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ごくありふれた異常な母親

 僕のルイという名前が示すように、母親は僕を特別な人間に育てようとした。ピアノ、絵画など、芸術方面で僕をのばす試みを続けた。母親は自分が叶えられなかった夢を僕に押し付ける、ありふれた異常者だ。僕は人より多少器用なところがあるため、それぞれをそれなりに人より上手にこなした。だが僕はそもそもこれらに興味を持っていなかったため、ピアノなど楽譜も読めないままにやめてしまった。母親はそのように、僕が何かを放棄するたびに半狂乱になって心配した。


 母親は日本人だ。父親はすでに七十に差し掛かる年齢の在日韓国人で、結婚した当初、莫大な資産を持っていた。すでに親元を離れた子供達、そして妻と幸せな家庭を築いていた。しかしまだ二十代だった母親と浮気し、僕が生まれた。父親はセカンド・ライフ程度に思っていたのだろう。あっさりと離婚し、母親と僕を養った。金のために結婚した母親は、新婚当初、幸せでいっぱいだったそうだ。しかし父親の商売が傾き、資産の底が見え始めた今ではその面影も見えない。それでも彼女は僕を特別な存在にする努力を今も続けている。くだらない英会話がその例だ。

「今何時?」

今どきスマートフォンで確認できる。

「これはペンです」

だから何だ。


そう思いながらも続けているのは、僕なりに母親を支えるためだ。言いなりになることが唯一彼女を満足させる手段だからだ。


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