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弱小氏族の次男坊に転生したら『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送り全然スローライフ出来ません  作者: くろすーおーばー
幼少期編

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幼少期1:大好きな国?に転生しました?

あまり観たことのない世界観を考えて中世スコットランドをモデルにしたファンタジーを目指して書き始めました。作者は『ハイ◯ンダー』『ブ◯イブ◯ート』が好き程度のにわかなのでお勉強しながら書いています。

一話の平均は5000~6000文字程度、更新は基本火曜と金曜、投稿時間は8時を予定しています。

※たまにストックがノルマを超えたら追加投稿する事も有ります

甲高いミソサザイの鳴き声が意識を覚醒させた

「ここどこ?」

気がついたら深い森の中だった


ここが外国だってのは解ってるスコットランド留学中だからな、憧れの国に来て東西南北色んな所に行きまくったおかげで観光名所からそうではない場所まで所詮は外国人レベルだが詳しい


だけどここは一度も来たこと無い場所だってのは判る、山や森には一人で行かないようにしてたから


「いつっ!わけわかんねぇ…スマホ、スマホで場所だけでも確認しないと」


木かなにかに寄りかかってるのだろう正面の木々だけは見れるがスマホを探す腕はおろか首さえ動かない

「まいった…」


声が出てるのかすら解らない


正面の木々を見つめるしか出来ない

「あの花はスモール・カウ?…でもあれは」

危惧種の花の様に見える、それに似た花はあるがそれはこんな薄暗い森の中では自生してないはず…


ってことはハイランド(北部高地)に居るのか?


パキリパキリと枝を踏み折る音が耳に入る


「誰か居るの?助けて欲しいんだけど」

しまった…獣だったら、でもこの国には狼も熊ももう居ないんだった居るとしたらアカシカくらいなのだから…


熊だった


「嘘でしょ!!」


どっしりとした巨躯スコットランドでは何世紀も前に絶滅したはずの存在、真っ黒な瞳がこちらを向く、動きを止めじっと覗き込むその瞳からは何も感じられない


代わりに息遣いが荒くなった、ゆっくりと歩みを進める熊


終わった

「もう少しで帰国だったのに…」

辞世の言葉がこれかよ、情けなくて泣きたくなる


「レテウスゥーーー!!」


視界に青年?が飛び込んで来たレテウスって誰?それに手には槍とも斧とも言えそうな武器を構えてる


熊が彼に振り返り巨体が立ち上がる


誰と勘違いしているのか解らないけど助けに来てくれたのに死んで欲しくない


「兄上逃げて…」

あれ?兄上?兄上なんで?


「大丈夫だスウェーデ、弟を頼む」

「はっ!」


スウェーデと呼ばれた男に()()()と抱き上げられた

え?俺成人男性よ

あなたムキムキマッチョの変態野郎ですか?電話ボックスも軽々行けるんですか?ってくらい簡単に

彼の胸にすぽっとジャストフィット


いやこれは俺の身体がおかしい、だって相手は見た感じ俺と同じ二十代くらいの青年なのだ胸にすっぽりはどう考えてもおかしい


もしかしなくても俺縮んでる?なんで?


頭の中ははてなマークで一杯で何一つ理解が追いつかない


そして兄上と呼んだ青年…いやよく見れば少年に近い体躯をしている、熊との体格差は歴然、しかし彼の斧の刃に白い光の膜が現れ一振りで立ち上がった熊の後ろ足を切り飛ばすと同時に回転させた斧の柄でもう一方の足を払う


有りえない一瞬すぎて言葉も出ない


仰向けに倒れた熊の首めがけてもう一撃、熊は断末魔を上げる間もなく息絶えた


人が銃も使わずにたった数回の攻撃で熊を仕留めるなんて…


「兄上…」

だからなんで兄上?俺にはブロンドヘアーの兄弟どころかそもそも兄弟なんて居ないのに


そんな事を考えたが脱力した身体はそのまま意識を奪った




(Tha)アントゥム(an t-àm)アウン(ann)ドゥーシュカ(dùsgadh,)(a)ヴァシュチャ(Mhaighstir)オーイック(Òig).」

(若様、お目覚めの時間です。)


レイク(Leig) ヴォーム(dhomh) カダル(cadal) ベーカン(beagan) ナス(nas) ハイヂャ、( fhaide,)マス(mas) ( e ) (do) ホイル(thoil) (e.)

(もう少し寝かせてください。)


ああ~変な夢見た、寮母さんも俺の専攻に合わせて朝の挨拶して…いや寮母さん来たこと有ったっけ?


目を開けても真っ暗、僅かな穴から光が入っているだけ、壁に触れてみても木製の板に囲まれていて周りの様子は解らない、押し入れの中にでも入れられてるような感覚だ


「昨日は大変でございましたね」

相変わらず寮母?はこの国でも使用者の少なくなった言語で話しかける


「まだ夢の中なのか?」

まあ良いか暗闇の中壁を手探りで出口を探す、光が差し込む壁に引っ掛かりがあるどうやら引き戸のようだ


ガラガラと引き戸を開けてみても薄暗いが女性の顔は確認できた


うん、寮母さんじゃない歴史物の映画やドラマでしか見ない服装だ


思い出してみれば兄上と呼んだ人もキルトを着ていた、現代でも着る人はいるが普通に考えればお祭りやフォーマルな場が多い


壁には厚手のタペストリー、これも判る寒さ対策だ学んだもののお陰でなんとなく知りたくない事実が見えてきてしまう


「レテウス坊っちゃんどうしました?」


「なんでもない」

たしか彼女の名前は…

「ベルテ…」

「なんです坊っちゃん」

記憶はないのに何故判るのか自分でも不思議に思う、でもそれよりも確かめたいことが有った

「鏡見たい」

「はい…」

今何か戸惑わなかったか?


やたらと低い視点に小さくて短い手足


「お持ちしましたよ」

そう言って手鏡を渡すベルテの顔色は悪い、覚悟を決めて鏡を覗き込む


やっぱり…なんとなくそんな気はしていた


鏡に写っているのは自分とは似ても似つかない白人の子供で髪は真っ黒、いや一房だけ白髪になっている


服も一見するとドレスにしか見えない、これは学んだ知識で言えば排便を覚えるまで着させられる服


知識がなかったら恥ずかしくて脱いでしまっていたかもしれない、知識があっても恥ずかしいことには変わりないが…


「ベルテ、僕何歳?」

ベルテは驚き顔が益々青ざめる、なんだろうなにか聞き方が悪かったのだろうか?歳を聞いただけなのに


「き、昨日…三歳になられました、覚えておられませんか?」

あ…誕生日翌日に年齢忘れてるのはたしかに不自然過ぎる


「ごめん、昨日の記憶が無いの教えて」

「おいたわしや…」

そこまで悲しまれるようなことなのか?


「坊っちゃんは昨日は三歳の祝いで兄上でいらっしゃるアンガス様と外へお出かけになられたのです」

ベルテが言うには兄と初めて森に散策に行きはぐれたんだそうな、そう言われても森で目が覚める前の記憶はまったく思い出せなかった


「そうだ、兄上、兄上は?」

「坊っちゃんを見失ったことで今お叱りを受けているところでございます」


理不尽


兄上が来てくれなかったら死んでたんだから褒められこそすれ怒られるのは違う気がする

でもそれは自分の中にある現代の感覚だ


恐らくだけど()()は部屋を見る限り11~15世紀の中世、まさか留学先でタイムスリップいいや別人になっている事を考えれば過去に転生したとでも言うべきか


あまり詳しくはないが転生物は何冊か留学前に友人から貸してもらって読んだ記憶はある、確かにロマンはあるが心のどこかでこれはこの時代の技術では出来ないみたいなリアル知識が邪魔をしてそこまでのめり込むことはなかった


技術もそうだがそれ以上に感覚や常識というものが違うだろう、未来の知識が有っても受け入れてくれるかどうかは別の話なのだと俺は思っている


「坊ちゃま…旦那様のお許しが出るまでは今しばらくは部屋から出ずにお過ごしください」

ベルテの様子を見るに昨日の一件から大事になっているのだと嫌でも判ってしまう、だけど助けに来てくれた兄が罰せられるのを黙って見過ごしたくない


「うんわかった」

すぐにアイデアは湧かない、ひとまず言うことを聞いておいて考えよう


「ではお食事をお持ちしますね」

俺の着替えを終えたベルテが部屋を出て行く


まず考えたのは部屋の外の構造が判るかどうか、こっそりと扉の外を覗こうとしたが身長が足りない


ベルテ用と思しき椅子を引きずってドアの取手に手をかける


見るだけ見るだけならセーフだから、言っていて自分でも何がセーフなのか解らないがどうやら精神が身体に引っ張られているのか思考が子供っぽくなってる気がしないでもない


廊下の様子は誰も居ないのでじっくりと見る


お城も再建されて無い場所へ行くときはいつも昔はどうだったのか妄想してしまうくらい好きなのだから仕方がない、梁・床・筋交いを除けばやはり石造り


今よりも寒かった時代が有った事を考えるとよくこれで凍死しなかった…いや普通に凍死者が出てたわ


城も様々だが定説では後で使うためにできるだけ壊さないという話も聞くがあの時代の戦争は()()が武力と権力の誇示のためか大砲でボッカンボッカンされて城壁が僅かに残ってるだけみたいな城跡も少なくない事を考えればガチの当時のお城を見ていると思うと心が踊る


SNSで御城の再現モックアップを投稿している人もいたしこの高揚感は俺以外の人にも判るはず


床材は~おおぉ!立派なオーク材!!


自分専用にお付きの人が居て・兄にも部下?が居て・住んでいる所は恐らくタワーハウス(要塞)とくれば結構良いとこのお坊ちゃんに転生したのでは?


だがあのベッドを見るに貴族ではなく氏族、ざっくりいうと日本における武将クラスかもしれない、なぜならば氏族は主に高地の厳しい環境に住んでいたからだ、何だっけあのベッド


資料で見た物と同じならばボックスベッドと言うんだっけか


防寒とプライバシーが守られる最先端(当時)ベッド、まあぶっちゃけ現代ならカプセルホテルに近い


再現ではなく本物に触れている所為か自分のこの姿を見られていたのなら、さぞかし危ない子供に見えていただろう


「貴方が問題ないと言うから任せたのですよ、それなのに!」

激しく誰かを叱咤する声が廊下まで聴こえてくる


少し廊下を見るだけのはずがいつの間にか()()の部屋の前まで来てしまったらしい、無意識オタク怖え


しかし()()こそ目的の場所、怒られているのはきっと兄上である少年だ大人びて見えたが子供は子供トラウマになってしまうかもしれない


しかも原因は()なのだから罪悪感が半端ない


成人してても怒られるのは嫌だが責任は取らねばならない


バーンと扉を、開け…開けられない…背が届かない


コンコン


仕方がないのでノック


「誰ですか!」

こっわ…でも引き下がれない


「お母様、僕レテウスです」

お母様だって…母親をそんなふうに呼んだこと無かったから言ってて自分でも驚くわ


これは勝手に元の人格に変換されるんだろうか


「入りなさい」

ドアが勝手に開く、開けてくれたのは兄上ことアンガスだった


こういうのってお付の人間が開けるんじゃないの?もしかして(雇用人)少ない?


色々と突っ込まれると返事ができないから単刀直入に言ってしまおう


「お母様!あにうえは僕を助けてくれたんです。だから」


お母様の顔が一瞬で絶対零度


あっれ~また何か間違えた?


「いつからなの…」


へっ?


「レテウスは私の味方じゃなかったの?」

いや三歳児にそんな事言われましても、俺は恐ろしく選択肢を間違えたっぽい


「母上!レテウスはまだ」

「黙りなさい!レテウスどうしてしまったの?血の繋がる私よりその子を選ぶの?」

いや言ってる意味が判りません。だって兄上だよ?


「貴方がこの子をそそのかしたのですね」

いや、だから説明してくれませんか、俺の顔(幼子の演技)に免じて美しい兄弟愛で済みません?なんでこじれてんの


「お母様、兄上はそんなこと」

「レテウス止めるんだ」


般若みたいな顔が迫る

「何?それ」

急に感情が消えたような冷たい声を発するお母様、俺の顔…髪を見てる?


「取り替え子」

ボソリと呟いたかと思えば髪を強引に掴まれる

「痛い!」


「貴方誰?お前は私の子じゃない…この子は取り替え子!返して!私の子を返して」

突如として気が触れてしまったのか乱暴に俺を振りまわすお母様


「母上!落ち着いてください!」

「うるさい貴方に母上なんて呼ばれる筋合いなんて無い」

兄上が必死に落ち着かせようとしてもお母様は俺を振り回す


ピタリと動きの止まったお母様

「返さないというのならこんな子要らないわ」

眼の前に迫る轟々と燃え盛る暖炉が迫る


嘘でしょ!


嘘じゃなかったお母様は俺を暖炉に向かって投げた


転生したばかりなのにもう人生終わり?



じゃなかった



既の所で誰かの腕が俺を捕まえ暖炉とは反対に投げ飛ばす…兄上だ


スローモーションのように光景が瞳に刻まれる


ボッと音を立てて燃える兄の左腕


「なんで!」


勢いよく扉が開き入ってきたベルテが俺を抱きしめる

「奥様お許しを」

「お前が!お前達がしっかりしていれば紛い物の子供なんて…返して…私の息子を返してよぉ」

崩れ落ち顔を覆って泣くお母様


紛い物…妖精の取り替え子ではない、だが確かに俺は本当のこの身体の持ち主じゃない


さっき自分で言ったばかりじゃないか感性や常識は違うって…それなのに少しかじった程度で解ったような気になって…


涙が溢れ頬を伝う、この後悔の気持ちは自分のものなのかそれともこの身体の本当の持ち主のものか…わからない、解っているのは自分はベルテの言うことを聞いて素直に部屋で待っておきべきだったということ


「……ア・ハ……ハ・ア・……アーラグ・ア・フ……・コール」

兄は苦痛に顔を歪めたまま何かをつぶやいたがお母様の嗚咽でよく聴こえない


ジュッと音を立てて火が消えた、水?


「ゴー・ア・ヴェール・ベナッカン」

(恵みを運ぶ風よ)

今度は聴こえた!祈りの言葉?


兄の腕を中心に風が舞い上がり腕に付いていた出所の分からない水が吹き飛ばされる


これは魔法…原理も何も解らなくても眼の前で放たれれば受け入れるしかない


ここは過去の世界じゃない、俺はファンタージーの世界に生まれ変わってしまったのだとやっと気づいたのだった

7/03現在読んで頂けているのにブックマークが伸びない状況でしてブックマークお願いします


参考資料

Folklore of Scotland: Faerie Folk and Folk Horror (English Edition) 著者:Stephen G. Rae

Folklore of the Lake District: Ghost Stories ◊ Folk Tales Nature Lore ◊ Dialect ◊ Verse 著者:Stephen G. Rae

These Isles: A People’s History of England, Ireland, Scotland and Wales 著者:Brian Groom

スコットランド通史 著者:木村正俊

スコットランド全史『運命の石』とナショナリズム 著者:桜井俊彰

物語 スコットランドの歴史 イギリスのなかにある「誇り高き国」 著者:中村隆

スコットランド王国史話 著者:森護

スコットランドの民話 著者:三宅忠明

古代・中世に力点をおいたヨーロッパ政治経済史 著者:清水貞俊

北欧神話100の伝説 著者:パトリック・ゲルパ 訳:村松恭平

ケルトの世界 ー神話と歴史の間 著者:疋田隆康

世界観を創る クリエイターのための設定・考証入門 著者:鈴木貴昭


Youtubeチャンネル

HistSophia【ヒストソフィア】中世ヨーロッパの歴史と社会

歴史雑記ヒストリカ

世界史裏探訪


Xでフォローさせていただいているスコットランドを中心としたUKの皆さん

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― 新着の感想 ―
輪廻転生で赤ん坊からならともかく、途中で前世を思い出すなんて、現代でも精神病院必至、昔なら当然妖怪変化として退治されますね。 でも、私は詳しくありませんが、スコットランドって鎌倉武士の世界くらいにおっ…
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