デートみたいだな
――昼食後
今日のオススメは羊肉のスープだったんで、俺はそれを注文した。
……セーフ。
ハラも膨れたんで、俺達はとりあえず劇場の方へと向かうコトにした。あの連中はもうどっかに行ってるだろうしね。
二人で観劇なんて、デートみたいだな。へへっ……。wktkが止まらん。
と、何やら後方が騒がしい。
「……ん? 何だ? って、うおっ!?」
馬に乗った男が、こっちに向かってくる。かなりのスピードだ。
俺達は慌てて道を開けた。
にしても、こんな街中であんなスピード出すなよ、あのDQN。
って、あの騎士団じゃねーか! ホントにロクなコトしねーな。
「何かあったのかしら? 血相変えて……」
「ワカラン。だが……おそらく行く先は、アルタワールだろうな。フィルズ・ロスタミ絡みかねェ」
ヤツの逃亡先がわかったんかな? とりあえず、あの連中の動向に注意して置いた方が良さそーだ。
できれば神殿関係者に知り合いが欲しいトコロだがな。
エスリーンに問うてみるが、さすがにいないそうだ。
ふ〜む。
あと頼れるとすれば、金の鸚鵡亭の店主の師匠か? 学院で教えてるってハナシだしな。学院にも神学関連の授業もあるらしいんで、そのツテで神殿関係者とコンタクト取れんかな?
無論、信頼できる人物であるのが大前提だが……
まぁ、その辺のコトはとりあえず置いといて、俺達は劇場へ入ることにした。
――約二時間後
劇を見終え、劇場の外に出る。
劇のあらすじは、よくあるコンピューターRPG的なモノだった。
旅の青年が女神の信託を受けてヒロインと出会い、旅する。そして、ライバルとの戦い。そしてライバルを操っていた邪神との決戦に望み、そして勝利。最後はヒロインと結ばれるが、主人公はさらなる修行のため、神界へと旅立つという内容だった。
騎士団に関しては、それほど悪役的に描かれてはいなかったな。
ヒロインは当初騎士団に属していたという設定だし。ただ、騎士団の顧問なる魔導師が暗躍してたケド。ヒロインの叔父を怪物に仕立て上げたりとか。
ン? 騎士団、怪物……まさか、ねぇ?
で、途中でライバル的存在である魔族が現れ、ヒロインをさらう。そして因縁の場所での決闘。勝利したものの、魔族を操っていた邪神が姿を現し、ヒロインに眠りの呪文をかけた、と。
邪神にしちゃやるコトがショボいんだよな〜。『自分はこの世界の真の創造主だ』とか言ってたワリにはさ。運命を操る“力”を持ってるんだから、もっとハデにやれよ、と。
最終決戦はライバルとともに地下世界へ乗り込み、決戦。当初主人公達は苦戦するものの、女神の加護を得て復活したヒロインの助力で、見事邪神を討ち果たす、と。
で、邪神はいまわの際に主人公に呪いをかけて相打ちに持ち込むが、主人公はヒロインの愛を得て復活、と。
最終決戦の際、かつて邪神は魔王を操って戦乱を引き起こし、人々の死に際の悲嘆や苦痛を己の力としてきたと語られていた。魔王戦役なんかもその一つなのかねぇ? まぁ、フィクションかもしれんケドさ。
この辺のことは、あの占い師にでも聞いてみるといいかもな。
いや……フィクションの可能性もあるし、止めとくか。機嫌損ねちまったかもしれんからな〜。
さて、と。
今は多分、四時過ぎぐらいか。
おそらくは学院の授業も終わった頃だし、行ってみるか。
――学院
その門からは、生徒と思しき人たちが、ぞろぞろと出てくるのが見える。
ちょうど授業が終わったんかな?
にしても、年齢がまちまちだ。
十代と思しき人もいれば、中年もいる。
年齢別の教育を行うってワケじゃないんだな。アメリカの大学みたいな感じか。
とりあえず門の衛兵に、来校の目的を告げる。そして、“金の鸚鵡亭”主人――シャーリアというらしい――からの手紙を見せる。
と、しばらくして五十代半ばの、痩身の男が現れる。シャーリアの元師匠か? ハリムつったっけ?
「私がシャーリアの師、ハリムです。どんな要件でしょうか?」
穏やかな口調だ。
「ええ、実は……」
俺はこれまでの経緯をかいつまんで話した。
「ほう……貴女がラスディンの娘さんか。話には聞いていたが……」
「はい。エスリーンと申します」
「あいつの娘が私の元弟子の所で世話になっているとはね……」
「あの……父とは?」
「彼は私の兄弟子ですよ。時折こっちにきた時に、一緒に飲んだものですが……あんな事になっていたとは」
ハリムは目を伏せた。
「塔が火事になったとは聞いていましたが、当初はラスディンや弟子達も無事との話でした。が……連絡が途絶えたのでおかしいと思い、ティフレス村へと向かったのです」
「……村へ?」
「はい。しかし、塔へと近づく事は出来ませんでした。アルセス聖堂騎士団がやって来て、塔への道を封鎖していたのです。念の為に村長に確認したのですが……火事の直後に村人が塔へと向かった所“結界”が張ってあり、接近することができなかったそうです。窓越しに、人影は見えた様ですが……」
「なるほど。そういえば俺達は塔へ入る事が出来たのは……」
「おそらくエスリーンさんがいた為でしょうね。もしかしたら、任意で結界を解除したのかもしれない」
「ふ〜む、そうでしょうね。おそらく……。ところで、“火事”と言われてましたが、塔にはそんな痕跡が見当たりませんでした」
「ふむ……おそらくは、転移魔法の光を誤認したのかもしれませんね」
「なるほど……」
その後、幾らかの情報交換を行う。ハリムは、まだ用事があるそうなので、とりあえず今日はここで別れた。
また会う機会も十分あるしな。
……さて。そろそろ宿に帰ろう。
今日はフツーの料理がいーな。




