 女の子が何故(なにゆえ)に可愛いパンツを穿くのか?

 大事な所を隠す為か? ……違う!! 穿くとよりエロく可愛くなるからだ!

 隠すだけならデザインなど関係ない! 女の子をより魅力的にするから、あのデザインなのだ!

 性急にパンツを脱がす男は男じゃない!! 男は女の子の見えないお洒落を(ないがし)ろにしては駄目なのだ!


「お兄ちゃん、いっぱい買ってくれてありがとう!」


 買った物をカリンにあげたアイテムボックスに入れながら、お礼を言ってきた。


「気にするな。俺がお前に可愛いパンツを穿かせたかっただけだ!」

「パンツじゃなくって! も~、パンツの話題は人前でしないでよ!」


 パンツの話題は俺の情熱なので無理だな。

 満足な買い物が出来たので、街の外に出て戦闘訓練の為に敵と戦う。

 ユリアの精霊魔法で索敵し、レベルが高い敵は俺がレベルを調整する。


「えいっ!」

「プギャアア!」


 変身後のレベルのお陰か装備のお陰か、オークの身体にレイピアが深々と突き刺さる。

 しかし刺す場所が悪いので致命傷にはならずに、暴れている。

 振り回す腕を、俺が切り落としてカリンへの攻撃を防ぐ。


「お兄ちゃん、ありがとう! ……怖かったよ~」


 レイピアを抜いて、俺の所に走ってくる。


「カリン、心臓とか急所や、手足とかの動きに支障の出る場所を狙え。そして刺したら直ぐに離れろ」


 レイピアは鎧の隙間を狙ったり、急所を一突きするのが基本だ。

 殺傷力が低いので、急所以外を狙うならヒット&アウェイで戦った方が良い。


 腕を失い、転げ回るオークの首を切り落として殺す。

 ユリアが妖精魔法で羽交い締めにしていたオークを1匹解放して貰い、手本を見せる。


 オークの腕を掻い(くぐ)り、右肩に突き刺さすと直ぐにバックステップで離れる。

 突進してきたオークの右側を抜き、背後から右足を貫く。

 バランスを崩して俺の方に倒れてきたオークを、1歩下がって躱す。

 首に刃を突き立て、止めを刺した。


「お兄ちゃん、かっこよかったよ!」

「ゴブリンキングを倒してから、凄く強くなりました!」


 毎日練習していた甲斐があった。

 剣術の指南書も役に立つな。

 もっといろんな本を買ってみよう。


 カリンの訓練は続く。突き刺さして離れるを繰り返し、オークを確実に追い詰め、命を奪っていく。

 身のこなしも軽やかなのは、踊りをしているからだろう。

 馴れてくると2連撃を繰り出せる様になり、より短時間でオークを倒せる様になっていった。


 それからもカリンの練習に1匹ずつオークと戦い、様になる頃にはカリンのレベルも14まで上がり、剣術スキルも2になった。


 ユリアとカリンが手を取り合って喜んでいると、森中(もりじゅう)から鳥が飛び立ち、小動物どころか大型の動物、果ては魔物までが逃げていく。


「ご主人様、凄い魔力を感じます!」

「お兄ちゃん、怖いよ!」


 怯えて抱き付いてくる2人を背中に隠し、空間魔法で街の近くに空間を繋げた。


「俺はここに残って確認する。お前達は街に戻って衛兵に報告しろ。ヤバくなったら逃げるから心配は要らない」


 有無を言わせず2人を穴に放り込んだ。


 こんな奴が居るなんて、放置は得策じゃない。倒せなくても、情報を手に入れなければ安心出来ない。

 隠れても無駄だろう。隠密系のスキルは持ってない。震えてくる身体を無理矢理動かして剣を構える。


 数秒後、空中に人が現れた。空を飛んでいる。

 浮かんだままのソイツは、何かを探しているらしく、こちらを気にも留めていない。



 レベル162 パーヴェル


 HP3264/3264  MP8116/8344


 身体系スキル

 鎌術(極) 体術(4)


 魔法系スキル

 魔力操作 火炎魔法(5) 氷魔法(5)

 風魔法(4) 土魔法(4) 闇魔法(極)

 飛翔魔法(極)



 化け物だ。

 その男は銀の髪、蒼白い肌。冷徹な目で俺を見下ろしている。


「そこの人間、この辺りに遺跡か迷宮は在るか?」


 地上に降り立ち、傲慢な態度で俺に訊いてくる。


「…………さあな。知らない」


 冷や汗が背筋を(くすぐ)る。

 喉が渇き、それだけ答えるのがやっとだった。


「ふん。下等な人間に訊いても無駄だったな。私とした事が封印されている間に耄碌(もうろく)したな」


 興味を失った様な冷めた目で一瞥した後、再び空へと舞い上がり、こちらに手を向けると俺の身体を竜巻が切り刻んでいった。


「ぐあああああっ!」


 咄嗟にマジックイーターを使うが、俺の全魔力より奴の魔法に込められた魔力の方が強く、吸収しきれずに身体がズタズタになっていった。

 奴は確認すらせずに、どこかへ飛んで行く。

 竜巻が治まる頃には、俺は瀕死に近いダメージを食らってしまった。


 すぐに回復ポーションを使い、動けるくらいには傷が治った。


「この新しい防具がなければ死んでたかもな」


 ボロボロになった白いコートを見て呟く。


「クソッ! クソッ! クソッ! 許さんぞ! この俺を見下した奴は絶対に殺す!!!」


 俺はもう親の暴力に怯えていた頃とは違う!!

 震えて動けないなんて! 情けない!!!

 レベルイーターすら使う余裕がなかった。


「奴が誰でも絶対に殺す! 俺は誰にも屈しない!!」


 俺を怯えさせた奴を生かしておく訳にはいかない。

 俺のこれからの人生の為にも、恐怖を乗り越えて必ず奴を倒す!


「覚えていろ! パーヴェル! 俺を殺し損ねた事を後悔させてやる!!!」


 風の音すら聴こえない森に、俺の慟哭が響いた。

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