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「リリアナ様、御婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます。フォスター大公」
残念ながら社交界にデビューしていないジェンリーは婚約式までだった
「ジェンリーは無事に屋敷に戻りましたよ、姉上様のお美しい姿に大変興奮しておりました」
思い出しているのか、クスクスと笑いながらジェンリーの様子を教えてくれた。
「そういえば、父達を見掛けておりませんが、大丈夫でしょうか?」
「ああ、彼は貴族でもないので、参列しておりません。伯爵位はジェンリーですから、丁重に御説明申し上げ、お帰り頂きました。」
あの父が納得したのかしら。伯爵位を賜ったのはジェンリーだ。父達がジェンリーを騙し勝手をしようとしたこともあったが、大公様がジェンリーの後見人なのだから、父の出る幕はなくなった。が、あの二人の事、今日も乗り込んでくると構えていたが、私の知らない間に事は済んだのだろうか。
「まぁ、少しは騒がれましたよ、実の父親だとか何だとか、王太子殿下からのご伝言で静かになられましたが」
(?なんだろう)
「気になりますか?王太子殿下にお聞きになられるとよいでしょう」
大公の視線の先を見ると王太子殿下がこちらに向かって来ていた。
「楽しそうだな」
「ええ、リリアナ様があのもの達をどの様にして、おとなしく帰らせたのか気になるようですよ」
ウェズリ様を見つめる。
「あれは、今までの行いの悪さを恥じて帰ったのでしょう、私はリリアナから悪を遠ざけることができたかな?」
「貴方を守ると誓ったことを忘れないで」
耳元で囁かれ、顔から火が出そうでした。