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NO MORE映画崩壊 -観客が消えた世界で、作り物の少女は本物の心を探す-  作者: 幸いぶん
シアター2.アメコミリブート『マーベラスグラスホッパー』
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上映後.次回も是非、弊社を


 〈マーベラスグラスホッパー〉がエンディングを迎えた後の話。


 まだ本来のストーリーに修正されていない世界。

 美桜達が帰ってから数日の時が流れていた。


 リディとカロースは、街の復興の手伝いを連日続けている。


「あの三人は未来のキミとその仲間、か」

「ハイ。シアウさんはそう仰ってマシタネ」


 その休憩中、彼等はオフィス街のカフェテラスへと足を運んでいた。


 カロースがコーヒーに大量の砂糖を投入するのを見て、リディは苦笑いを浮かべる。


「キミとそっくりな人が居るとは思っていたけど、まさか同一人物とはね」

「最初はボクも驚きマシタヨ! haha!」

「……ふむ」

「如何いたしマシタ? カロースさん?」


 その会話の内容は、シアウが混乱を避ける為に最初にしていた偽物の情報。


 本当の事も混じってはいるので、正確には嘘では無いが。


「信じられない話デース?」


「そう言う訳じゃなくてね……あの黒い靄が"未来のヴィラン"の仕業だとすれば、僕はそいつを一度目にしている」


 "未来のヴィラン"

 それに当たる者は本来は存在していない。


 美桜もフーディも、シアウですらも。

 ビネガーシンドロームは自然発生するものであると認識している。


「ワッツ!? 本当デース!?」

「ああ、僕に"呪われた運命を変える力"だと言ってあの黒い靄を植え付けて、すぐに消えてしまったけどね」


 だが、カロースはその謎の存在を見たと言う。


「美桜様の格好。確かニッポンの着物って言うんだっけ?」

「確かそうデスケド、この話に関係が?」

「ああ、奴はアレに似ていた格好をしていた。美桜様と因縁深いヴィランなのだろうか」

「フーム。そういう話をミオさんからは聞いてはいないデスケドネ」

「そうか……いずれにせよ、あれが只者じゃないのは確かだ。僕もあっさりと背後を取られてしまった」


 美桜とおなじ、和風の衣を纏った存在。


「……彼等の戦いが無事に終わると良いが」


 語っているカロースの表情は険しさを見せていた。


「大丈夫デース! ボクやカロースさんを救った人達デスヨ? 何が来たってヘッチャラデース!」


 けれどリディは、美桜達を信じて笑ってみせる。


「さんは付けなくていいよ」


 それを見るとカロースはキョトンとした後に。


「WHY?」

「キミも成長した様に、僕も成長したいのさ。彼女達が、この街の皆が認めてくれたヒーローとして、胸を張れる様に」


 羨ましそうにリディを見つめ、静かに微笑んだ。


「だから対等な関係で。僕が道を踏み外さない様に見ててくれフーディ……正直まだ自分を信じきれていないんだ」


「haha! OK! ビジネスパートナー成立デスネ!」


 彼等は拳を突き合わせる。

 いつか恩人達に報いようと。


 その想いは本来のストーリーに修正されていく過程で消えていくのも知らず。


 それでも確かに、この瞬間に。


 彼等の心はあった。


「なら一つ聞きたい事があったんデスケド、カロース?」

「なんだい?」

「ミオさんとシアウさんで扱いに差がアリマシタヨネ? ミオさんがストライクなのデース?」


「キミいきなり無礼じゃない?」


 カロースは眉を顰め。


「haha! 距離詰めろって言うから!」


 リディは笑う。


「僕は"血統主義だった"。それが答えさ、言わなくてもわかるだろう?」

「ミオさんもシアウさんもエルフなのに? なんかランクみたいなのでも?」


 凸凹コンビが結成されると同時に。


「何を言ってる? 美桜様とシアウさんは"別の種族"だぞ?」


 複数の謎が生まれる。


「WHY!?」


 それを外の美桜達はまだ知らない。


「成程。人間には違いがわからないのか」


 これは映画の登場人物たちが。

 現実を救う為に、映画の世界を巡る物語。


「なんだか……ミオさん達もまだまだ苦労をしそうデース」


 そして今回は。


「いつか助けに行かないと」


 積み重ねた小さな歩幅が。


「一人前のビジネスマン(ヒーロー)として」


 ヒーローまで届いた、もしもの物語だ。

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