表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NO MORE映画崩壊 -観客が消えた世界で、作り物の少女は本物の心を探す-  作者: 幸いぶん
シアター2.アメコミリブート『マーベラスグラスホッパー』
34/45

チャプター12.虚偽報告


全部、計画通りだ。


「ぜぇ…ぜぇ…!」


「流石にキツイ?」


「まだまだぁ…!!」


「そろそろ中心街に着くわ。

あとちょっとだけ頑張ってちょうだい

そこからは休んでてもいいから。」


カゴの中の美桜は疲れ切っている。

フーディも誘導した場所についた筈だ。


「ふーでいの方も頑張ってんだろ!!

げそまみれ相手によぉ!!」


「……。」


… コレで良い。

リディの方もシーン的には動き出している頃ね。

それを心配した父親も、外に飛び出しているはず。


「野分ッ!!!」


…… 後は。


──────────────


「此処であっているハズ?」


シアウさんに指示を受けた場所に辿り着くと

ボクは虫の群れを蹴散らしていた。

… おかしい。


「忘れられるワケがありマセン…。

父さんが殺されたのは、確かに

この会社のビルでの筈だ。」


Dr.ゲソマミレは

元々ボクの父さんの同僚。

優秀な開発部の人間だったんだ。


人々の為を思ったバイオテクノロジーの研究。

だが、その善意は成果を求めるあまり

ビジネスマンとして、人として

倫理に外れるものになっていた。


自分の研究に

インターンに来た大学生を利用したんだ。


「それなのにどうしてッ…。」


父さんは行き過ぎたゲソマミレを止めようと

会社へと報告した。

… その逆恨みだった、奴が父さんを殺したのは。


その恨みが籠った、この場所で。

それなのに…!


「なんで、Dr.ゲソマミレが居ないのデスカ…!!」


…… いや、違う。

そうだ、この映画は最初っからそうだった。

ボクが知ってるのとは全部が少しずつ。


「… シアウさんは最初から違う場所にボクを…!

なら、本来の現場はッ…!!」


─────────────


「コレで雑魚は最後ね。」


「あ、後は虫を操る絡繰カなんかを

げそまみれから奪うんだっけかぁ…?」


「……。」


そう言えばそんなこと言ってたっけ。

なんて他人事のように美桜の言葉を聞いていた。


つじつまを合わせる為に

本当と嘘を織り交ぜ続けてきて

…もうなにが本当だったのか自分でもわからない。


「… ふーでいのほうに早く合流しねえとな!

もうのしちまってるかもしれねえけど。」


「その必要はないわ。

言ったでしょう、休憩してて良いって。」


「そういうわけにゃ行かねえよ、仲間だ。」


「……仲間、ね。」


私は、アナタ達の仲間の資格があるのかしらね。

自嘲気味に笑った私を美桜が不思議そうにみている。


「しあう? ───なっ!?」


「そうね、美桜。

アナタならすぐ気づくと思っていたわ。」


そしてすぐに気づいた"私の嘘に"。

アツダンシティのセントラルビル屋上。


「なんで、げそまみれがここにおるんだ!?

ふーでいの方におるはずだろっ!?

しかもありゃあ…!」


「リブート版だとね、見栄えを気にして

シーンによって舞台が変わってる場所があるの。」


そこにいる

"フーディの父親とゲソマミレ"を。


私は知っている。


アナタはよく観ている、いつも周りを

真っ先に気付くのはわかっていたわ。


だからこそ"アナタの近くにいた"。


「あのままじゃ不味いッ!!」

「── 駄目よ。」


鉄扇を引き抜こうとした手を

全体重を乗せて抑え込んだ。


「何すんだべ、しあう!!離せよっ!!」


「グラスホッパーが

ヒーローとして覚醒するシーン

アレね、全シリーズ通して共通してるの。」


「言ってる場合かっ!?」


敵に対する警戒はしっかりしているその反面


「憧れていた"父親の死"よ。」


「… おめえ、それって… 。」


味方を"信じすぎている"。


「ふーでいの父親を見殺しにする気かっ!!」


怒りよりも信じられないという顔だ。

そう、怒りに振り切れないのもアナタの弱点。


「世界を救う為よ、

この世界のフーディを覚醒させなければ

私達に勝ち目はないの。」


だから嘘を吹き込んだ。

フーディをここに来させないように。

美桜のスタミナを奪って抑え込めるように。


ビネガーに犯されたカロースを何とかするには

最低限でも、可能性を得る為には

この映画の"覚醒した主人公"が必要だったから。


「人が死ぬんだぞっ!?」

「── やらなければ世界が終わるのッ!!!!」


美桜は行こうとはする

そこまでわかっていて、此処に連れてきた。


筋書き通りの雑魚の処理を兼ねて

"疲れさせる為に"無茶なことをさせた。


それでも無理矢理ふりほどける筈だ。

私に"怪我をさせるつもり"でいけば。

… 出来ないでしょう?


私と違って、優しいアナタには。


この状況を切り抜けるにはこれしかないの。

恨むならいくらでも恨めば ────


「……しあう。」


ふと目が合った彼女は


怒鳴るでも

軽蔑するでもなく


ただ寂しげな声色で私の名前を呼んだ。



「──── ッ!!」



このまま行けば計画通りに進むんだ

此処までしたんだ、何のために騙した。


世界を救う為だ。


私は…私は正しい…ッ…!!


「もう、手遅れ ───」

「I won't let that happen!!!!」


父親がビルから落とされようとしているのから

目を背けようとした、だけど

その声につられて上空を見上げる。


「な、なんでっ…!!」


「ぐらすほっぱーっ!!」


… なん、で。

リディは父親が死んだ後に駆けつける。

それが本来の筋書きだ。


くるワケがない…。


フーディだって誘導をした筈だ。

性格的に疑うはずもないのをわかってて

騙した、はずなのに…。


「別の世界だとしても…!!

死なせない、もう二度とッ!!!!!」


「なんでなんで、なんでっ…!!

そこにいるのよ…ッ…!!」


来てほしくなかったヒーローが、

── 間に合ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ