ep.final『胎動』エピローグ
その遺体が発見されたのは、嵐が明けた朝のことであった。
遺体は損傷が激しく、明らかに魔物に襲われた跡があった。
死後から時間が経っているのは腐敗の具合から判断できる。顔も判別がつかず、身元のわかる持ち物も無い。
わかることは、遺体が長い銀髪の小柄な女性であることと、妊娠しており臨月が近かったということくらいである。
修道院のマザーロネウスが遺体の検分に来たのも、せめてもの供養のためであった。
これほどお腹の大きくなった妊婦が一体どのような事情で一人、森を歩いていたのか。
お腹の子をこの世に生み出せず眠りについてしまった無念はいかばかりか。
マザーはこの女性とお腹の子供が安らかに天へ召されるように、と手を合わせた。
合わせたその時、違和感に襲われた。
そして大きく膨らんだお腹に触れ、叫んだ。
「手術の用意をしてください!!」
同行していた修道女が指示の意図をわかりかねて困惑していると、マザーは続けて叫んだ。
「この子は……お腹の子供は生きています!!」
遺体の女性について、わかったことがもう一つあった。
自らが死んだ後も赤子が生きられるほどの状態に子宮を維持していたその人は、間違いなく高い実力を持ったヒーラーに違いなかった。
そして、推測できることはもう一つ。
彼女の荷物の中に、小さな毛布があった。サイズから考えれば恐らく、生まれてくる赤子を包むための毛布だ。
その毛布には、アスクラピアの花の刺繍が施されていた。
遺体から生まれてきた女の子には、毛布に刻まれた花から取った『アスクラピア』という名前と、生まれた村から取った『パイエルオン』という苗字が与えられた。
***
ふと、ラピアは昼下がりの微睡みから目を覚ました。
彼女が夢に見たのは、幼い頃にマザーから聞かされた自分の生まれた日の話だ。
ラピアと、母親の話だ。
ラピアは自分の母親について、名前も顔もわからない。
わかっているのは、自分とよく似た長い銀髪と小柄な体躯の持ち主だったということ。
そしてもう一つ……お腹の中の赤子を、自分のことをとても大切に思っていたということだ。
魔物に襲われても、嵐に見舞われても、自分の命と引き替えにしてでも護りたいくらいに。
大きく膨らんだ自分のお腹をさすると『母もきっとこんな気持ちだったのだろう』と、ラピアは殊更に実感する。
「おぎゃーっ! おぎゃーっ!!」
突然、赤子の泣き声が家に響いた。
もっとも『突然』というほどのことでもない。
赤子が前触れもなく泣き出すのは当然のことである。
「やれやれ……ようやくお昼寝してくれたと思ったんだがな……」
ヴォルガーは、ベッドの赤子を抱っこすると軽く揺さぶってあやす。
「きっとお腹が空いてるんですよ! ミルクをあげてください!」
ラピアが第二子を妊娠していることもあり、ヴォルガーがこうして赤子――二人の長女であるメニィ(ザメニス・フィルヴォルグ)のお世話を担当することは多い。
「……わかった。台所でミルクを作ってこよう」
ヴォルガーがそう言ったとたん、メニィの泣き声は激しくなった!!
「おぎゃぁぁぁぁぁっっっ!!! おぎゃぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
「あーっ!! パパが意地悪言うからメニィちゃんが怒っちゃったじゃないですか!!」
「意地悪を言ったつもりは無いのだが……」
「ほら、台所なんていかないでミルク!! ミルクをあげてください!!」
「……わかった」
ヴォルガーは渋々承諾すると、黒いタンクトップをまくり上げて乳首を露出する。
魔王との戦いが終わり、二人目の子供ができるほどの年月が経ったが、ヴォルガーの乳首は相変わらず艶やかで美しい桃色をしており、そして赤子が吸いやすいサイズ感であった。
ヴォルガーが露出した途端、娘であるメニィは桃色乳首に勢いよく吸いつき父乳を飲み始める!!
ぢゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!! ぢゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
「どうしてこんなことになってしまったんだ……」
ヴォルガーは今でも、時々そんなことを考えてしまう。
「ふふふ。メニィちゃん、パパの父乳美味しいでちゅか~?」
問われたメニィは、ラピアに向けて親指をグッと立てた。
「おかしい……俺が知る限り赤ん坊はこんな動作をしないはずだ……」
「ふふふっ! 子供を育ててるとビックリすることばっかりですね!」
「そういう問題か!!??」
釈然としない気持ちはあるが、それでも愛娘には元気に育ってほしい。
これ、大丈夫だよな……? 栄養とか……と思いながらも、ヴォルガーは愛する我が子のために父乳を放出し続ける。
すると、ラピアが授乳の様子をやけにじーっと見つめる。
「……どうしたんだ、ラピアさん」
「メニィちゃんばっかりズルい!! ママもパパの雄っぱいを飲みます!!」
「ばっ、馬鹿っっ!! 子供の前でそんなことをするやつがあるか!!!」
ちゅううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
れろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
「お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っ♡♡ お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛お゛っ♡♡ お゛っ♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡」
《おしまい》
ふぇぇぇぇ完結しました!!
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます!!
なかなか至らぬ点の多い作品でしたが、いつかリベンジしてみせるので何卒♡




