表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の贖罪 笑えと貴方は言った  作者: 雛雪
第十六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/21

新たな使者

これまた短いです。

老神官は祭壇の前からゆっくりと後退し、杖を土に突いた。深く息を吐き、わずかに首を振る。

「……これ以上は、私の役目ではない」

その声音に、エヴァは真っ直ぐな眼差しで応えた。

「あなたがこの森に何を守り、何を託してきたのか――私たちは、それを背負う覚悟を持たねばなりません」


カインはリリスの横に立ち、剣の柄に手を置く。その瞳は冷静だが、奥底で闘志が火を灯していた。

「まだ終わっちゃいない。本当の真実は、これから俺たちが引きずり出す」


――その瞬間。森を撫でていた風が、ふっと途切れた。葉擦れの音も、鳥の囀りも消える。静寂を裂くように、低く湿った声が奥から響き渡った。

闇を纏う黒衣の影が、木々の間から現れる。半面の仮面が月明かりを受け、白く鈍く光った。

「老神官の役割は終わった。だが、この国の運命はこれから試される」

リリスは無意識に息を詰めた。

「……あの飢えが、再び息を吹き返した。封じられたはずの根が――地の底で蠢いている。お前たちが“選ばれし者”ならば、今こそその証を示せ」


エヴァはリリスの肩に手を置き、穏やかだが力強い声を落とす。

「恐れていては何も始まらないわ。知るべきことは、まだ山ほどあるのだから」

カインは剣を握り締め、影を睨みつけた。

「この森を、国を、守る。たとえ試練がどんなに過酷でも」


影の使者は唇の端をわずかに歪め、深い闇の中へと消えた。その気配だけが、三人の胸に冷たく刻みつけられる。

リリスは二人を見上げ、静かに呟いた。

「……終わりじゃない。これからが、本当の試練」

三人は短く視線を交わす。森の闇が、彼らを試すように口を開けて待っていた。そして、迷いのない足取りで踏み込んでいった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ