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10話 名家の母と娘

これにて一章完結となります。

にも拘らず今だに新しい書き方を試してるやつがいるらしいですよ。

ヤバイですね。





 皆の説得が終わった日の夜、リビングで家族会議が行われていた。




「くっ! 仕方ないわ。ゆーちゃんの入学を認めましょう」


「わーい」


「優希、何かあったらすぐに言うのよ」


「はーい」


「むぅぅぅぅ」


「よしよし」


「……では、学校と住居を決めましょうか」




 ――数日後




「優希様」


「なに?」


「新しい住居に関して、少々問題が」


「問題?」


「はい。国が土地を購入しようとしたところ、所有者に断られました」


「Sランクの男なのに?」


「そこが問題というか、その……条件があると」


「あっ」(察し)


「はい。お察しの通り、土地が欲しければ娘に種を寄越せと……いかがいたしましょうか」


「別にいいんじゃない?」


「はぁ、優希様ならそう言うと思いました」


「あっ。でも一応、顔は見ときたいかも」


「こちらの書類をどうぞ」


「相変わらず有能だねー。よしよし」


「当然の事です」(♪)




 冷の頭を撫でながら、貰った書類を机に並べてチェックする。


 全身写真は勿論、身長や体重やスリーサイズ、果てには趣味や今までの人生まで全て記載されていた。どうやらお相手は、名家の一つである夜崎家(知らない)の人間らしい。


 条件を言ってきた当主である母親の満子さんは、黒い髪を腰くらいまで伸ばしたお淑やかな体型の厳しそうな和服美人の未亡人で、娘の美香さんは母親を若くした優しそうな大和撫子といった感じだった。




「どうでしょうか」


「全然オッケー。いつでもいいよ」


「では、アポイントメントを取り付けておきますね」




ーーーー




 今日は夜崎家にとって、数百年の歴史上最も重要な日になると言えるでしょう。なにせ、あのSランクに選ばれた男性様の種を手に入れる事が出来るのかもしれないのですから。


 使用人には普段よりも徹底した掃除を命令し、自分と娘には一億越えの着物を用意した。後は、私の言動次第。




「覚悟はよいですね? 美香」


「はい、お母様」


「当主様、相藤優希様が参られました」


「ご苦労」




 部下から連絡を受け、当主である私が直接門まで迎えに行く。案内は余計な時間を浪費させない様速足でしかし優雅に廊下を進み、応接間の襖を丁寧に開け自分はその場で待機する。


 彼が部屋に入り座布団に座るのを確認してから私と美香も部屋に入り、私は向かいにその隣に美香を座らせる。


 私達は数秒、深々と頭を下げ……口を開く。




「本日はお日柄もよく、相藤優希様と関われた事を幸運に思い――」


「そーゆーのいいから」


(予想通りではありますが、存外ストレートですね。傲慢なタイプには見えませんが……さすがはSランク、といったところでしょうか)


「かしこまりました。今回のお話ですが、相藤優希様の種と、あの土地を交換していただきたく存じます」


「いいよ」


(ふぅ……最大の難関は、突破出来ましたね)


「ありがとうございます。こちらの美香ですが、白鳳に通える程度には弁えておりますので、決して不快な思いはさせないと誓います」


「よろしくお願いいたします。相藤様」


「よろしく。で、いつするの?」


(……乗り気に見えるのは気のせいでしょうか?)


「いつでも構いませんよ。いくらでも調整は利きますので」


「ふ~ん、じゃあ一回でいいんだ」


「えっと……それは当たり前では?」


「え?」


「え?」




 彼が首を傾げると、美香も首を傾げる。どうやら、Sランクの種には何億もの価値がある事を知らなかったらしい。




「へ~」


「あの、つかぬ事をお伺いしますが」


「うん」


「相藤様は、わたしが妊娠するまで種を授けてくれるおつもりだったのですか?」


「そうだよ? 美香さん可愛いし」


「へ!? あ、ありがとうございます」




 彼は優しい性格らしく、美香と普通に会話を行う。それを横目に、私は保護官様と契約を交わしていく。


 これで夜崎家が一歩抜きん出た。そう安堵していると、会話は思いもよらぬ方向へと転がっていった。




「ところで、美香さんは婚約者とかいるの?」


「おりません。もちろん、そういった経験もございませんのでご安心ください」


「へ~……じゃあ、僕が貰っちゃおうかな?」


「え」


「四千万で婚約してあげる。どう?」


「「安すぎます」」




 私達は同時に口をついた。




「相藤優希様と婚約するのであれば、最低でもその十倍は必要かと」


「お母様の言う通りです。相藤様は自分の価値を正しく認識するべきです」


「大丈夫。足りない分は、お望み通りお義母さんに払ってもらうから」


「はい?」


「……不束者ですが、よろしくお願いいたします。優希様」




 相藤優希様が自身の母親に指輪を渡したという情報は入っていた。故に、家の為に身を捧げられればと思っていたがそれは過去の話。


 玄関で一目惚れし、実際に話してその器量にも惚れた。娘ではなく私を孕ませてほしかった。


 そして、その願いは叶った。今後私は、優希様の奴隷として……。




「ちょちょちょ、ちょっとお待ちください相藤様? お母様は既に操をですね?」


「結婚するんだし、僕の事は旦那様って呼んで欲しいな?」


「へ? はい……ではなく!」


「あはは、手見てみ?」


「手?」




 優希様にそう言われ、美香が私の手をジッと見つめる。


 今の社会で、暴力を振るわない内気な男と結婚出来たのは幸運だったのだろう。しかし、私は虐められるのが好きな人間なので正直不満があった。


 さらに言えば、夫は早くに病死。年齢的にも家柄的にも再婚は難しく……私は欲求不満な日々に苛まれていた。




「別に何も……お母様? いつも付けてる指輪、何処にいったのですか?」


「……あなたのような勘のいい娘は嫌いではありませんよ」


「もう! ふざけないでください!」


「笑」




ーーーー




 わたしがお母様に説教をしていると、相藤様が間に入り仲裁される。




「まぁまぁ美香さん。落ち着いて」


「で、ですが、相藤様……」


「旦那様、ね?」


「あっ、申し訳ありません……旦那様」


「うんうん、よく出来ました」


「ふあ」




 至近距離で名前を呼ばれながら頭を撫でられたわたしは、一瞬で毒気を抜かれ大人しく座らされる。


 そのまま旦那様に甘えていると




「優希様……私がいる事を、お忘れですか?」


「もちろん覚えてるよ。満子さん」


「むっ」




 お母様が反対側から撓垂れ掛り、なでなでが盗られてしまう。邪魔をされた不快感を一切隠さず睨みつけるが、お母様はどこ吹く風で頬ずりまでし始めた。


 それだけに飽き足らず、服の上から胸を撫でわたしより先に唇を奪おうとする。




「ごめんね満子さん。そーゆーのは美香さんが先だから」




 しかし、旦那様にピシャリと拒否されお母様は素直に離れた。かと思えば、わたしの背後に回り身体を弄る。




「んん!? お母様!?」


「あなたが満足すれば、次は私でしょう?」


「お、大人げないと思わないのですか!?」




 実の母親に触られても嬉しくない……なのに、わたしの身体は段々と熱を帯びてしまう。




「み、見ないでください。旦那様……」


「ふふ。綺麗だよ、美香さん」


「ダメです、そんなこと言われたら……あっ!?」




 見られた。旦那様にはしたない姿を、バッチリと見られた。




「美香さん、顔上げて?」


「は、はい」




 脱力した身体を何とか動かし、旦那様の方を見ると既に準備万端のソレが目の前に突き付けられる。




「美香さんを見てたら、こんなになっちゃった」


「わたしの……身体で?」


「うん。責任、取ってくれる?」


「ゴクリ……も、もちろんです」




夜空 星 (夜に咲く花) 満月

夜崎 満子 (よざき みつこ)

夜崎家の現当主であり未亡人。

被虐体質なので優しい夫に不満があり欲求不満だったが今は解消された。


三日月

美香 (みか)

ザ・大和撫子。

白鳳に通えるくらいには真面目で清楚だが最近はツッコミキャラ。

花嫁修業を頑張っている。


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