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年明けしました。
遅くなってしまいました。
婚約式当日になってしまった。婚約式の後は各国の王族や大臣、貴族などを招いてのお披露目になる。
婚約式が終わり控えの間で着替える。
『リリアナきれい、すてき』
精霊達が部屋中を飛び回り祝福してくれている。
キラキラと光が降り注ぐ。
「まぁなんて綺麗なんでしょう」
仕度を手伝ってくれているメイドさんの中にも精霊が見える人もいる。
「ハッキリとした姿ではございませんが、光の塊の様に見えております」
しばらくすると私のいる控えの間にウェズリ王太子殿下がやってきた。
「王太子殿下」
挨拶をするため立ち上がろうとしたが殿下に手を取られた。
「リリアナ、とても綺麗だ、婚約式の間中抱きしめたい衝動を我慢していたんだ」
そう言うと私の手を引いて胸の中に納めた。
(はっ?えっ?何?)
王太子殿下の行動にあわてて辺りを見回すと、顔を赤くし微笑みながらも顔をそむけて見ないようにしてくれている。
(人前で・・・婚約したとはいえ恥ずかしいです)
「ウェズリ殿下、そろそろお時間です」
「ん?そうか、リリアナ行きましょう」
何事も無いように微笑み、私の手をとりエスコートしてくれた。
恥ずかしくてまだ、顔が熱いです。
紹介の後、会場に入ると、一斉に視線が集まった。各国の王族や貴族が次々に挨拶に来てくれた。これだけの来賓が出席するということは、このドヘイド王国の力や繁栄を表している。
中には精霊が見える方もいて、会場を飛び回る精霊の多さに驚いていた。
「これだけの精霊が集まるということは、ご婚約相手の方だけではなく、ワイズフォルト国の噂の愛し子が2人ともいらっしゃったからですかね」
(えっ?来てるの、あの2人・・・)
「それはどうでしょう、ワイズフォルト国は今、大飢饉に苦しんでいるというではないですか、愛し子のいる国でそれはあり得ないですよ」
「そうですね、愛し子とは本当なんでしょうか」
「あの国には精霊の見える者がいないとの噂ですよ」
諸外国の重鎮たちがワイズフォルト国の噂をしていた。
「リリアナ嬢、お久しぶりです」
元第一王子殿下が婚約者と共に挨拶に来ていた。
「殿下、お久しぶりにございます。」
「いや、もう王子ではないよ、オズワルドと呼んではもらえないかな」
「オズワルド様」
「弟も馬鹿な事をした、貴女との婚約を破棄するなんて……ここだけの話、私はリリアナ嬢と初めて会ったときから、周りを漂っている光を見ていたんだ、たぶんあれが精霊だったのかな」
悲しそうに周りを飛んでいる精霊に手を伸ばしていた。私が名乗り出なかったせいで、オズワルド様は国を出ることになった。
「申し訳ございません」
「いや、リリアナ嬢は何も悪くないよ、全て王である父と弟が決めた事だから。私は国を出て、愛する者と穏やかで幸せな日々を送っているよ」
優しく温かい笑顔のお二人の幸せを心からお祈りいたします。