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「ここが、魔石採掘場……ですかね?」
坑道を進んだ先、線路が途切れたと同時に淡く光る空間へと辿り着く。
「行き止まり、だな」
アイリスの言葉にカーラも辺りを見回して言う。
「皇国の目的はこの魔石ですか……まだ資源は多い。今もひっそり採掘を続けていた、と考えるのが自然ですね」
グラフカはそっと壁に手を触れる。魔力に反応して僅かに輝きが増していた。
「女神の魔石がここに眠っていると信じられているのか、はたまたあの怪しい実験室で魔石の融合なんかをしてたのか。宗教ってのはわかんねーな」
ラディも壁に触れる。僅かな輝きでの反応はあるが、そこまでだった。
「きれいですね。さっきまでと違って魔石同士が共鳴してるみたいでキラキラしてます」
アイリスは壁に手を触れ、反応があるたび嬉しそうに笑っていた。
「ちょっと魔力流してみてもいいか?」
ラディが言うとグラフカは「どうぞ」と頷く。アイリスもカーラも黙って頷いた。
「よし、じゃあやるか」
ラディは採掘場の中央に立つと目を閉じ魔力を練り上げる。そのまま魔力を床伝いに無数の魔石へと流すと一斉に輝き出す。
「わぁ!きれい……」
「これは見事だな」
「魔力への反応が石によって異なりますね。色が違う」
輝く魔石に三人がそれぞれ目を奪われているとラディも頷く。
「虹の雫って呼ばれてそうな光景だよな」
七色に強く光る魔石たち。
そのうちアイリスがフラフラとラディへと近づいていく。
「アイリス?どうかしたか?」
「……虹の雫、見届けて……。探し物が……」
「なんだって?」
ぶつぶつと呟くアイリスにラディは再度問いかけるが反応はない。そのまま中央まで進むアイリスにラディは気圧されじりじりと下がっていく。
「……っ!ラディ!彼女から離れてください!!」
グラフカが叫び咄嗟にラディは反応して床を強く蹴る。グラフカが同時に剣を抜いたのを見てカーラも弓を構え、ティーグリが唸る。
「なんだ……これ……」
魔力はもう流していないのに、魔石が七色に光り輝き続ける。
「アイリス嬢は味方ではありません!あれは、人ならざるものです」
「……どういう意味だ?」
カーラはグラフカの言葉に首を傾げる。ラディも戸惑っているまま。
「……すみませんわかりません。きちんと説明ができないのですが、アイリスは人類の敵であるのは確かです」
「意味不明だけどな!?」
グラフカの要領を得ない説明にラディとカーラは戸惑うばかり。私はアイリスとして全てを把握し、今ここに立っている。
「グラフカさんすごいです!まさか自力で魂の記憶を呼び覚ますことができるなんて。今までで初めてのことですよ」
「何を……言っている?」
グラフカはこちらにまっすぐ剣を構えているがまだ動かない。
「ラディさんも、やっぱり虹の雫を追い求めてしまうんですね。想定通りです。カーラさんも概ね想定通りです。グラフカさんとラディさんだけだと私が仲間に入れてもらえないと思ったんですよ」
説明しているのに、三人は何もわかっていない。それも仕方ないことかもしれないが、ここまで信頼し合って背中を預けて戦ってきたから少し残念だ。
「どういう意味だ!?オレが虹の雫を求めるとなぜわかる!?」
ラディの魔力に反応して虹の雫が発動している。カタマヴロス皇国もカターラ教も関係なく、ただ私がお気に入りたちを集めたらどうなるのか知りたかっただけ。一緒に冒険できて満足した。
「魂に記憶は刻まれていきますから。グラフカさんみたいに、また思い出せたらいいですね」
輝く光の中、三人と一匹が抵抗もできずにそのまま飲み込まれていく。
光が収束し静寂が訪れた。もう魔石はただ淡く光るだけ。
「おもしろかった!」
お気に入りたちと一緒に冒険できるようにわざわざ自身の記憶の封印まで行ったのだ。新たな発見もできて、今回の旅には大満足だった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
イスキオス鉱山編はこれで完結です。




