ep.14『噴乳』③
スライムのような粘質になったキルデイルの身体が、神殿の壁に拡散して張り付いていく。
ヴォルガーはこの光景を見ながら思い出す。
修業時代から、何度も倒してきた『スライム』のことを。
低級なものも高級なものも、スライムというモンスターはおしなべて、再生が不可能な程に身体を爆散させれば倒せるものであった。
どうかスライム状になったキルデイルも同じ性質であってくれ……ヴォルガーのそんな切なる祈りを嘲笑う声が、神殿に響いた。
「いやぁ、見事だ。実に見事だよ、ヴォルガー・フィルヴォルグ」
「ぐ……っ!!」
「そ、そんな……!!」
爆散したキルデイルの身体は集合し、再生していく。
まだ再生途中の口でさえも、ハッキリと言葉を発するほどの機能を持つ……極めて高度な自己治癒であった。
「僕の身体をこれ程バラバラにする攻撃……何度も喰らったら流石の僕も再生できないかもしれないねぇ」
身体のほとんどがされたキルデイルは、ニヤリと笑いながら言い放つ。
「それで君は……あと何回決められるんだい? 種の割れた戦法を」
「……くそっ!!」
ヴォルガーは決して諦めない。
頭を回転を休ませず、キルデイルを倒す方法をこれまでの豊富な経験から模索し続ける。
――しかしそれは、今現在、キルデイルの攻略法を持ち合わせていないという意味に他ならない。
一瞬の駆け引きが命取りになるこの戦場で、ヴォルガーはそれをキルデイルに見抜かれてしまった。
「それが貴様の限界だッ!! 最後に一つ『大事なデータ』を取らせてもらう!! それで幕引きにしよう!!」
完全に再生したキルデイルは、その宣言とともに瞬間移動でヴォルガーの眼前に現れる。
「なっ……!!」
「ヴォルガーくん!!」
ヴォルガーの警戒も、ラピアの叫びもキルデイルの次なる行動には間に合わない。
『大事なデータ』を取ると宣言したキルデイルの真意はわからない。
それでもヴォルガーは、様々な攻撃を予測して身体を動かそうとした。
しかし、ヴォルガーの身体が動くよりもキルデイルの行動は遙かに素早く、そして全くの予想外であった。
キルデイルの素早い手は、ヴォルガーの黒いタンクトップをたくし上げ……
露わになった桃色の乳首を、力強く摘みあげた!!!
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっっ!!???♡♡♡♡」
「わーっはっはっはっは!!!! ここが貴様の弱点だァァァァァァッッッッ!!!」
完全に予測不可能の攻撃を受け、惨めに喘ぐことしかできないヴォルガー・フィルヴォルグ!!!
その身体の最も敏感な部分を支配したキルデイルは、一気呵成に魔力を流し込む!!!
桃色の乳首から流し込まれた魔力は乳輪を、豊満な胸板を、その皮下に張り巡らされた乳腺をかけめぐる!!!
「ヴォルガー・フィルヴォルグ!!! 貴様の最も重要なデータは頂いたぁッッ!!!」
キルデイルがそう実感し、勝利を確信した次の瞬間であった!!
――ヴォルガーの桃色の乳首から白い液体がぴゅ……っ♡ と噴き出し、キルデイルの手を淑やかに濡らしたのだ。
「え゛っ、え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!????」
畳みかけるような異常事態に、自分の身体に起こった予期せぬ変化!!!
ただただ驚き叫ぶ他ないヴォルガー!!
しかし、この事態は攻撃を仕掛けたキルデイルにとってもまた、全くの想定外であった!!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??? なっ、なんなんだこの白い液体は!!! こんなもの僕のデータには存在しないぞッッッッ!!!!???」
「わっ、わからん!!! 俺が聞きたいッッッ!!!」
二人揃って狼狽するヴォルガーとキルデイル!!!
しかしその困惑を、怒りに満ちた叫び声が切り裂いた!!!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッ!!!!」
キルデイルがその叫びに気づいた瞬間……ラピアの両掌が、キルデイルの腹に叩きつけられていた!!!
「何をやっているんですかァァァァァァッッッッッッ!!!!」
怒りとともに流し込まれる大量の魔力!!!
「よくも……よくもヴォルガーくんの一番搾りをッッッッ!!!!」
いくらSSS級の実力者であろうと、ヒーラーであるラピアの攻撃はキルデイルにとってたかが知れている……そのはずだったが、この戦いでヴォルガーに浴びせられたどの攻撃よりも凄まじい衝撃がキルデイルの身体を駆けめぐった!!!
「うごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッ!!!!」
しかし、その衝撃は決して痛み・ダメージではない!!!
今は『衝撃』としか表現のできない何かが、即時の分析が不可能な何かが、キルデイルの全身を襲ったのだ!!!
「ラ、ラピアさん……俺の身体は一体……!!」
「その話は後です!! 今はあの色情狂を倒しましょう!!!」
「あっ、ああ……そ、そうだな!!??」
人類の命運を決める戦いで、自分の身体の異変に気を取られるのは邪念に他ならない……。
ヴォルガーは必死に自分へそう言い聞かせて、キルデイルを倒すことに意識を向けた!!
何が何やらわからないが、とにかく優位に立てたっぽいのだ!!!




