《法壊》
アゼル大陸南部ここには、10年は程前まで小国が存在していた。その国は魔物に滅ぼされたわけではない。国自体は小さいが、弱くはない。では、なぜ滅んだのか?
答えは1人の現人神によって3日で滅んだ。
その現人神は《法壊》のエイデン•イザヤ。
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「さて、もう少しかな」
今年で73歳となるエイデン。しかし、その姿はどう見ても、20前半と至った所だろう。金色の髪は艶があり、
肉体はしっかりと鍛えられている。老いとはほど遠い姿をしている。
《法壊》の権能の力である。この権能については本人すら、よく分かっていない。50年前に発現し、肉体が老化しなくなったのだ。
「後はあそこだけか」
エイデンが見据える先には避難所があった。迷彩カラーで森の中に上手く隠れていたが、ようやく見つけたのだ。
浮いている瓦礫から飛び降りる。高さーーおおよそ200メートルから。
普通は死ぬ。だが、エイデンからすれば大したことはない。重力に従い自由落下をしている最中に、拳を地上へ向けて構える。着地まで数秒というところで拳を放つ。
「破ッ!」
空を殴っただけーーーそれだけでいいのだ。エイデンを捕らえていた重力がなくなるのだから。地面まで数十センチというところで、エイデンの周りは無重力状態となる。
「破ッ!」
もう一度拳を放つ。すると、元の状態へと戻る。
「ん? 歓迎か?」
何事もなかったように着地をし、目的地の方へと視線を向ける
避難所の方から、武器を持った魔法士たちが7人やって来る。内6人は大した事がない雑魚。だが、1番後ろから杖をつきながら来る老人は違った。肉体は衰えたのだろうがまとう魔力。そして、強い意志を感じられる目。
「ほう」
エイデンは不敵な笑みを浮かべ、腕を組む。余裕の態度。自分の力に絶対の自信を持つが故である。
「儂の娘はお前に殺された。 なぜ、そんなことをする?」
「んなもん、楽しいからだろうが。 分かるだろ、そんぐらいよ」
悪びれることもなく、平然と応えるエイデン。そんな、エイデンに他の魔法士たちが殺気立つ。
「……そうか。 お前とは相容れないことが分かった」
「あっ、そう」
老人が杖をエイデンに向ける。同時に6人の魔法士が各々の武器で自分の心臓に貫く。
「お前の死は無駄にはせんッ! 必ずや、この悪鬼を地獄の底へ落として見せるッ!」
禁呪《カース•ルーラ》発動したら、周囲に術者の命で作られた呪詛、すなわち毒で攻撃する魔法だ。捧げられた命の数で効果、範囲が変わる。
魔法士6人の命だ。1人殺すなど容易い。
相手が現人神ではなければ、だか。
「斬ッ!」
エイデンは迫る紫煙を手刀で断つ。
「ーーーな」
左右の景色がズレる。老人は自分が斬られたことを理解する前に絶命した。
「よーし、お楽しみの時間だな。 いい女いるといいが」
エイデンは下衆な表情で楽しそうに言う。老人の遺体を踏み躙りながら……。
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「あー、クソぅ。 ババァしかいなかったじゃねぇかよ」
エイデンは避難所の食料を持ち帰り、1人寂しく齧っていた。
「もう、あらかた殺したしなぁ。 次はどこ行くか」
エイデンは目の前の光景を肴に缶ビールを飲む。
宙を漂うビルだったものや、装甲列車、瓦礫の山がたくさん。
ここは、無法地帯無法地帯。《法壊》の現人神により、滅んだ国の亡骸。




