上映後.次回も是非、弊社を
〈マーベラスグラスホッパー〉がエンディングを迎えた後の話。
まだ本来のストーリーに修正されていない世界。
美桜達が帰ってから数日の時が流れていた。
リディとカロースは、街の復興の手伝いを連日続けている。
「あの三人は未来のキミとその仲間、か」
「ハイ。シアウさんはそう仰ってマシタネ」
その休憩中、彼等はオフィス街のカフェテラスへと足を運んでいた。
カロースがコーヒーに大量の砂糖を投入するのを見て、リディは苦笑いを浮かべる。
「キミとそっくりな人が居るとは思っていたけど、まさか同一人物とはね」
「最初はボクも驚きマシタヨ! haha!」
「……ふむ」
「如何いたしマシタ? カロースさん?」
その会話の内容は、シアウが混乱を避ける為に最初にしていた偽物の情報。
本当の事も混じってはいるので、正確には嘘では無いが。
「信じられない話デース?」
「そう言う訳じゃなくてね……あの黒い靄が"未来のヴィラン"の仕業だとすれば、僕はそいつを一度目にしている」
"未来のヴィラン"
それに当たる者は本来は存在していない。
美桜もフーディも、シアウですらも。
ビネガーシンドロームは自然発生するものであると認識している。
「ワッツ!? 本当デース!?」
「ああ、僕に"呪われた運命を変える力"だと言ってあの黒い靄を植え付けて、すぐに消えてしまったけどね」
だが、カロースはその謎の存在を見たと言う。
「美桜様の格好。確かニッポンの着物って言うんだっけ?」
「確かそうデスケド、この話に関係が?」
「ああ、奴はアレに似ていた格好をしていた。美桜様と因縁深いヴィランなのだろうか」
「フーム。そういう話をミオさんからは聞いてはいないデスケドネ」
「そうか……いずれにせよ、あれが只者じゃないのは確かだ。僕もあっさりと背後を取られてしまった」
美桜とおなじ、和風の衣を纏った存在。
「……彼等の戦いが無事に終わると良いが」
語っているカロースの表情は険しさを見せていた。
「大丈夫デース! ボクやカロースさんを救った人達デスヨ? 何が来たってヘッチャラデース!」
けれどリディは、美桜達を信じて笑ってみせる。
「さんは付けなくていいよ」
それを見るとカロースはキョトンとした後に。
「WHY?」
「キミも成長した様に、僕も成長したいのさ。彼女達が、この街の皆が認めてくれたヒーローとして、胸を張れる様に」
羨ましそうにリディを見つめ、静かに微笑んだ。
「だから対等な関係で。僕が道を踏み外さない様に見ててくれフーディ……正直まだ自分を信じきれていないんだ」
「haha! OK! ビジネスパートナー成立デスネ!」
彼等は拳を突き合わせる。
いつか恩人達に報いようと。
その想いは本来のストーリーに修正されていく過程で消えていくのも知らず。
それでも確かに、この瞬間に。
彼等の心はあった。
「なら一つ聞きたい事があったんデスケド、カロース?」
「なんだい?」
「ミオさんとシアウさんで扱いに差がアリマシタヨネ? ミオさんがストライクなのデース?」
「キミいきなり無礼じゃない?」
カロースは眉を顰め。
「haha! 距離詰めろって言うから!」
リディは笑う。
「僕は"血統主義だった"。それが答えさ、言わなくてもわかるだろう?」
「ミオさんもシアウさんもエルフなのに? なんかランクみたいなのでも?」
凸凹コンビが結成されると同時に。
「何を言ってる? 美桜様とシアウさんは"別の種族"だぞ?」
複数の謎が生まれる。
「WHY!?」
それを外の美桜達はまだ知らない。
「成程。人間には違いがわからないのか」
これは映画の登場人物たちが。
現実を救う為に、映画の世界を巡る物語。
「なんだか……ミオさん達もまだまだ苦労をしそうデース」
そして今回は。
「いつか助けに行かないと」
積み重ねた小さな歩幅が。
「一人前のビジネスマンとして」
ヒーローまで届いた、もしもの物語だ。




